ジャイアントキリング
黄金に煌めくキャローは強い。
こちらの攻撃はほぼ通らないのに相手の攻撃は即死級。一撃被弾してしまい、私は虫の息だ。
もう被弾は出来ない。
「相手の体力はあと6割……。立ち回りに気をつければギリギリいけますね」
黄金キャローの攻撃に当たらないようにしながらも攻撃を与えていく。
立ち回りとしてはカウンター意識の方が強いだろうか。ダガーを突き刺し、距離を取りまた攻撃が来た瞬間にダガーを突き刺す。
ジリジリと削れていく黄金キャロー。
残り体力が5割を切った時だった。黄金キャローの様子が何かおかしい。
黄金色に染まっていた体が赤く染まっていく。まるで怒髪天の怒りを抱いたかのように真っ赤っか。
黄金キャローは一瞬で私と距離を詰めてくる。
「わっ」
素早くなった。
違う。ここからが本番なんだ。素早い攻撃に当たってはならないなこれは。
「いいですね。この展開は好きですよ!」
「ムキーーッ!」
素早くなった攻撃をいなし、ダガーを突き刺す。
攻撃自体は単調。だがしかし、単調だが素早く火力が高いので気をつけなければならない。
「命は危機迫るほど強く激しく揺れ動くものですからね! 生命の危機を感じ取ったら攻撃が激化するのは理に適ってますね!」
「ムカーッ!」
黄金キャローの息は絶え絶え。
完全に動きは分かったので、あとは単調な攻撃に合わせるだけでよかった。
黄金キャローは再び攻撃を仕掛けてくる。
私はダガーで黄金キャローの脳天を突き刺した。
「死闘でしたね。30分くらいかかりましたか」
黄金キャローは動かなくなり、消えていく。
黄金にんじんを2個落としていった。
私のレベルが一気に10まで上がる。
ジャイアントキリングというヤツだ。頑張ればなんとかなるものだ。
「流石に疲れましたね」
黄金キャローの動きを見極めるのに集中していた反動か、ものすごい疲労感が襲いかかってくる。
だがしかし、まだ初めて1時間半くらいしか経過していないのでここで止めるのはなんというか嫌だ。私としてはもっとインしていたい。
「まぁ、まずは黄金にんじんを売ってその金でまずは武器でも整えましょうか。ダガー以外にも触ってみたいですからね」
まずはじまりの町へ帰還する。
NPCの店に入り、黄金にんじんを買い取ってもらった。2つで1万G。ものすごく高い。5000程度でいいかなと思っていたが僥倖。
そして売った金をそのまま手に武器屋へ入った。
このゲームでは職業についていなくてもあらゆる武器を持てる。が、職業についていた方が武器補正もろもろあってお得らしい。
剣はたとえば剣士という職業があって、片手剣補正を得られる。そして、片手剣スキルと呼ばれるものも使えるそうだ。
スキルを使うと勝手に身体が動きスキルを使ってくれるらしい。便利だ。
「補正はまぁ、考えなくてもいいでしょう。まずはノーマルダガー、ノーマルソード、ノーマルブレイド、ノーマルガード、ノーマルスピア、ふつうの弓、ふつうの杖、ふつうの魔導書……全部の武器を購入っと」
全武器の使用感を確かめ、全武器を扱えるようになったら漫画にも良い影響があるかもしれない。
全武器を試しにまた平原へ向かう。私の手に一番馴染んだのは意外にもノーマルダガーだった。まぁ、小回りがきくからありがたい。