馬鹿にする少年
むかしむかし、あるところに、いつも他人を馬鹿にした物言いをする少年がいました。
「おい。へちゃむくれ! おまえの顔は本当に人間か?」
「おいおい。その太った体に短い足。よくまぁ表歩いてて恥ずかしくないもんだなぁ」
そう言われたみんなは少年から離れていきました。
そんなある日、一人の少年が彼に近づいてきました。
久しぶりに馬鹿にできる獲物が来たぞ。しかもなんて上物なんだ! 少年は思い、いっぱい悪口を言いました。
「なんだおまえ、その顔は! 今までに見たこともないくらいに醜いな! しかもその体つきも気持ち悪い。そんなんでよく生きていられるなぁ!」
少年は思う存分悪口を言い、とてもいい気分になりました。
しかし、悪口を言われた少年も、気持ちよさそうな顔をして笑っています。
なぜなら彼の名は『鏡』。
少年は、自分自身の醜い姿を馬鹿にして笑っていたのでした。