その灰色の建物に近づけば近づくほど
その灰色の建物に近づけば近づくほど
その建物の色合いは酷く歪に見えているが、それ以前に何とも言えない嫌な匂いがオオカミの全身を包んでいた方がオオカミには酷くこたえた
「大丈夫でしょうか」四度目の応えに先を行く彼女は振り返らずに
「そこです」とゆびさすそこには酷く曇ったガラスのはまっている扉が見えた
「本当に入るんですか」
「怖いんですかオオカミさん」最後のオオカミをどこかからかい調子で言うみなくろ
「怖くはないんですが少し悪寒がするのが気になります」
「霊感でもおありで」またしてもどこか歳というか外見に似合わない酷く陰気な笑みを浮かべて聞く
「そんな物があるなら僕は信じてみたいですがしかし今回は第六感のような気がします」
「霊感は信じないのに第六感は信じるなんてなんだか破綻してませんか話が」
「そうでしょうか、霊感はどうも見るまで僕としては確信は出来ませんが
しかし第六感というのは予知なんて珍気というのかは知りませんが
そのようなものではなく、総合的に予想を立てるいわゆる
暑い物を見ると暑そうだ、そんな感じに思うことではないかと」
「長そうなので急いで入りませう」
「そうですか・・」僕が中にはいると
そこは一気に暗さが増し、果たしてここで本当に何か作業などを行っているのかという感じがしてこないではない
「果たしてここに本当に幽霊はでるんですかね」
「・・・っと言うことは出ないんですか」
「出るなんて言いましたか」
「・・・でないんですねミクロさん」
「みなくろです、私そんなに小さかありません」
「失礼しましたつい」
「こんな話をご存じ」
「知りません先を急ぎませう」
「そこをお聞きになって」
「なりませうの反対せう」
「・・・なにが仰りたいせう」
「うっかりとついってどちらが罪が重いと思いますか」
「先を急ぎましょう」
「そこはせうでは」
「行きませう」
「聞きたくはないのでしょうか」
「行きませう」
「・・・うっかりの方が・・」
「GOせう」
「・・・・もはや使い方・・」
「せう」
「・・」
階段に次ぐ階段
全てが灰色なせいでその中にみなくろさんの服が浮いて見える
まるでそこには彼女しか居ないようなそんな錯覚に陥るがしかし
等の僕はどちらかと言えば地味に分類される姿のせいも手伝ってか
実に地味に溶け込んでいる
「あらオオカミさんなかなか忍術がお上手で」
「・・・・」
「もおおこったらっめ」
「・・・・・その歳で止めてくだ」
僕の後頭部になにやら鈍器のような感触がぶつかる
余りにいきなりだったのでそれが何なのか理解が追いつかずそれでも逃げようかと振り返ったとき般若のような小柄な彼女が鬼のような握り拳でもって怒っていた
どうやら鬼の琴線に触れてしまったようだ
「すいません」
「謝ればよし」そお言いながらポカリとやるところに恐ろしさがある
「それでどこに向かっているんでしょうか」
「秘密ですので」
「・・そこを何とか」
「秘密は破るためにありますから」
「・・教えてくれるんですか」
「教えません」
「どっちなんですか」
「どっちなんでしょう」
「・・・・・・・」
カツンカツンとコンクリートの音
上がったり下がったり、まるでチャップリンのあの映画のワンシーンのように繰り返し繰り返し同じような違うようなところを歩く
「幽霊を探しているんですよね」
「この工場で神隠しがあるって噂は知ってますか」
「・・・」
僕の無言に彼女はそのまま続けた
「知らないんですね」
「はい」
「聞かなかった事にしておきましょうか」
「無理ですがそこまで言うなら」
「言いませうか」
「お願いします」
「お金」
「ノーマネー」
「プリーズ」
「フリーズ」
「イッツコールド」
「止めませんか」
「私も歳かねー」
「いえいえ」
「ありがとう、しかしここに来た理由って言うのは」
「理由って言うのは」
「理由って言うのなんだけど」
「何なんですか」
「実はここ石鹸作ってないのよ」
「どう言うことなんですか」
「ここは元から石鹸なんて作っていない
私が島を出ていの一番に調べたことがあるの」
「それがここだと」
「ええそうなの、どれだけ調べてもこの会社のホームページがない」
「失礼ですがそんなものないのでは」
「そんなわけは」
「しかしこれほどまでに昔の生活を残しているのであればもしかしたらもしかするのではないかと」
「・・まっまさかねー」
「・・・・・・信じられませんかみなくろさんはそのことを」
「しかしあり得るかもしれないわね」
「ではなぜここに来たのですか」
「いや話すと少し短くはならないからはしょるけどさ」
「ここがなにを作っているか知りたくて、みたいなことでしょ」
「あったま良いねオオカミさん」
「。。。。。」
「もう馬鹿にしてないから、しかしそれなら帰りますか」
「少し質問をよろしいでしょうか」
「私で答えられるのであれば」
「神隠しという物は本当なんですか」
「嘘」その一瞬笑っているようでどこか憂いが見えた気がするが暗い室内のせいだろうか
「本当ですか」
「本当って、疑ってるんだ」
「疑ってますが」
「信用無いな私」
「本当のところはどうなんです、さっきからあなたの言動は曖昧な点が多すぎる」
「たとえば」
「たとえば、昨日ここの工場は解六張のものであの寮がshadowの本社だとか」
「そうだけど」
「っえ、それじゃあここはどこなんですか」
「どこかって言われても」
「いや分からないなんて事はないでしょ」
「神隠しに会わないこともないなんて事もないでしょ」
「迷子ですか」
「かみか・・」
「迷子になったんですね」
「すいません」
「どちらにしてもスッキリしません、ここは何の建物なんですか
そしてあの幽霊が出た寮は誰の所有者の建物なんですか、そこだけはハッキリさせておきましょう」
「分からないんです」
「分からない、それはどう言うことです」
「私がこの島に帰ってきたとき出来ていたんです」
「・・・どういうことですか」
「この島には代々石鹸を作る会社があったのは確かです名前もshadowなんです」
「はあ」
「それで私が久し振りに島に帰ってきたらこんなどんな工事をしたら出来るんだってくらい大きな建物が」
「誰かに聞かなかったんですか」
「聞きましたよ、そしたら」
「そしたらどういったんです」
「そんな物は知らないって」
「ますます意味が分かりません、それはどういう」
「私だって聞きたいですよ、これが一体どういうことなのか
島のみんなはここが解六張っていうんです」
「それならそれで良いのでは」
「違うんです、ここは少なくとも石鹸なんて作っていない
だいたい昔からこの建物だってみんな言うんです」
「・・・あなたは精神科に一度」
「そんな人間に見えますか」
「・・・さあ、一般人の私には」
「オオカミなのに人なんですね」
「、、、、はぁ」
「ごめんなさい」
「いえ、それよりもまとめましょう、あなたがここに帰ってきた日のことを」




