ランキング
現在のポイントは36ポイント。
プレイヤー一人につき1ポイントなので、まぁ序盤にしては悪くないポイント数だろう。
荒野を歩いていると、突然目の前にウインドウが現れた。
『プレイヤーの諸君、楽しんで頂けてるかな? 新たなシステムを導入するぞ!』
運営の人が画面に映し出される。
そして、新たなシステムというのは……。
『どの人がどんだけポイント持ってるか、ランキング形式で可視化出来るようになったぞ!』
「へぇ……」
誰がどれだけ稼いでいるか。それを確認出来るようになるのはありがたい。
今現在、私がどこの位置に属するかは分からないからな。低くはないと思うが……。
それに、これの利点は他のプレイヤーにとってはまだある。
というのも、こういうのは強さの指標になりやすい。ポイントを多く稼いでいる奴ほど多くのプレイヤーと戦い勝利してきたということである。
一概にポイントめっちゃ稼いでるから強い!とは言えないが一種の指標にはなるので、上位陣には近づかないという認識も出来るだろう。
つまり一層難しくなる。
私の位置次第では私を視認した瞬間に逃げようとする奴が出るかもしれない。
逃げるプレイヤーを倒すというのは難しい。相手が逃げに徹するなら尚更だ。
「いいじゃないですか。さて、私の位置は……」
私の目の前に順位が張り出される。
私の名前を探してみると2位の位置に鎮座していた。36ポイントで2位、か。
「1位は39ポイント……わりかしまだ追える範囲ですね。名前は……アジュラさん。聞いたことない名前ですね」
まぁ、アジュラさんに並ぶように私も戦いに励むとしよう。
私は順位表を閉じると、背後から殺気を感じた。
私はしゃがむと、斧をぶん回しからぶった女性と目が合う。
「今の不意打ちだったっしょ!?」
「隙だらけですね。昇竜拳!」
高く、拳を突き上げる。
上空高くぶっ飛ぶ女性。私は落下予測地点に立っておく。そして、そのまま力を貯めていた。
「やばい……」
「せーのっ!」
正拳突きが女性の鳩尾にめり込む。
女性は白目を剥いて倒れたのだった。
1ポイント入ってくる。
「ふんふふ〜ん」
気分が良く鼻歌も出てしまう。
すると、私の周囲に多数のプレイヤーの気配を感じた。
囲まれている……? いや、このイベントは協力するメリットはない。協力したところで意味はないはずなのだが……。
私は立ち止まり、周囲を確認する。
確かに狙われている感覚が四方八方から感じる。だがプレイヤーの姿が見えない。
透明化スキルでもあるのだろうか。それがあるなら厄介だが……。
すると、強い気配を背後から感じた。私は思わず反射的に手が出てしまうと誰かに当たった感じがする。
「ぶほぁ!?」
「透明化……。イベント専用スキルがあるとか言ってましたね。それですか」
「んでわかった……」
プレイヤーが姿を現した。
その瞬間、横からも気配。私は思わず仰け反ると、目の前を矢が通り抜ける。
「遠距離狙撃……。遠距離狙撃と透明化相手はどちらも放置したくないですね」
どうするべきか。
答えは。
「せいやッ!」
透明化するプレイヤーを矢が飛んできた方向目掛けて思い切りぶん投げ弾除けにする。
協力する意味もないこのイベントでは今のところフレンドリーファイア防止機能はない。攻撃は仲間をすり抜けず当たる。
「無茶苦茶だテメェ!!」
「やべ……」
「射程距離長いですね。とりあえず2ポイントありがとうございます」
私はまず最初に弓を持ってるプレイヤーの首根っこを掴み地面に叩きつける。
妨害してくる透明人間。ただ透明化してないということは使えない時間があるらしい。透明化スキルは回復中か。
「クソ……なんだこいつ……!」
「無茶苦茶強い……!」
「透明化+遠距離狙撃……。バトル漫画では割と地味な能力ではありますが厄介ですよね。厄介に厄介を足したら超厄介です」
「クソがッ!」
「逃しませんよ」
距離を取ろうとする男目掛けて走り出す。
飛んでくる弓矢は乱暴に撃って照準も定まっていないので当たることはないだろう。
戦いにおいて冷静さを欠くというのはご法度です。勝つためには冷静になること。漫画の常識。
すると、逃げていたプレイヤーが誰かにぶつかる。
その瞬間、男は倒れて消えていった。
「……恐ろしく速い手刀、私でなきゃ見逃してますね」
「お前がユメミ……」
「アジュラさんですか」
アジュラさんの見た目は何というか奇抜。
半裸で赤い肌。ボディペイントだろうか。どこの部族だろう。
「話をする前に失礼」
私は背後に回し蹴り。
透明化していた先ほどのプレイヤーが倒れる。
「なかなかやるな……」
「やりますか?」
「いや、お互い消耗するだけだろう。前半であまり体力を消耗したくない……」
ごもっとも。
アジュラさんは雰囲気で強いと感じる。戦うと非常に厄介な存在になりそうだ。
「話をしよう。攻撃はしない」
「話を?」




