嵐のマンダラ先生
タイタンさん、しろんちゅさんと一緒に私はフィールドへ出ていた。
タイタンさんはハンマー、しろんちゅさんは魔法を使うらしい。私はダガーを取り出す。
「せーのっ!」
息を合わせて攻撃。
今現在、オオミツバチという魔物と戦闘中。オオミツバチを3人で同時攻撃すると特殊なハチミツを落とすらしく、それがクエストクリアに必要だった。
タイミングがシビアというわけではないようで、一発で落とす。
「ナイス連携!」
「ふっ……。この程度の稚戯、造作もない……」
「とりあえず拾いましょう」
特濃ハチミツを拾う。
私たちはクエスト達成を報告すべくアジトに戻ろうとした時だった。
「あっ! ユメミ〜!」
「マンダラさん?」
マンダラさんとバッタリ出会した。
「ここに来てたんですね!」
「はい。で、マンダラさん原稿の方は……」
「まだ余裕あるので〜」
伊藤さん怒ってそう。
「……誰だ?」
「名を述べよ」
「あん? 君たちこそなんなんだい? あーん?」
「同じクランのもんだよ」
「同じ……クラン?」
「クラン入ったんです」
「そんな……!」
がっくりと崩れ落ちるマンダラさん。
マンダラさん面白い人だなぁ。喜怒哀楽が激しくて面白い。
「で、誰だよコイツ」
「マンダラさんです」
「マンダラ……。あぁ、私が曲を提供した……」
「BAKAHOの原作者です」
「コイツが? まぁ……分からなくもねえな見た目的に」
「決めた! 俺もそのクラン入れさせてください!」
「ダメだ」
マンダラさんの背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
マンダラさんはダラダラと冷や汗を流し背後を振り返った。そこには編集の伊藤さんが立っている。VRの世界まで追いかけてきた……。
「げげっ!? 伊藤!」
「んだよ。知り合いか?」
「敵さ! 全漫画家のな!」
「人聞きの悪いことを言うなバカ。どうせお前のことだから原稿ほっぽり出してやってると思ったら案の定だ」
冷めた目で全員マンダラさんを見ている。
それに気づかないマンダラさんは伊藤さんとジリジリと距離を取っていた、そして、全速力で駆け出すが、伊藤さんがそれを読んで先回りしてぶつかる。お互いにダメージはないが、マンダラさんがコケた。
「ひいいいいいい!?」
「ま、ゲームやってても構わんが」
「ほんと!?」
「だが、そろそろ時間ではないか?」
「じ、時間?」
「お前のVR機器には制限ソフトを入れた。ゲームは一日一時間モードだ」
「え……」
説明書にあったような。やりすぎを抑制するために時間設定を決めて、その時間設定分しか遊べない。
マンダラさんは初耳だったのか聞いてないぞと声を上げる。
「ちなみに監視は俺なのでそれを解くには俺の許可が必要だ」
「お、横暴だーっ! 漫画家にはプライベートというのがないのか!」
「貴様が早く原稿を書けばこんなことはしないんだアホがッ!」
「早く描くからぁあああ……。一時間設定だけ解除」
しゅんっとマンダラさんが消える。
「迷惑をかけました」
「え、ええ」
二人が消えた。
「嵐のような奴だな……。仕事ほっぽって遊ぶとか大人としてどうなのか」
「義務を果たさん奴だ……。くだらん男よ」
「そうですか? 私は面白い人だと思いますけど」
「……マジか」
「……まんざらでもないのか? アレが?」
意外そうに見られましても。
友人としては割と面白い人物だし、私自身は別に手伝ってあげても良いくらいにはそこまで嫌いではない。曼荼羅先生の描く漫画は面白いし。
「悪いことは言わん。やめとけ」
そんなガチ目に言わなくても。




