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山奥の猿 ①

 ラーさんと一緒に遠くの町へやってきた。

 山間の集落、ヤマナミ村。四方八方を山に囲まれている小さな集落。

 閑散としている集落。村の中に入っても誰一人とね出会わない。


「おらの出身村と似とるなー」

「ラーさん、農村出身で?」

「んだぁ。ここまで人がいねーってわけでもなかったがよ、うちの農村もなーんにもなくてなぁ」


 ラーさんは明るく笑い飛ばしていた。

 私は都会出身だし都会しか住んだことがないからこういう村とかのことはよくわからない……。

 ……都市おいとかでも因習村とか描いてもよかったなぁと思ってしまった。


 都市伝説研究部因習村合宿編……とか。

 まぁ、終わってしまった作品だし今から描くには時間が足りない。

 あ、でも映画化のオファーがあったら原作として描いてもいいかも?


「んで、ここに何しに来たんだか?」

「ここには依頼のモンスターがいるらしいんですが……」


 目についた依頼の一つ、集落に出現した魔物の討伐をしてほしいとのこと。

 歩いていると、そのモンスターを見つけた。

 ビッグフットのような大きな猿人。そのビッグフットは私たちを見つけると、ニンマリと気色悪く笑い、変な走り方をして駆け寄ってくる。


「ウキャキャッ!」

「っと」


 ビッグフットは足払い。

 私は射程範囲外に素早く躱したが、ラーさんは被弾してしまったようだ。

 ラーさんが蹴り飛ばされ、家の壁をぶち壊していた。


「キャキャッ」

「仲良くするってことはなさそうですね」

「んだな。やっちまって構わねぇべ!」


 ラーさんは杖を構える。

 すると、猿人はたくさん石を投げ始めた。ラーさんが遠距離攻撃で距離を取られ戦われるとまずいと判断したのだろうか。

 私はラーさんを庇うようにラーさんの前に立つ。


「一、二、三、四、五、六」


 石をダガーで叩き落としつつ、猿人との距離を詰める。


「取った」


 看破で弱点を見破り、急襲で攻撃を当てる。

 弱点は人間と同じ首、そして左胸部。人体と同じだ。心臓部、首の脊椎辺り……。

 ダガーを振り下ろそうとしたときだった。猿人はこちらに向き、ニンマリ笑う。

 そして、私の腕を掴んできたのだった。


「反応が早い……!?」


 異様なまでの反応速度。

 私は今までに経験したことのない速さだ。それに呆気にとられ、私は腹部を思い切り殴られる。私のHPがごっそり削れていく音が聞こえた。

 私は一度距離を取る。

 

「まずいですね。初めて被弾しました」

「そうなんだか? すげえ……」

「あの反応速度は厄介ですね……。ラーさん。一緒に攻めましょう」

「了解だ!」


 ラーさんは魔法を唱えた。

 火の玉が猿人めがけて飛んでいく。それに合わせて私も攻めにかかる。さすがの猿も二つ同時に相手は不可能だろうと踏んではいるのだが……。

 私のほうが若干遅れている。

 被弾により、少し心に恐怖心を植え付けられているんだろう。初めての被弾に戸惑い、私は出遅れた。


「かき消されたど……!?」

「申し訳ありません。私のせいですね」


 魔法を手で振り払った猿。

 私はもう一度距離を取る。さて、どうするか。戸惑うのは私の心が弱い証拠、少年漫画の主人公なら師匠に叱られているパターンだ。

 みっともない。私は今一度精神を落ちつかせることにした。


「ふぅ……」

「ウキャァア!」


 猿は大量の石を手にもち、一斉にぶん投げてくる。

 石の弾幕。私はナイフで叩き落していく。


「メイン火力はラーさんで行きましょう! 私はサポートに徹します!」

「りょ、了解だ!」


 私はラーさんの射線上に立ち、ラーさんめがけてやってくる攻撃をすべてはじく。

 近接は無理だろう。












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