顔を赤くして・・・
ふらふらと商店街を歩く、今日はいい天気で歩いてるだけで少し汗ばむ陽気だ。
とくに目的もなく歩いてるのだが、のどが渇いてきた。どこか店にはいるとしよう。
と、すぐそばにある、団子屋に目がいく。
OPENと書かれた看板にメニューである数種類の団子の値段が書かれている。
値段は高くもなく低くもないだろう。小腹もすいたしいいだろう。
暖簾をくぐり店に入る
「いらっしゃいませ~、何名様ですか?」
「一人」
かわいらしい感じの店員が席を案内してくれる。
「ではこちらにどうぞ」
2名用のテーブルに案内される。
店内の雰囲気はなかなかいい感じだ。
「注文が決まりましたら、声をかけてください」
メニューを渡して、離れていく。
広くない店内だが、客席も少なく、窮屈感がない。
メニューに目を通していると、ふと視線を感じる。
顔を上げると先ほどの店員と目が合う。とふいっと店員は目線をそらした。
ほかのテーブルには客はいない、俺一人のようだ。
別段気にする必要もない、注文を待っているのだろう。
「すいません」
「はい」
「このおすすめの・・・」
「かしこまりました」
注文をきき、店員は奥に消えていく。
ふむ・・・どこか店員の様子がおかしい気がする。
店員が俺の顔を見て目線が合うと、顔を赤くして目線をそらしたのだ。
先ほどは遠くてわからなかったが、その時も顔を赤くしてたと思う。
それほどはっきりとした変化だった。
「お待たせしました」
と、注文した団子と飲み物をもって店員がくる。
「ありがとう」
と言って受け取り店員を見る。
目線は合わないが、店員の顔はやはり赤くなっている。
一目惚れされたことなど一度もない、というか誰かに好かれたことなどない。
だから自分の顔については、理解している。
が、こんな反応されたことも一度もない。
もしかしたら・・・という気持ちが、願望が頭をかすめる。
「いや、ないな」
と口で否定する。が心では否定しきれていない。
団子はなかなかにおいしかったと思う、それどこじゃなかったのであまり記憶にないが。
「すいません、お会計」
「はい、648円になります」
と会計をする時も、顔が赤くなっている。
また来よう、絶対!と心の中で決めて店を出ていく。
「お客様!」
が、不意に店員に呼び止められた。
(ま、まさか!!!)
冷静を装い、内心ではドキドキしながら振り返ると
顔を赤くした店員が、もの言いたげにこちらをちらちら見ている。
「・・・なにかな?」
「・・・」
「・・・」
「あの・・・」
「うん」
「お客様の・・・」
「うん」
「服が・・・」
「うん?」
「表裏反対です!」
「!?」
顔を赤くした俺は慌てて直そうとするのであった。