予想外のお話
スチルがこのクランに来てから、依頼の消化効率が跳ね上がった気がする。
私は原稿作業もあり、今現在そこまでログインできずにいる一方で、スチルは気ままに依頼消化をしてくれていた。
「あーーーー、やっと連載終わりましたねーーーーー」
原稿をすべて描き終わった。
喜谷さんに原稿を見せてOKをもらう。
「これも単行本に入れるんですよね? 作業しなくては……。の前に家のこととかもろもろ……。やること山積みですね」
「もあるが……。まだ伝えたいこともある。まず一つは都市伝説おいてけのアニメ第三期についてだ。アニメ第三期、来年の夏にやることが決まった」
「来年ですか。範囲はどこまででしょうかね。ラストまで行きます?」
「おおよそ行くだろう。それともう一つ……。映画化の話もある」
「……えぇ」
私は予想外の話に戸惑っていた。
というのも、私の作品である都市おいは映画をやる前提で描いてない。そもそも作品として映画にはそこそこ向いてない部類じゃないかと思っている。
だからこそ意外な話に私は戸惑ってしまった。
「映画化するとして……どこの範囲です? まさか全部オリジナルで?」
「映画の範囲としても……ラストの話を映画でというのはあまり好ましくないだろう。映画にするにしては見せ場が少なすぎる。となるとオリジナルの脚本でやるという選択肢しかないが……」
「オリジナルの脚本を描けってことですか?」
「そうじゃない。映画は外伝みたいな扱いでいいのなら、アニメが終わったあとに都研部の数年後のお話とかそういう話で進めることもできるなと思っただけだ」
「喜谷さんはできるって方向で考えてるんですか?」
「ぶっちゃけできると思う。終わった後でも開拓の余地はある。あまり昨今の漫画では褒められないが、それこそ海外の呪われた都市伝説だったりといろいろバリエーションが豊富だ。人間がいる以上、この手の話題には事欠かない」
たしかに。
だがしかし、それだと海外に行く動機づけをしなくてはならない。主人公はそこまで旅行好きじゃないという点をどう誤魔化すか、だ。
うーんと考えてみると。
「やっぱ海外はナシでいきたいです」
「そうか?」
「一話だけならできるかもしれません。卜伝先輩の卒業記念の旅行というのはどうでしょう」
「卒業旅行か。たしかにそれもアリだ。青春している感じがする」
「卜伝先輩たちが向かった先は因習村と呼ばれる曰く付きの村で、その村から出られなくなって……。と大まかな流れは今思いつきました」
「いいな。旅行資金は金蟻がいるからいいとして、卜伝先輩のキャラともうまくかみ合っている。きっと行先は秘密で連れだしたんだろうな」
「そうですね。行先いうと主人公ついていきませんから」
喜谷さんと映画にした際の主人公たちについての方向性をまとめていった。
「じゃあ、映画化の話は前向きに考えることにしよう。ただ、監修する場合、ストーリー、バトルは映画を考えたものにしてくれ。陰湿な頭脳戦ではなく、なるべく派手に、だ」
「わかってます。ど派手にしましょう」
映画化かぁ。
原作者監修、というのはよく聞くがどの範囲まで監修しているんだろうな。まぁそれはいいとして新たな仕事ができてしまったな。
映画化するにせよしないにせよ、一応大まかな漫画だけは作っておこう。まずはキャラ設定、村設定からだな。
「……ま、決まってから考えても遅くないですね。ネタ探しを優先したほうがいいかもしれません」
もしかしたらゲーム内で得たネタも使えるかもしれない。
「とりあえず、家に帰りましょう。業者さんが片付けてくれてるはずですし、届いているパソコンとかをセッティングしなくては」




