にばんめのはなし
お、落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け
まずは、状況整理をしよう。
耳は、聞こえる。目は、見える。感触は、ある。声は、出ない……
な、なんでだ!前までは出てたのに……
別に喉に傷があるわけじゃないし、精神的にか?
でも、辛いことがあったわけじゃ……
う~む
一旦保留にするか
次に、なんで男になってんの?
しかも、何気に年戻ってない?
私、こんなに若くなかったし……
二十代だよ?十代前半ですって年じゃないよ?
いや、若いっていいけど……
はぁ
これも保留か……
男なのも私に分かるわけない!ってことは保留、保留!!
最後に
「(ここ、どこ?)」
見渡す限りの森林や、草原
どこかで見たことが有るような……
どこだったっけ?
移動してmガサ
え?
動物?
肉食だったらどうしよう!!
そんなことを考えながら震えていると
ガサガサ
え!?
増えた!?
に、逃げなければ
ガサガサ「プハッ!」
え?
草むらからでてきたのは謎の美少女でした
あれ?彼女は……いや、まさかね
「あ」
謎の美少女は、私をみて固まった。
まぁ、まさか人間が居るとは思ってなかったのだろう。
私だってびっくりだし……
ところでこの子はどうしてここに?
全くわからん!
あれ?私ってこんなにバカだったっけ?
うわ、悲し!!
思考の渦の中から戻った時に、彼女は顔を赤らめていた。
うん!なんで!!!
「わ、わたくしは、マリアーヌ=ファン=ニアニールですわ」
え?行きなり自己紹介?
てか、あ、悪役少女のマリアーヌ!!!?
いや、似てる似てるとは思っていたが……
はっ!てことはここ“花君”の世界?
「あ、あなたの名前を教えてくださらない?」
あ、名乗らねば!!
えっと
「(私の名、)……ハッ!!」
喋れないの忘れてた。
ど、どうしよう……
「わたくしとは、はなしたくありませんの?」
先ほどより少し低く悲しみが混じったけれど子供独特の幼く高い声を残した声が聞こえた。
「ぶんぶんぶん(そ、そんなまさか!!恐れ多い!!)」
音にならない否定の言葉と 首をおもっきりふり全否定した。
「え?じゃあ、なんで……」
私は喉に手を当て手をクロスさせ、声が出ないことを伝えた。
つ、伝わるかな?
「え?そ、そうでしたの!!す、すいません」
わたわた
つ、伝わったぁぁぁぁ!
「(ぶんぶんぶん)」
気にしなくていいよ!
「あ、ありがとうございます」
ふわり
きれいに微笑んだ彼女に見惚れた。
あぁ、やっぱり彼女はとても綺麗だ。
彼女は傷つけられるべきではない……
彼女傷つけさせるものか!
彼女を絶対守って見せる!!
主人公はひとり、勝手に決意を固めていた。