目覚めてしまった 2
「ん~、敬語使われると寒気がするのよね。だからやめてくれないかしら?」
急に震えるから何事かと思ったぞ。
「わかりまし...わかったよ」
「うん、それでいいわよ!」
「えっと...ここは集落だったか?」
「そうよ。少し説明してあげるわね」
そういってルイリは地図の方へと向かった。
「まずこの国はリガー国って言うの」
「え?この地図全部そうなのか?」
「そうよ、でも全員が仲良しじゃないのよね。さっきも言ったけどこの端っこの方が今私たちがいる集落みたいなもの、プロックね。ここだけ名前がついてるのよ。それ以外は東西南北で分かれているわ」
「大雑把だな」
「その辺りは国王に聞くことね。続けるわよ?」
ルイリの話によると、中央に国王が住んでおりその周りは貴族が中心に住んでいるらしい。東は好戦的ですぐにもめ事を起こす厄介者みたいに扱われているそうだ。好戦的なのでもちろん強いみたいだ。
西は今、東と抗争しているらしい。とても些細なことが原因みたいだ。西はもともと温厚で適当に生活していてキレると手が付けられないぐらい豹変するようだ。
後、特徴的なのが発音が独特らしい。
北も西と同じで温厚で争いを好まない人たちらしい。極力東西抗争にも関わらないように支援も何もしていない。北は寒いらしく防寒着着用しないと寒さで倒れてしまうそうだ。
南は東と仲が良く東西抗争で東に物資等を支援しているらしい。争いごとが好きで支援やら参戦など昔からよくしているようだ。
「...って感じかしら」
「何やら抗争が起きていることだけ記憶しておくよ」
「もっと覚えてよ、せっかく説明したんだから」
おれはふと気になったことを聞いた。
「なあ、おれルイリに首絞められただろ?」
「え?なんのことかしら?」
このくそゴリラが。
「あの時どうやっておれの目の前に現れたんだ?」
「ああ、あれはね...って知らないの?」
「なにが?」
そう言うとルイリは唐突にぶつぶつ言い始めた。
なにやらこっちを見て、いやにらんでいるかな。
「本当に知らないのね」
「さっきからそう言ってるはずなんだけどな」
「よしわかったわ。いろいろ説明していくわね!
まずあなたの目の前に移動したのは身体強化を使って移動したから」
「身体強化...まさかっ!!魔法?」
「あら、知ってるの?」
魔法ってあのよく耳にする変身できたりプリティーマッスルパンチで大きい敵を素手でぶっとばすあれか?
「いや、まさか使えるとは思ってもみなかった」
「そう。でまあ説明を続けるわね」
ルイリは涼しい顔でおれが想像していたことをスルーして話をつづけだした。
「まず魔法の説明から入るわよ。魔法は血液中にある特殊な細胞から作られているわ、出てきているといった方が正しいのかしらね」
どうやらおれが想像していた魔法構成とは偉く違うようだ。
ちなみにおれが想像していたのは。
体内で力をためる→出したいものをイメージする→力いっぱいえいっ→出てきた
「なんかすごく現実味があるな。もしかしておれも使えるのか?」
「どうかしら、その細胞が多いか少ないかで魔力量は決まってくるわね。でも質がいいかはまた別なのよ」
どうやらその特殊な細胞は優劣があるらしい。
魔力を大量に放出し尚且つ質がいい>魔力を少量放出し質がいい>魔力と質が普通>魔力を大量に放出し質が悪い>魔力を少量放出し質が悪い>そもそも魔力を出さない、の順位だ
「そもそも魔力を出さないって最悪じゃないのか?」
「そうね、でも魔力を出さないのには理由があるといわれているのよ」
「隠された力があるとか?」
「そう!そんな感じなのよ。よくわかったわね」
この流れでわからない奴等いないであろう。
魔力がない細胞は、秘められた力がある、又は本当に魔力がないのどちらからしい。
「まあ大抵魔力がない子っていじめられちゃうんだけどね、仕方がないのかしら」
「その対象に確実になるだろうな」
何かができていない、みんなと考え方が違う、 そういった何かが一つみんなと違うだけでいじめの対象になってしまう。よくある話だ。
「そう言うものなのね...私もそうだったからよくわかるわ」
どこか懐かしい顔をしてそう呟いた。
「でもおかしくないか?ルイリは魔法使えているじゃないか」
「ああ、身体強化のこと?これは魔力があれば誰でもできるのよ」
だが、魔力があるならなんでいじめられていたのか。
「そんな不思議そうな顔して、私のは珍しい属性でね、大きくなるまで魔力が無いと思われていたの」
「属性?」
一般的な属性は火、水など。小説をよく読む方なら誰でも思いつくようなものばかりだ。
ただ、ルイリは聞いたこともない
「強化属性?何それ、あんまり使えないんじゃ」
「そうかしら。意外と強いのよこの属性!それがよくわかる少し昔の話をしましょうか」