目覚めの前
あれ、おれ確か変な奴に...
頭が痛い、どこだここは。
周りを見渡す限りどこかの民家だろうか。
木造で所々ピンクの装飾がついている。
「あら、目覚めたのね」
奥の部屋からかわいらしい声が聞こえる。
「えぇ、ここはどこでしょう」
「私の家よ」
そう言って、その子は姿を見せた
..............3時間ほど前................
「....にんじんが2つ、酢橘1パックで合計1,380円になります」
ただいまバイトのレジ打ちの真っ最中だ
このスーパーはおれが生まれる前からあるらしい。
駅前にあるからか、それとも食材が新鮮なのかはわからないが
とてつもなく繁盛している。
そのためとてつもなく忙しい。
朝はもちろんのこと、昼も夜も常時お客様がいて大変なのだ。
だからその分時給もいい。
「なあ、シェリーちゃんみなかった?」
「あ、店長お疲れ様です。見てないですよ」
全速力でどこかへ走って行ったのは黙っておこう
「お前の後にシェリーちゃん入ってるんだけど、当の本人がまだ来てないんだよな」
お、もうそんな時間か。
相変わらず仕事しているときはとてつもなく時間がたつのが早い。
「と言うわけで、美月。お前そのまま続けてくれ」
「はい、いいですよ。その分ちょっとでも時給あげてくださいね」
「却下だ」
あいつの分まで仕事するのは嫌だが、店長の頼みなので仕方がない。
あいつがバイトを忘れる何て珍しい、ていうかありえない。
まさか本当におれの家にいるんじゃ...
…………..それから2時間後................
「お疲れ様です」
「今日は本当に助かった。ありがとう
今度パン奢るよ」
「まじっすか!!ありがとうございます!
では、先に失礼します」
ふう、やっとこさバイトも終わった。
家に帰りたくない。
あいつがいたら本当に怖い。
あ、そうだ。
スマホで連絡取ればいいんじゃないか。
なので母さんに連絡を取った。
[家の近くに怪しい動きをしているやつとかいない?]
ピロン♪
返信早いな
[いないわよ、ビリー○ブートキャンプしているからまた後でね]
ビリーしてるのかよ・
確かに最近妙にスリムになってきてるとおもってたら
そういうことだったのか。
おれも一緒にしようかな。
最近運動してなくて、やばいと思い始めていたし。
まあこれでとにかく家に帰っても問題ないな。
携帯をカバンの中にしまって自転車にまたがる。
「さあ、帰るか!」
ピロン♪
[あ、そういえばさっき息子さんいますかって聞かれたわよ、ハーフかしらね。気を付けてね]
自転車をこいではや20分。
おれは異常者に出くわしていた。
「ストーップ!!」
「は?はぁぁぁうわぁぁぁぁぁぁ!!」
影から急に人が飛び出してきたのだ。
素早くハンドルを切るが間に合わない!
「ここでひらりとターンです」
はい?
そう言うとその異常者は急にターンをしだして自転車を見事に避けた。
転けかけているおれを
あざ笑うかのように
ニヤケやがった。
「シェリーィィィィ!!」
そう叫びながら大胆に転げ落ちた。
「ぶん殴るぞお前」
「いやん、ばかん、か弱い女の子に手を出すなんてほんとバカんんんんんんん!!!!」
おれは問答無用で口と鼻を押さえた。
「んんんんんんん!!!!」
「いっそこのまま生き絶えてくれ」
ゾクッ!
急に悪寒が走ってきた。
舐められた…だと。
「ぬぉぁぁぁぁ!!キモい!!」
何を考えたのかこいつはおれの手を舐めてきたのだ。
「ふっ、まだまだだね。この私を変えようなんて2年はやいわ!」
2年って。
もういいや、めんどくさいや。
ピロン♪
ん?
[あ、そういえばさっき息子さんいますかって聞かれたわよ、ハーフかしらね。気を付けてね]
[あんた遅いけど何してるの?ご飯冷めるわよ]
なんだよ、心配性だ
ん?
「おい!お前!おれの家に行っただろ!!」
「え?行ってないですよ」
「これ見ろよ!」
「………」
「ハーフってお前のことだろ?」
急に黙り混んで下を向いた。
「なんか言えよ」
「あのですね、私鵬さんの家知らないからこうやって待ち伏せをして嫌がらせをしようとしてたんですよ」
なんだって?
てか、バイトこいよこいつ。
「例えば家を知っていたとしましょう!」
「ふむ。」
「同じバイト先でいつも鵬さんのシフトが頭に入ってる私がですよ?」
さりげなくこいつやばい発言してるんだけど、
どうしよう、怖いんですけど。
「バイトの時間に『息子さんはいますか』なんてきかないでしょ?」
確かにこいつの言うことには一理あるが...
「でも、お前が嘘をついている可能性もあるわけじゃないか」
「さっきも言いましたが、私は鵬さんの行動すべてを把握しているんです!」
えぇ、さっきよりランクアップしてるんですけど。
「とにかく私じゃありませんので!お詫びに家を教えてください」
「ふざけるな帰れ」