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塔の上の花  作者: わたり
4/5

彼女は。(ライ視点)






今日も銀の髪の大好きな女の子のもとに行く。


俺は子供のころ、一度依頼中に命にかかわるような大きなへまをした。

死を覚悟したときに、塔の上から薬草をもらい命を救ってもらったことがある。


 きれいな銀色の髪で、緑の瞳をしてとてもきれいな女の子。

始めはもうだめだと思ったときに塔の上からはらはらと薬草を俺におとしてくれた。

この薬草で簡単だか止血して、ギルドに帰ることができた。

ギルドではこの薬草で、大きなお金になり依頼達成できずとも、どうにか違約金を払うことができ、そして残りのお金でしばらく生活できることになった。


 それから朝はこの塔に行って会話をして、依頼に出かけていくことにしている。


 毎日の生活に、朝起きる楽しみができた。


 そういえば、一度また死を覚悟する出来事もあったな。

その時も塔の女の子が助けてくれて、その時飲んだ薬がよく効くしそれからすごく体の調子がよい。


 そうしてだんだん強くなり、この町では一番になるほどの冒険者になったと思う。


 今日もいい朝でまた、女の子に会いに行こう。今日は初めてあの子に渡した飴と、返す、と言っていた薬草のお金分とと今までの依頼料で作ったネックレスをプレゼントしよう。


 銀糸を細かく編んでいて緑の小さいが宝石が飾られている。台座には自分の色の茶色を蔦で囲うようなデザインだ。


 喜んでくれるかな?

そしてできれば、そろそろ名前も教えてもらいたい。

 

 ワクワクしながら、塔に行き、いつものように待っているが今日は出てきてくれない。穴をふさいだままだ。


 ??おかしいな。今日は調子が悪いのかな?今まではこんなことはなかったのに。

と、ぎぎっと重い音を立てて家具が取り除かれた。よかった調子が悪いとか何かあったとかではないみたいだ。


 「おはよう、今日もいい朝だね、今日は君に、、、、」


 とここまで言いかけて、彼女じゃないことにきずいた。白い髪と赤い目の、ホムンクルスだ。と認識したと同時に塔の壁ごと体が吹っ飛んだ。


 ガラガラと崩れ吹き飛んだ壁から、そのホムンクルスはゆっくりとした足取りで塔から出てきて俺の目の前まできた。


 やばい、ホムンクルスは上位魔物の手下だ。今の俺では勝てる相手ではない!


 これ以上距離を詰められる前に後ろに飛びのき、大剣を取り出し構える。


 ホムンクルスは上位魔物の手下として作られて、その上位魔物の手下として特殊な攻撃方法や役割を会得しているそうだ。


 この、ホムンクルスがどのような、攻撃方法か、役割は見当がつかないが、塔の頑丈な壁を崩せる力はある。


 このまま逃げれるかもしれないが、ここには彼女がいる。


 ぐっと大剣に力を入れて、いつでも攻撃がきても反応できるようにしていると。


「あなたですか、私の魔王の花に毒を流し込んだのは。」


 表情を変えず、ホムンクルスは問うている文面で、断言した口調で話す。


 そうして、すらりと背後から繊細だが魔力の感じられる槍を取り出しこちらに構える。


「魔王の花?毒?知らないな。人違いじゃないのか」


 魔王の花とは小耳で聞いたことがあるが魔王のための強化薬の材料じゃなかったか?屋上に花畑があると彼女は言っていたから、それか?


 聞きなれない、単語に戸惑っていると、ホムンクルスはまた、槍をこちらに構えつつ、話す。


 「私の大切に育てた花をお前ごときに枯らされかけるだなんて。魔王様に献上するために大切に育てていたのに、こんなこんな。」


 なにやらぶつぶつと小さな声で呟いていると思って、瞬きをした瞬間また目の前に迫る槍先。


 ぐっと首をひねり、危うく目をつかれかけたのを回避できたが、この瞬間に腹に衝撃があり大きく後ろに飛ばされる。


 そして森の木に背中をひどく打ち付けられて満足に呼吸もできない。


 息をしようと、呼吸をしたときにまた顔面にホムンクルスの槍がある。

今度は状態を右にそらしたが、肩の肉を大きく削られて焼けるように痛い。


 あわてて、手で圧迫止血をしようとしたが、今度は首を狙って槍先を構えたときに背後から声がした。


 「お手伝いさん、すごい、音がしたけど、、、。」


 あの彼女の声だ。大変だ逃げてくれ。


 「だめだ、逃げて!!」

 「え」


 初めてこちらを見たか彼女は大きく目を見張りまた塔の中に隠れる。でも、その中は出入りができないといっていたので、せめてこのホムンクルスをこちらに向けて、時間を稼がないと。


 焦りホムンクルスを見ると、こちらを無表情に見下し再度槍を構える。


 くそ、どうすればっ!と思ったら再度彼女がこちらに駆けてくる。逃げてほしいのになぜ。


 でも、優しい彼女のことだ俺を心配してくれたのだろう、自分は大丈夫だから逃げて、というつもりが。


 「お手伝いさん、逃げて、この人にひどいことされたの?」とホムンクルスの腕をつかみ逃げようとする。


 え、なぜ。


 いつもは緩く微笑んでいる彼女が険しい目でこちらをみて、ホムンクルスと逃げようとしていた。


 なぜ、なんで。


 「早く、塔の中に逃げよう」


 ぐいぐいとホムンクルスを塔の中に保護しようとする彼女に思わずに声かける。


 「あ、なんで?俺は、、、」


 言葉が続かない。


 「何?誰ですか?なんでひどいことしようとするの。逃げるの、お手伝いさん!」


 そんなやり取りをいていたホムンクルスはこちらを一瞥して、彼女に向き合い塔のほうへ足を進める。


 「大丈夫ですよ、魔王の花様、ただの害虫に大勝しておりました」

 「害虫?人しかいないよ、逃げよ!」

 「はい、そうですね」


 早く早くと、塔の中にせかされて彼女とホムンクルスは塔の中に消えた。


 あれは、彼女のはずだ。


 銀色髪に緑の目。

いつもはニコニコしていて、楽しくこちらの話を聞いてくれた目が、恐怖のせいかこちらを一瞥してすぐにそらされた。


 声もいつもは楽しそうに会話をしていたのに、こわばってて。

昨日会ったときは嬉しそうに焼き菓子も受け取ってくれて、と。


 やるせなくなり、けがをしていないほうの腕を動かしたときに、プレゼントとして持ってきた包みが崩れて中のネックレスもちぎれて宝石がはめ込んでいるプレートも歪んでいる。


 自分が木に打ち付けられたときに、壊れてしまったのだろう。


 繊細な彼女のような繊細な作りだ、壊れてしまって当たり前。


 「心決めて、きたのに、なあ。なんで。」


 先ほどの彼女は自分を知らない襲撃者のように見えていたのか。自分とはきずかなかったのか。

でも、そんなはずは、ない。彼女ではない?でも、彼女だった。

わからない。

魔王の花さまと、彼女は呼ばれていたが、彼女は魔王の花?人ではない?


 わからないことだらけだが、この傷は治療をしなくてはいけない。


このままここにいても仕方ないので、重い体を引きずるように町に帰った。


 そして、魔王の花とホムンクルスのことを調べなければ。



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