第9話 「最終同意面談」
このブログを読んでくださる方に、心からの感謝をお届けします。
--------------------------------------------------
コーディネーターのIさんはどことなく、むっくんのお母さんに似ていた。しかしそれは、僕が勝手にIさんに面影を投影していただけなのかも知れない。
前回Iさんに会ったとき採血をしたが、その血液で僕の健康状態や(肝炎や梅毒、エイズの検査も行われる)、移植される患者さんとのHLAの適応性を判定し、採血から2週間で結果を知らせてもらえるとの事だった。
この検査を一般血液検査と言った。
僕は2年前に煙草を完全に止めており、結婚して規則正しい生活を送り、体重も健康的に増えていたので、検査の結果にはかなりの自信があった。
そして思った通り、一般血液検査の結果、骨髄提供可能であるとの通知が来た。
さらにそこから一ヶ月程後に、移植される患者さんの意向、健康状態、スケジュールの問題等をクリアした正式なドナーとして選定された旨の通知が来た。造血幹細胞の提供方法は、腰骨から骨髄を取るものに決まった。僕の身長と体重だと普通の体格の人より多く骨髄が採取出来そうだとの事だった。
その後、弁護士さんの立ち会いのもと、骨髄提供の最終同意の確認が行われるので、もう一度検査を行った病院にご家族と一緒に来たくださるように、と案内を頂いた。最終同意には僕のサインだけでなく、家族の代表者と立会人の弁護士さんのサインも必要との事であった。
最終同意面談の日、病院の待合室で妻とIさんが初顔合わせの挨拶をし、やや広めのミーティングルームに通してもらった。
その部屋には僕と妻とIさんの他に、調整医師さんと一目見て弁護士さんと分かる方がいた。
弁護士さんの名刺を頂き、ここで話される内容、ミーティングがあった事自体が、万が一の場合法的に証言・証拠として扱われる旨の説明を受けた。
骨髄提供の内容とリスクについて再度説明があり、弁護士さんは妻に、僕が骨髄提供をする事に関する正直な感情を尋ねた。妻は確りとした口調と態度で、僕の友人むっくんの事、以前喘息で僕の提供が流れた事を話し、不安はあるが僕の意思を応援したい気持ちです、と言ってくれた。
それから、僕と妻の両方が骨髄移植の内容を十分に理解している事を宣言し、僕と妻と立ち会いの弁護士さんは最終同意書にサインと捺印をした。
季節は、もうすぐ冬になろうとしていた。




