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奴との出会いは僕がここに来てすぐであった

奴との出会いは僕がここに来てすぐであった

僕が生まれて初めて戦った相手であり

また僕にはとうてい勝てる希望さえもないそんな生物との遭遇でもあった

そいつは国以上の組織から来たと言い、そして

「お前が消えたら仕事は終了する」と言って酒を飲んだ

今考えればあのときも黒いスーツはヨレてはいたが

あのときが一番見れる格好のような気もする

しかしなぜ国以上の上の組織が僕みたいのにその手駒をいつまでも見張らせるのか、どうせならそんな人材の無駄をするくらいならどこかに閉じこめておいたほうがまだ金のかからないような気がする

なんと言ってもこの男さえいれば、たいていの奴は勿論倒せる上に実に優秀、外科から産婦人科、料理は離乳食からインド料理

はたまた、結婚コンサルタントから葬式まで全てをこなせそうな男であるからにして、やはり一介の喋れる狼なんかを監視するのはどう考えても

合理的ではないといつも考えていた

しかしどれほど奴に言ってもあいつは

「お前が死ぬか消えるかまでは、死んでもお前のそばから消えることはない」


それは今まで一人でいた僕にとっては実に信じがたく不意に

「うん」と言ってしまったのが今でも悔やまれる

まーくやまれると言っておこう

かくして今まで僕たちは否応無く二人で共同とも取れない共同生活を送って来た、奴はすることがないのでいつもこのビルで一番大きな

ラウンジの端っこでなにもせずに眠りこけている

かく言う僕はこの姿ではあったが奴と共に調べた監視カメラやそれに類する物を調べ、そこを通らないようにして外出はしていたが

あいつは特に何も要わない

ただ「行って来ます」と言うと

何の気兼ねもなく、麦酒ビール瓶を掲げるのである

そんなくだらない毎日が二年は過ぎた頃に今の事件が起こったわけだ


「うううぅーん」

奴は三日ぶりに目を覚ました

あのおやじに薬を打たれて強制的に寝ていた薬が切れたらしい

僕は身構えた

正直完全とは行かなくともだいぶ傷は癒えている

と言っても動けばまたいつ傷口が開いてもおかしくないが

おやじ曰く「死んでも死ぬかよお前が」だそうで

僕のことはあまり見ずに三時間に一回彼女を見るでもなしに眺めてすぐにいつものロビーに行くのであろう

「おーーーーいおやじ」

いちお叫んでから僕く彼女を今度はどのようにしてなだめようかとそればかりを考える

一応に三日前から考えてみるものの

彼女がいったいどのような性格でどのような恨みがあるのか

あのときあのじじいが遮ってしまったため聞いていない

かくして彼女が丈夫そうな顔立ちの瞼をあけるが、どうもロボットの起動の瞬間を臭わせる

「あっあの・・・」

何も言わないはずがついまた言ってしまう

「うう・・・あんた、誰」

それは予想にもないことを言った

果たして薬のせいで記憶を喪失したのだろうかそれともやはり、油断させておいていきなりこうグサッとそういう算段なのだろうか

「・・・・あの大丈夫ですか気分は」

僕はそう彼女に尋ねると

「ええ大丈夫ですがあなた誰ですか、私はどうしてここに」

それは実に予想外だった

自分は正直だまされやすい性格だと自覚している

しかしまだ分からないにしろそれが本当に自分のことが分からないんだとしたら

「君自分のこと覚えていないの・・」

そこで僕は一瞬気を緩めていた自分が心底アホかまた度アホウだと痛感した

奴は布団を翻すと僕めがけて襲ってきた

いつから奴は起きていたか知らないが、それはとても寝起きの態度とは思われないが、もしかすると反射的に襲うほど僕という存在または僕とい言う存在に似ている物を恨む理由があるのかもしれないが

どちらにしても今僕は殺気を前回にした獣相手にただただ死を覚悟していた

しかしいつまで立っても死は来ず

代わりに目を開くと布団から落ちて気絶している彼女が目に入った

果たして転け躓いたのだろうか、それとも傷が予想より、いや十二分に彼女の傷は重傷なはずだが、果たしてあの男の腕からして、もしかするとわざと腱を切ったとか、いやまたは塞がりやすい傷を切ったとか

いやだとしても男には楽勝のことに思われるが、後者は理由にあってはいない、かくしてよく見ると彼女の腹に鎖が頑丈に巻かれており

それが元でここまで来る前にしたたかに空中で引き留められたまま

落下したのだろう

それほど簡単な鎖ではないことから

奴は目覚めてすぐに飛びかかったと見るならば

やはり・・・・

僕は実に憂鬱に、これからどないしましょと、鈍より曇った雲をビルの窓から眺めたのである



  終         藤本・智大・ジョン  著


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