猪突猛進!
いきなり攻撃され、私たちは戦闘態勢を整える。
こういう不意打ちは初めて受けた。
「ユメミ大丈夫!?」
「問題ありません」
「来るべ!」
牛は勢いよく再び私目掛けて突進。
目で追えない速さで私に再び突っ込んでくる。
私はまた防御態勢を取った。
「速いッ!」
吹き飛ばされ、岩に背中をぶつける。
この2回攻撃で私はすでに瀕死になっていた。目で追えないぐらい速い。
こいつは一体なんなんだ?
「チッ……狙いはまた私みたいですね」
3連続私……。
もしかしてこいつは一度狙ったら殺すまで狙い続ける感じか? となると次躱してもまた私を狙うだろうな。
だがどうしろというのだ。この速さに私はまだ適応できていない。
「地球割り」
スチルがハンマーを強く叩きつけた。
牛は怯まない。
「チッ、狙いは変えられん……。ユメミ、何とかして躱すしかない!」
「わかってますよ! 1、2の……3!」
牛が突進、私は高くジャンプ。
「よし!」
私は着地を決めた。
突進攻撃しかないようだ。タイミングは今のでなんとなく掴めた。
なんとなくコツを掴めればこっちのもの。敵のヘイトが私に向いてるならやりやすい。
私は再び岩の方へ移動する。
牛はあいも変わらず私の方へ狙いを定めている。
走り出したら急に止まることは出来ないんだろう。
「スチルさん、シュカさん、ラーさん。攻撃の準備を」
「え?」
「いきますよ、3、2、1」
私は攻撃をかわした。
そして、牛が私の背後にあった岩に頭をぶつけ、クラクラと目を回す。
岩があっても止まることはできないんだろう。岩に頭をぶつけ脳震盪を起こした。
「すげー!」
「え、えと! ファイアーボール!」
「ギガインパクト」
「急襲」
私たちの攻撃が牛に当たる。
攻撃力はあるが体力はそんな高くなかったようで、牛はすぐに倒れて消えてしまったのだった。
経験値が私たちに入ってくる。あまり美味しい魔物ではなかったらしく、レベルアップとまではいかなかった。
「おしまいですね」
「なんだったんだこれは」
牛の魔物を倒し、私たちは先へ進むことにした。
体力が残り少ないが、まぁなんとかなるだろう。
「ユメミ、大丈夫? 回復いる?」
「いりませんよ。このまま死にかけでやった方が面白いでしょう」
「そう?」
忘却の森。
予想以上に手強いダンジョンだ。こういうのとても大好きである。




