助け
室内にパンっと乾いた音が鳴り、みんながサリアンの方を向いた。
「さて、ハンジュさんがここから出て行ったし、そろそろお開きにしましょうか」
それぞれが適当に返事をしぞろぞろと出て行った。
ホウもそれに続いて出ようとしたがサリアンに止められた。
「あなたとまだもう少し話したいことがあるのよ、だからここに残ってね」
「え、もう何も知らないで終わったのではなかったんでしょうか…」
「まあそう身構えなくてもみんなみたいに荒々しいことはしないわよ」
「あの、、今日はもう遅いし明日にでも」
「だめ」
サリアンはホウの肩を掴んだ。
「今日と言ったら今日するの」
ホウは心の中で誰かに助けを求めようと思ったが、ルイリぐらいしかいないと思いとりあえず叫んだ。
「ルイリさん!お助けを!」
「ちょっと、私特に何もしてないじゃない。そんなに叫ばないでほしいわ」
サリアンはホウの口に手を当ててしーっと言った。
ホウはこんなにも女の人の手は柔らかいのかと感じた。
それがどれぐらいの時間かはホウのみぞ知るところではあるが、サリアンの手がホウの口から離れたときコンコンとノックされた。
「そんなに早く終わるわけないでしょう」
とため息をつき扉の方に向かって歩きながら
「もう少し待っていただけると助かるわ」
「いや、待てません」
扉の向こうからかぶせるように聞こえたあとゆっくりと開いた。
そのゆっくりと開いた扉とは逆にとても早い拳がサリアンに向かって飛んできた。
サリアンの顔面に目掛けて飛んできたその拳を横からはたいて軌道を逸らした。
その筋骨隆々な腕をホウは見たことがあった。
「ルイリ、助けに来たのか!」