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塔の上の花  作者: わたり
3/5

いけないことだった?


 思いついたらすぐに階段を駆け上がる。普段こんなに動くことはないのですぐ息が切れてのどがすごく乾く。自分の呼吸が邪魔だ。


 思いつく薬の瓶と、それでもわからないなりに何かに使えるか?と屋上で薬草も積んでおく。そしてできるだけ早くライのもとに。


 小瓶が3つと薬草一束。


 外とつながった穴に瓶と薬草をいれて、ライの音のなるほうに落とす。

「ねえ、お薬なの。のんで。飲める?」


 すぐには音がなくすごく不安になる。もう動けない?ゼイゼイという息は聞こえるけど、、、。 



 すごく長い時間待ったような気がして、


 コンと壁のなる音。


 良かった。


 「のんで、きっとよくなるよ。」


 しばらく、何かをする音がして、カチャっと瓶を置く音がする。


 ゼイゼイ言っていた呼吸もだんだん落ち着いてきたような。


 ふう。っと大きく息を吐く音がして。コンと音がした。


 「大丈夫?飲めた?どう?大丈夫?」


 取り留めなく大丈夫?ライ?と声をかけると、また、大きく息を吐く音。


 「ありがとう、すぐに痛みが少し引いた。君はすごいね。」

 「ライ?よかった、大丈夫になった?」


 やっと声が聞けた。ひどい呼吸音もやんで、本当にほっとする。 


 「今回も本当に助かった、ありがとう。今度こそダメかも、って思っちゃった。」


 軽くライはいうが私は本当に怖かった。いなくなってしまうのかもとすごく不安で、今もどきどきしている。


 よく話を聞くと、いつものようにこちらに向かう途中に大型の獣に襲われて、ギリギリ倒せたが、ひどく傷つき動けなくなったところに私が薬を持ってきたみたいだった。


 見たことのない薬だったが飲んでみると、すぐ痛みが緩和されて、声が出せるようになったと。よかった。そんなにひどいけがだったのね。


 「でも、もう少しここにいてもいいかな。まだ力が入らないんだ。」

 「この塔に入れてあげられたらいいのだけど、開けれなくて、、、、。」


 そうこの塔に入れてあげたいと思いいろいろあれから探したが扉はおろか外へ通じるものは明り取りの高い場所にある窓だけ。


 「ここで大丈夫だよ。天気もいいし。でも帰るのは難しそうで、、、」

 「いてくれると嬉しいから、ここにいてね。」

 「そう、ありがとう。よかった。、、、、」

 「あ、あと何か欲しいものある?」

 「うーん、何もないよ。力が出ないだけで寒くもないし、おなかも、大丈夫、、、だけど、少し、眠くなった。」

 「疲れたのね、そう、休んでね。近くにいていい?」

 「うん、近くにいて。うれしい、、」


 そのあとぽつぽつとおしゃべりをしていたら会話がなくなって、崩れたところからそっと手をだし、ライのほうに持っていくと、塔の壁を背にして座り込み、すうすうと寝息が聞こえる。眠いと言っていたし、今日はひどいケガもしたし、疲れがピークになったのだろう。


 できれば、もう少し、近くでいたいし、本で見た看病というものもしたいと思うけど。


 でも、ひどいケガだけど、姿が見えるし、触れる場所というのはうれしく感じる。

これからもっとおしゃべりしやすくなるし、仲良くなれるかも。


 その日は自分のベットに帰る気分でもなく、1階のこの部屋でライと過ごした。


 そして早朝にライが起きた。


 「ねてた、、、。ん、力入る。」

 「あ、起きた?おはよう。」

 「おはよ、そこにいてくれたの?」

 「うん、体は大丈夫?」

 「うん、元気になった、いつもより元気!」


 そういうと壁から離れて見える場所まで来てくれる。元気そうに腕をまわし、ぴょんぴょんと跳ねる音。


 「本当に元気になった、ありがとう!いつも助けてくれるね」


 嬉しそうに感謝を告げてくれる。くすぐったい。


 「どういたしまして。この後どうするの?おしゃべりする?」

 「うーん、母さんが心配しているだろうから帰るね。また明日来てもいい?」

 「もちろん!でも気を付けてね。でおまた来てね!」

 「うん、もしかすると明日は来れないかもしれないけど、絶対また来るよ。」


と言って、大きく腕を振り森の中に入るライ。


 なんだかこの場所が少し寒い感じがする。ライがいたときは全然そんなことがなかったのにな。

寝室に帰り、少し寝よう。



 ふと目が覚めると目の前にお手伝いさんがいた。


びっくり。


 大きな赤い目がこちらを見ている。

 「薬が減っていましたが、調子が悪いのですか?」

 「え、あ、ああ、うんそう、のんじゃったの。でも元気になったよ」


そうだった、薬をライに渡してそのままだった。下の階もかたずけてない。


どきどきしてきた。


「そうですか、今日は入浴はやめておきましょう。そのまま今日は休んでください。食事もやめましょう。」


「はい」

「では、ほかに何かありますか?」

「ないよ」

「お休みください」


 目を細めて一度礼をして退出するお手伝いさん。


 パタンと戸が閉まった音で緊張が少しほどけた。起き上がりはぁっと息を出す。


 嘘をついてしまった。初めてだ。ドキドキするけど、なんだか正直にしゃべらないほうがいいと感じたので。ライのことは秘密にしておきたい。


 今日は休みように言われたが少しして1階のかたずけをしよう。


 お手伝いさんの立てる音がしばらく続くが、それもなくなり、しばらく待つ。


 十分に待ったら起き上がり、1階に行くと、昨日のまま、小さな明り取りの窓以外に崩れた壁から光が漏れている。


 まず、ここをほかの家具を動かして光が漏れないようにする。入り込んだがれきも戸棚の中にしまい込み、それでいつもと同じ雰囲気になった。


 しん、としてなんだか肌寒い。昨日はびっくりすることが多い日だった。でも、ライが無事でよかった。少しだけど、姿も見れてうれしかった。


 また、来てくれると約束したけど、今日はどうかな?来れないかもって言ってたけど、来てくれると嬉しいな。


 しばらくそのまま1階で待つ。


 外ではいつものように風の音や、獣の音。


 肌寒くなって上の階から小さいブランケットを持ってきて待つ。


 フクロウの鳴き声が聞こえる。



もう、夜になったので今日は会えないね。昨日ずっといたのに今はいないことが、とてもさみしい気がした。



 今日は雨の音がする。


 湿ったような空気と塔の外で、ざーざー音がする。


 ライに会える前は雨の音は好きだったんだけど、雨の日はライに会えない日なのであまり好きでなくなった。


 今日は来てくれると言っていたけど、無理かな、、、。


 前もひどい雨の日は来てくれなかったので。でも、ライが大変なのは嫌なので我慢。


 ふう、と一息ついて、お手伝いさんにお手伝ってもらい入浴する。


 昨日はなんだか怖い感じがしたけど、今日はいつも通りのお手伝いさん。


 やることもないし、また一人で1階の部屋に椅子とブランケットを持っていく。

万が一来てくれたら風邪をひいてはだめなので、薬草も積んできた。雨に濡れているけど、ちゃんと元気できれいなものだ。


 ザーザーザー。


 雨やまないかな、、、。


 と、コンコン。壁をたたく音がする。ライだ。


 ぎぎっと音を立てて家具を動かし、穴を見るとライの顔が見えた。思わず顔がほころんでしまう。


 「おはよ、ライ。」

 「おはよ、今日は雨だね。」

 「来てくれてうれしい。体大丈夫?」

 「すごく元気!ありがとうな。」


 元気そうでよかった。そしてバックをがさがさと何かを探し、こちらに小さな何かが包まれたものを3つ差し出すライ。


 「、、、?えっと?」

 「この前のお礼、飴だよ。今日の天気も雨だけど。」


 顔いっぱいで笑顔になって飴を差し出してくれる。いままで、この塔で食べたことのない飴。本で読んだけど、とてもおいしいものと知っているので、ワクワクする。


 「ありがとう、うれしい。食べていいの?」

 「もちろん、そのために買ってきたんだよ。」


 一つ、紙に包まれた小さな飴を取り出す。


 飴は透明なピンク色をしていて少し甘においがする。チラリとライを見るとライも一つ飴を食べているようだ。


 思い切って口の中に。


 今まで感じたことのない甘さと、いい匂いがする。花のにおいとまた違う甘いにおい。


 「おいしい?ここらの特産の果物の飴なんだ、俺これすきでさ。特別な時に買ったりするんだ」

 「おいしい、幸せの味だね。」

 「幸せ、多分そうだね。」


 また取り留めなく楽しいおしゃべしをして、ライの仕事の時間になった。


 「じゃあ、また頑張ってくるな。また明日」


 立ち上がり、こちらを見て笑顔で行こうとするところで、手に持っている屋上の花の薬草を思い出した。


 「あ、ライ待って。雨降ってるし、寒いし、これをもっていって。使って。」


 「いいのか?うれしいけど、大丈夫?」

 「大丈夫、風邪ひかないでね、またね。」

 「うん、また明日。」


 今日の楽しいことが終わった。

また明日も来てくれるかな。


 元気そうでよかった。これから雨の中で魔物退治をがんばるのだろう。冒険者の仕事は危険だから心配だけど、初めて会った時よりすごく強くなったみたいで、簡単にできることも増えたといっていた。


 でも、場所により大きな魔物もいるから心配。


ザーザー


 「飴、おいしかった。幸せの味だね。」


 飴初めて食べたけど、おいしかった。あと一つ残しているので、またあとでさみしい時に食べよう。

幸せの味だと日記に書いておこう。


 それからもライとほぼ毎日おしゃべりに来てくれた。

私と違い、ライはすごく大きく成長したようだ。


 大きな魔物もだんだん倒してギルドに報告できているようだし、仲間もできたみたい。


 「カミラがさ、あ、この前は言った魔術師の子なんだけどね、王都の出身の子で、魔術の力がすごくて」

 「グルートという戦士が力強くて、でもこの前俺をほめてくれて、筋がいいって」


 自分の知らないライがいるようでもやもやする。笑顔で楽しそうに話してくれる姿が好きだったんだけどな。今は少し、気分がさがってきてる。


 「それで、さ。、、、つまらない?」


 ふと、返事をできなくなっているとふいに聞かれてドキリとする。


 「ううん、頑張ってるなーってすごいなーって思って」

 「ありがとう、頑張っているんだ、それでさ、今日もお土産あるんだ」


 ガサゴソと荷物を探りこちらのほうに差し出すライ。


 手に持っているのは何かの布のつつみで、そのまま受け取って手のひらで開いてみると、焼き菓子のようだ。いい匂いがする。


 「今日は評判の焼き菓子を買ってきた!おいしいと、カミラもおすすめされてさ、おいしかったよ」

 「ありがとう、ライ甘いもの?」

 「そう、でも甘すぎなくておいしかった、また感想聞かせてな。っとじゃあ依頼が入っているので行くな、また明日」


 「うん、気を付けてね、また明日」


 そういって笑顔で離れていくライ。


 私の手には焼き菓子が残り、これをもって居住区で、お茶とともにたべよう。


 普段あまり固形のものを口にしないので、水分と一緒で食べると食べやすい。

三つあるうち一つを手に取りかじる。


カリとした、焼き菓子の香ばしさと、咀嚼すると甘い味が広がる。おいしいけど、一つだけでもう今日は無理かな。


 そして、なんとなく自分の毛先をつかむと、薄い銀色だった髪色がくすんで茶色ががっているように感じた。

 ここしばらくそんな風に思い、なんとなく嫌なのでその場所だけまた切ってしまおう。

あと2つはおいておくこともできないので、屋上の花畑の場所に持っていく。


 屋上に着くと、いつのは小鳥がいるのその小鳥にやるのだが今日は見当たらない。


 仕方がないので、ライごめんねと心で謝りつつ、恥のほうの花畑の土を掘り、その中に埋めてしまう。

全部食べたいけど、なんでか食べれないの。


 悲しい気分だけど、ちゃんと一つは食べたので、明日ライにお礼と感想を言おう。


 そんなことを考えているとふっと影が私を包む。雲に太陽がかくれたのかしら、と立ち上がり振り向くとお手伝いさんが大きな鋏をもってこちらをみていた。



「こんにちは、珍しい時間ね」


 いつもは朝の入浴の時間のみに会い、こんな時間に合うのは初めてかもしれない。


ライと会って会話していたからきずいたけど、いつもお手伝いさんは表情があまりなくて、すこし冷たい雰囲気だけど、今日はなんだか、もっと冷たく怖い。


 こちらの問いに返答はなく、私が先ほど埋めた土を掘り返して、そちらをじっとみいている。


 「これは何ですか?食べたのですか?」


 なんだかやはり怖い。けども、怖い雰囲気に押されるように、正直に話した。


 冒険者にもらって食べたこと、地下に穴が開いていること。


 「あなたは魔王の花なのに、最上の養分以外取らないように改良していたのに、なんてことでしょうか、すべてが無駄になりましたか。やり直す?いや、でももう十年は待つことが、、、、。」


 なんだかぶつぶつ穴を見つめながらしゃべる様子はなんだか怖い。魔王の花とは?知らない単語。

こちらをくるりと向いていつものように目を細めて一息つくと。


 「、、、、、、わかりました。だから先のほうが枯れてきていたのですね。仕方がありませんし、時間ももったいない。切り戻しましょう、つぎは、」


 枯れてきた?切り戻す?

わからないけども私に対してだと、お手伝いさんは瞬きもせず、こちらを見つめ、その手に持つ大きなハサミをこちらにむけ、そして大きくハサミを広げて。


「切り戻した花は薬にしてしまいましょう」



ここまで見てくださり本当にありがとうございます。

初心者でつたないことが多くありますが温かい目で見ていただけると幸いです。


次回はできれば明日完結まで行きたいです。

面白いと思ってくだされば評価いただけると、本当にありがたいです。


ここまで、重ねて、ありがとうございました。

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