塩の結晶 ①
コラボが始まるのは3か月後の6月かららしい。
コラボには主人公たちもどこかで出す予定だとか。俄然楽しみになっていた。
「ふはははは! 私の採掘士としての魂が轟き叫ぶッ! 機は熟した! 鉱石を掘りにいくぞォ!」
ピッケルを手にしてしろんちゅがそう叫んでいた。
誰一人として反応していない。これが普通なのだろうか? そんなわけないか。しろんちゅは私のところに来て、行こうと手を引いてくる。
私は断る理由がないのでついていくことにした。
「海に面した町……。その郊外に洞窟があってな。巨大なクリスタルが眠っているのだという……」
「巨大なクリスタルですか」
「道中、魔物が出現するのだ。私も応戦はできるが戦いは不得手でな……」
「となると、私は道中の戦闘ですね。わかりました」
しろんちゅはあまり戦いが得意ではないらしく、私は魔物が出現したら倒すという役割を担うことになったのだった。
私たちは海沿いの洞窟へ入っていく。小さなクリスタルが輝き、洞窟内を照らしていた。
「綺麗ですね」
「まさしく幻想的……」
「おや」
目の前にトカゲが3体。潮風トカゲという魔物らしい。私はダガーを取り出し、トカゲを屠る。トカゲは所詮雑魚敵であり、そこまで苦戦するようなものではなかった。
3体を楽々倒し、私たちは洞窟の先へ向かう。
ちょくちょく出現する小型魔物を倒しつつ、奥へ奥へと向かっていく。
そして、私たちの目の前には大きなクリスタルが。
見事なまでの大きさで鎮座するそのクリスタルはとても幻想的で、とても美しかった。
「へぇ」
「はーっはっは! では掘るぞッ! この私の腕の見せ所だ!」
と意気揚々にクリスタルに向かって言った瞬間、頭上から何かが落ちてくる。寸でのところでしろんちゅは躱していた。
頭上から落ちてきたのは大型モンスターだった。
ソルトゴーレムという、塩の結晶で出来た土塊。このクリスタルの守護者だろう。
私はダガーを取り出し、ソルトゴーレムに先制攻撃。
目の部分の結晶を狙ってみる。
「お、効いている」
ソルトゴーレムのレベルは30。私より高いレベルだ。だがしかし、私はすでに黄金キャローという高レベルに絶対なら魔物を倒している。
ソルトゴーレムも時間はかかるだろうが討伐できるだろう。油断さえしなければ。
「グォオオ」
ソルトゴーレムに光が収束していく。
そして、どでかい光線が放たれた。私は光線を躱す。
すごい威力だ。当たったらひとたまりもないな。
「ユメミ! 大丈夫か?」
「問題ありません。死なないよう回避を全力で」
「りょ、了解だ!」
ダガーじゃ火力が低すぎるか。
それに、ソルトゴーレムは遠距離攻撃があるとはいえ近接の方が得意そうだな。相手の得意分野で勝負するのは賢くない。
私は武器を弓へと持ち替えた。
「さぁ、やりましょうかね」




