プロローグ
初めて小説なるものを書いてみました。
拙い文章ではありますが、今後ともよろしくお願いします。
…では、聞いてくれ。
この俺、サリヴァン・ノルディアの、
まだ失うことを知らなかったころの昔話を。
俺が生まれたのはノクト村という、人口が100人程度の小さな村だ。
そこで、村人の多くは林業か農業をしていた。だから森の機嫌に影響されやすく、物質的にはそこまで豊かな村ではなかったけど、村人同士が、自分にできることとできないことを互いに補いながら、協力して生活してたんだ。
それはとても当たり前のことに思えるけど、今なら断言できる。
それは素晴らしいことだった、と。
そんな素晴らしい村をまとめる村長が俺の父さんだった。
父さんは俺に剣の握り方と、飯の食い方を教えてくれた。
飯の食い方ってのはもちろんスプーンの持ち方とか、音を立てずにスープを飲む話じゃない。
父さんの言う“生きる術”のことだ。
俺はよく父さんと森に入って、食える草と食えない草を教わった。
「これは食える」「これは腹壊す」「これは死ぬ」――そんな調子で。
食べられる草の見分け方も、火の起こし方も、獣の足跡の追いかけ方も、俺は父さんにいろんなことを教わった。
父さんの剣術はとても荒々しかった。
「洗練されていた」とはとてもじゃないが言えない。
だけど、そんな荒々しい父の素振りがとてもかっこよかった。
父の流派は、相手の小細工を圧倒的な力でねじ伏せることを重視する流派だったらしい。
今思うと、父さんとの修行は手加減されていたが、それでも十分厳しかったと思う。
だけど、それは父さんが俺に期待している現れだと分かっていたから、嫌じゃなかった。
父さんの背中は大きくて、暖かかった。
母さんは俺に魔素の扱い方を教えてくれた。
そういえば、まだ君に魔素のことは詳しく教えてなかったね。
魔素というのは、この世界の全ての物質の源だ。
一つ一つは砂よりも小さいけど、それが集まるとどんなものにでもなれる。まさに無限の象徴だ。
空気にだって魔素は含まれているし、人の体だって魔素でできている。
だから自分で言うのも何なんだけど、俺の持つ
「魔素眼」はとても強力だ。
魔素眼を使えば、誰かが近づいた時、空気中の魔素が揺れ出すからすぐに反応できる。
纏っている魔素の濃さを見れば、その人が大体どれくらいの強さかも分かる。
そして、この魔素眼を今、使いこなせているのは全て母さんのおかげなんだ。
母さんも昔から魔素眼を使えたらしい。
母さんは、物心もつかない頃に家族を失い、孤児院に預けられたそうだ。
孤児院を出た後は、魔法と魔素を組み合わせて冒険者となり、そこで父さんと出会った
父さんと母さんの馴れ初めは、何回か聞いたんだけど、一度もまともに答えてくれなかったな
まあ、結果としては、2人は結婚し、その半年後俺が生まれた訳なんだけど。
話は変わるが、君の知っての通り、そして自分が知る限りこの世界では、俺と母以外に魔素眼を持つ者がいない。
だけど魔素について詳しく語れる人は少ないけど、存在自体は知っている人が多い。
これってつまり、自分が生まれる前よりも前に、
自分と同じように魔素眼を扱えた人がいたということだよね。
明日からはあそこで、そういうことを研究してみようかな
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夜が深まり、静寂が街を覆う時間。蝋燭の光の下、青年が2人
黒髪の青年はベッドの上で半ば眠ったような目で、銀髪の青年の話を聞く。
黒髪の青年は相槌も打たずに、ただただ黙って聞いていた。
銀髪の青年、この俺、サリヴァンは少しイラついていた
「アゼル、本当に聞く気あるの?真面目に聞かないなら続きは話さないよ」
「ちゃんと聞いてるよ。さっき言ったろ、今日の俺は聞く専だ。最後までちゃーんと聞く。だから、続きを話してくれ」
なら続きを話すとしよう。
俺は知っているからな。
彼は嘘をつかない者だということを。
だから、俺は今夜、今まで誰にも見せずに、引き出しに押し込んでいた過去を、引き摺り出すんだ。
今、ここで過去を話すということは、言ってみれば、過去にできた、まだ完全に治っていない傷を、自身のナイフを使って抉り取るようなことだ。
だけどこの傷を彼と共有できるのならば、俺はこの過去にけじめをつけられるのかもしれない。
俺は、深く息を吸い込み、吐き出した。
そして俺はもう一度確認する。
「分かった。続きを話そう。だけどさっきも言った通り、今日言ったことは絶対に誰にも話すなよ。
そしてこれは願いなんだが、もしこの話を最後まで聞いて、幻滅したとしても、どうか友達のままでいてくれ。」




