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『隠れ里』への逃亡記録:黒い地龍
深い森の中。黒い地龍が地面に穴を掘っている。速度は非常に速かった。瞬く間に深い穴が掘られた。中は真っ暗だ。
地龍はその中に――彼と瓜二つの外見の、しかし一回り大きな、地龍の死体を投げ入れた。
「…………」
少しの間。彼はその死体を眺めていた。
「……………………」
が、我に返ったかのように、地龍は自身が掘った穴を埋め始めた。
すさまじい勢いで土が死体の上に被せられていく。彼はその作業に没頭している。
――気づけば穴はきれいに塞がっていた。
彼は言った。
「兄さん。おまえの敵は、必ず取るからな」




