初クエストを受けました
始まりの町の次の町。
いたって普通の町の外観だった。さわやかな潮風が吹く。町の外には広大な水平線が見えていた。
「どうしたもんかのぉ……」
歩いていると、おばあさんがそうぽつりとつぶやく。
「どうかしたんですか?」
「あぁ、異世界のひとかい? 実はのぉ、素材を切らしてしまったのじゃ。よろしければとってきていただけんかのぉ」
「わかりました。何の素材ですか?」
「この町の海辺に生息するマリンスパイダーっていう蜘蛛から出る海の糸というものが欲しいんじゃ」
「海の糸ですね」
《クエスト:海の糸が欲しい! を受注しました》
アナウンスが流れてくる。
どうやらクエストのようだ。町で困ってる人がいて、それがクエストになっているのだろう。私は早速クエストをやるべく海のほうへ向かう。
マリンスパイダーというのはどういう魔物なんだろう。おばあさんの話では蜘蛛だと言っていた。海辺に蜘蛛……か。
考えながら歩いていると、ちょうどよく木からぶら下がっている私の腰ぐらいのサイズはあるであろう巨大な蜘蛛とエンカウント。
マリンスパイダーと表示されている。
「こいつですね」
マリンスパイダーはこちらに気づき、襲い掛かってくる。
木から落ち、水色の蜘蛛の糸を射出してきた。私は躱し、距離を詰める。マリンスパイダーにまずダガーを突き刺した。
「あっ」
至近距離で足を蜘蛛の糸でつかまれてしまう。足が引っ付きとれなくなったところに、マリンスパイダーはとびかかって嚙みついてくる。
ダメージを受けてしまう。ようやく糸が離れる。
「武器を変えましょう」
私は武器を持ち替えた。
スパイダーに一番いい武器は遠距離攻撃だろう。私は矢をセットし、狙いを定める。糸を放ってくるので、私は照準を定められないように常に動き回りつつ、上半身をマリンスパイダーのほうに向け固定し、狙いを定める。
弓補正があれば多少なりともずれてても問題ないらしいが、私は無職なので補正そのものが存在しない。だから自力で狙う必要がある。
弦を引き絞り、私は矢を放つ。
放った矢はマリンスパイダーの後ろにヒットした。
「よし」
マリンスパイダーの体力は残り僅か。
私は再び矢を構え、狙いを定める。そして、放つ。マリンスパイダーを矢が貫き、マリンスパイダーは塵となって消えていく。
ドロップ品として、海の糸を2個落としていった。必要数は2個らしいのでこれでクエスト達成である。
私はおばあさんのもとに向かい、海の糸を手渡した。
「ありがとねぇ。これ、お駄賃。あとこれも持っていきなさい」
お駄賃として1000Gと海風バナナをもらった。
《クエスト:海の糸が欲しい! をクリアしました》
「クエストはこんな感じですか……。なるほど」
そこまで達成が困難というわけでもなさそうだ。
気が付いたらクエストを受けまくってもいいかもしれない。だがしかし、それだけだとなんというかつまらないかも。
「ま、私の旅は始まったばかりですし、ゆっくり面白いことを探していきましょうか」