会議
中央内部にて。
ハンジュとリュウは中央の中央にある立派な建物、城と呼ぶには少し小さいがその建物の前に来た。
またその建物の門には入り口にいたような兵士が立っていた。
入り口と同様にIDを出し城の中へと入っていく。
城の中はとても広く、普段から出入りして把握している者、付き添いのいない者以外は地図でもないか限り迷ってしまう。
二人は第2会議室へと着き、ノックもせず勢いよく扉を開けた。
その扉の近くに立っていたのであろう一人が前のめりになって倒れながら言った。
「いつもノックか名前を言ってから入るようにと何回言えばわかるのですか、この無能が」
「おお、そんなとこに立つなや」
「まず謝るべきですよ、この無能が」
整った顔立ちをしており金髪でショートカット、いかにもきっちりした感じの女性がメガネを拭き悪態をつきながら立ち上がる。
「いつもごめんなキイちゃん、うちから言って聞かせるから」
「リュウ、あなたもその呼び方はやめなさいと何回言えばわかってくれるのですか。それに私の名前はスルフ・フォンです。このバカが」
「ええやん。金髪やからキイちゃんで」
「はいはーい、世間話はそこまでにしようね。会議を始めようね」
まるで幼稚園児をあやすような口調で会議を促す。
母性が体からにじみ出ているかのようなサリアン・クイン。
「そうじゃ、重い腰を上げてここまで来てるんじゃ。それなりの話があるんじゃろうな」
年齢不詳で髭をこれでもかと伸ばしているヴァン・ガン。
「ヒック、もっとしゃけが欲しいー。しゃけ以外の話なんてあるのら?」
いつも酔っ払っているがそれなりに顔は整っているマナリック・マナ。
「私たちは」 「そうでなくても」 「構わないよ!」
「重要でなくても」 「どちらでも」「構わないよ!」
必ず交互に喋る元気な双子のニコ・ルフ、キコ・ルフ
各々席に着き会議が始まろうとしていた。
楕円形のテーブルが真ん中にありそれを囲むように座る。
「今日呼び出したのは一体なんじゃ。それなりの理由があるんじゃろうな」
「しゃけー。早く帰りたいー」
6名は急遽集められたからか、不満を口にしていた。
「まああれや。リュウの魔法が効かんかったやつがおってん」
「そうそう。それでハンジュがそいつをボコって連れてきてん」
淡々と強制連行してきたことを普通に話し出した。
それを流すことができないのが母性の塊、サリアンである。
「ちょっと待って。強制連行って、そんなことをしたらダメじゃない。それぐらいもう子どもじゃないんだからね、もう二人ともとっくに理解しているはずでしょ。
少しいい位についているからと言ってなんでもしていいってわけじゃないのよ。なんのためにあなたたちにその位を与えたと思っているの。
それを上手に使いこなすと思ったからなのよ。それなのにあなたたち…」
やはりまるで母親に言われているかの様な口調で話し出した。
サリアンから説教じみたことを言われるとなぜか謝る気が内側からこれでもかと言わんばかり溢れてくるのである。
これはハンジュ、リュウとて例外ではない。誰しもそうなってしまう、魔法ではないのにだ。
「んー。強制連行してきたんは悪かった。でも魔法が効かんかったってのはあんまりないことやん。やから気になって連れてきたんや」
「今度からはちゃんと、理由を話して納得してもらってから連れてきてね。約束よ」