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もう殺すしかなくなっちゃいました

 私は全速力で逃げるシュカさんを負う。

 まず戦闘が少しでもできるやつから潰す。勝つためには最もベストな選択。


「猪突猛進キック!」

「ぎゃぁあああ!」


 バラメータでスピードに重点を置いて振っているので私の速度からは逃げられるはずもない。

 私はシュカさんをつかむ。そして、思い切り地面にたたきつけた。


「さ、これで逃げられませんよ」

「さっきからやり方がもろライバルか悪役なんだよな……」


 ……私は思わずタイタンさんのほうを向いた。

 今何と言った。私のやり方がライバルか悪役……? そんなことはない。私はいつだって主人公っぽく逆境に立ち向かったり……。

 

「タイタンさん、私は主人公ですよ。なんですか悪役って」

「いや、組み伏せて滅多打ちにするとか、逃げる相手に追いついてとどめを刺そうとするとか、もろに悪役だろ」

「そんなことはっ! ……そんなことはっ!」

「動揺してない?」


 嘘だ。

 私がやっていたことは実は悪役だったというのか……? 私は主人公のようにふるまっていたつもりなのに……。

 

「この構図もお前が挑まれる側の立場なんだから普通はお前がゲームとかで言う魔王の立場だろ」

「いや、こちらとしては多勢に無勢という主人公がよくたつ立場のほうだと……」

「強さの差を考えろよ。俺らは挑む側のほうなんだぞ?」

「……私、悪役でした?」

「あぁ」


 しろんちゅさんのほうを向くと、しろんちゅさんもうなずいた。

 私のやっていた正義とは……悪。いや違う。


「私は最強系主人公なのです……! そういう主人公だっています!」

「だとしてもそういうのは強者の余裕とか持ってねちっこく追いかけてとどめを刺さないんじゃねえの?」

「うぐぅ!」


 痛いところを突かれる。

 

「そもそもそういう主人公は基本的に自分から動かないことのほうが多いよな。迷惑ごとのほうからやってくるし。お前はそういう意味ではアクティブすぎてむしろ……」

「ち、違うッ! 私は……! 私は主人公なんです! たしかに途中、これ主人公かな?とか疑問に思いましたが主人公なんです!」

「いやいやいや」


 どうしよう。反論できない……。

 私はどうやら悪役だったらしい。主人公気取りでノリノリだったのだが、一気に熱が冷めてしまった気がする。

 私は悪役……。そうか、悪役か……。


 割とショックだ。

 私は主人公だと思いながらロールプレイしていたのに、まさかいつの間にか悪役の立場に置き換わってしまっていたなんて。

 主人公が実は悪役でしたとか、そういう展開もあり得るけど……。少年ジャッツには似合わない展開だ……。熱くて燃える少年漫画じゃない……。


「今だぁ!」


 背後から思い切り殴られる。

 私は地べたに這いつくばった。


 あ、でもこれ主人公っぽい……。


「当たったぁ!」

「メンタル攻撃がここまで有効なのかよ」

「ユメミにだけ刺さったようだ。ククク……。天才というものは常人とは感性も違うものよ……」


 悪役、悪役かぁ。

 仕方がない。受け入れるしかない。ちょっと嫌だけど……。


 私は立ち上がり、追撃に来たシュカさんの攻撃を受け止める。


「じゃあ、もう開き直って悪役で行きましょうか」

「え、もう立ち直った?」

「メンタル攻撃するなんてひどいですよお三方。悲しいですよ私は。どうしてそういうことするんですか?」

「開き直りが早いんだよお前……。悪役ってのも間違いじゃねえよやっぱ」

「はい。私は悪者です……。なので、もう殺すしかなくなっちゃいましたね」


 私はシュカさんとの距離を詰める。


「はや……」

「闇精霊魔法」


 引っ張る力と私がパンチする力。

 双方から力がかかるとき、威力は上がる。こういう仕様らしい。


 シュカさんが引き寄せられ、私の拳が顔面にあたる。シュカさんは吹っ飛んでいき、消えていく。


「残り二人」

「覚醒させちまったか?」

「かもしれぬな……」

「……お前は立派な主人公だ」

「もう遅いですよ。ふふ、いいでしょう。悪役なら悪役らしく暴れ散らかさないとですね!」


 タイタンさんを引き寄せぶん殴る。

 私と同様、そこまで防御が高くないタイタンさんは消えていく。あとはしろんちゅさんのみだ。しろんちゅさんは先ほど攻撃して手負いである。

 あと一撃。


「ふむ、我一人となってしまったようだ」

「何か言い残すことは?」

「……わが生涯に、一片の悔いなし!」

「それ私が言いたかったなぁ」


 私はしろんちゅさんにとどめを刺した。

 私の勝利ということで7ポイント、獲得。











元ネタはゲームだろ!というツッコミはさておき。

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