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 暗夜の荒れ地につく。

 名前の通り、雲が完全に太陽を遮っており、植物の類が一切育っていない。

 常に夜みたいな感じの場所のようだ。


「闇の大結晶はこのエリアにあるとして、どこら辺にあるかはわかってますか?」

「分からん。だが、答えのあるものばかりではつまらぬだろう……。追い求め、彷徨うのも一興……」

「そうですね」


 たしかにどこにあるか分かってるものを探しに向かうのもそれはそれでつまらないような気がする。

 ある、という情報だけで探しにいくのも面白い。


「じゃあ、探しにいきましょう」

「あぁ……。共に闇を求めて……」


 しろんちゅさんと共に歩き出す。

 日光がないこのエリアはぺんぺん草すら生えていない荒れ地。

 そのくせ雨が降っているかといえばそうでもなく、ただただ巨大な雲が頭上に鎮座している。


「……っ!」


 背後から魔物の不意打ち。

 私はダガーで咄嗟に防ぐ。


「黒い魔物……」

(シャドウ)……。クク、面白い魔物だ」


 私は闇精霊魔法で引っ張り寄せ、ダガーで急所を突く。

 シャドウみたいな魔物は霧散して消えて行ったのだった。ドロップ品は影の雫と呼ばれるものだった。


「まぁ、生物としてはここに生息出来そうにないですからね。出すとしたら実体のない……影みたいな魔物ですか。不思議な魔物ですね」


 草が生えないというのはそれを主食とする草食動物がいない、そして草食動物を食べる肉食動物もここには存在できない。

 荒れ果てた土地。生息するのは影の魔物たちばかりだ。


「影の魔物のことはよくわかりませんが……。不思議ですね〜」

「影を使役する存在になれたのなら……我らは無敵だろうな」

「私はなんかいずれ出来そうな気もしますが」

「闇の精霊だったな……」


 私たちは先へと進んでいく。

 

「闇の大結晶って塩の結晶みたく洞窟内にあるんでしょうかね? というか採掘出来る場所は洞窟内にだけありそうなものですが」

「そうでもない。そこら辺に採掘ポイントは点在している」

「そうなんですか?」

「そこにもある。掘ってみよう」


 しろんちゅさんはピッケルを構え、荒れ地の岩を叩く。

 岩が割れ、コロコロと小さい闇の石が転がってきた。


「これも闇の結晶ではある……。が、大結晶とは呼べぬ。素材の説明では、闇の力を蓄え続けてきた鉱石と説明がある。ここでは闇の力が濃いのだろう」

「これのデカいバージョンですか」


 これも集めておいた方がいいのかも。

 あとで採掘士のライセンスも取得しておこうかな。

 あらゆることを経験するというのはネタ探しにおいて大事なことだし。


「一度、探知を使ってみるか」


 しろんちゅさんがピッケルを構える。

 そして、地面に叩きつけた。揺れる大地、そして。


「南の方角にデカい鉱石の反応があった。もしかしたらそれかもしれぬ」

「探知を出来るんですか?」

「ああ。覚えたのだ。便利であるな」


 しろんちゅさんが言ったように南へと足を進めていく。


「近い。ユメミ、覚悟は出来ているか?」

「出来てますよ」

「そうか。ならばいい」


 しろんちゅさんが私を連れてきたのは道中の魔物もそうだが、その鉱石を守るような魔物を警戒してのことだ。

 塩の結晶を採りに行った際に出会しているので目の前にもしかしたらいるのではという懸念。


 その懸念は当たっていた。


「ガルルル……」

「影の狼ですか」


 影狼(カゲロウ)と言ったところか。








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