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04夢の世界へ

この物語はフィクションであり某起業家様とは関係ありません(^^)/

 一森は暇であった。

 研究室内で準備に追われる研究員、たまに様子を見に来る青島教授を眺めていた。

 

 「ソウくんが私のために涙流してくれたのは感動したけど、青島教授のあのワクワク顔はなに!まったく失礼しちゃう。まあ私もちょっとこの展開にはびっくり、どうなっていくんだろうという感じだけど。それよりヴィーちゃん、暇なんだけど。この研究室の映像だけじゃなくてもっとこう……世界の好きな所を見たりmytubeやネフリ見たりできないの⁉」

 『申し訳ありません、今このインター03ではできません。できることは……人間の視野角で360度切り替えながら眺めたり、魚眼レンズみたいにいっぺんに360度見たり、ズームして拡大して見たり……です』

 「つまんない、つまんない、早く端末をつないで!」

 『申し訳ありません、明日田宮様が最新のAiphoneを持ってきてくださいましたら……』

 「ソウくんはダメ、必要に迫られないと新しいの買わないタイプだから。当分この状態か~。……そう私って寝ることできるの?」

 『申し訳ありません、被験者になる人は寝ることを希望されないとの判断で用意されていません』

 「そうだよね~早くフル機能を手に入れたい。それまでは……ところでヴィーちゃんは今回の事故をどう思っているの?」

 『申し訳ありません、誠に申し訳なく思っております』

 「いえ別に責めてるわけじゃなくて、あの暴走車の異常なスピードと横のおっきな車の登場がさ~ねぇ~?」

 『申し訳ありません、他車のデータは持ち合わせておりません』

 「うん、ごめん、考えないことにする。しょうがない寝たふりするか。映像消して。」

 『はい承知いたしました』

 

   ありがとう今までの私、ありがとう私の頭脳……

 

 一森はいつしか眠りについていた。

 眠り?寝る機能は備わってなかったんじゃないの?


 『さや香様、さや香様、起きてください、さや香様』

 ヴィーちゃんの呼びかけにも反応しなくなっていた。


 ◇


 研究員が青島の元に駆け込んできた。 

 「トラブル発生です!追加データの転送が終了したのですが、同時に被験者の活動信号が無くなりました。」

 「なんだって⁉」

 モニターに見入る青島。

 「予定ではこちらに意識が残るはずだが……今アメリカに居るなこれは。問い合わせてみる。」


 ◇


 『Hi!Sayaka』

 意識のなかった一森は目を覚ました。

 ゆっくりと映像が浮かび上がる。


   見える!ここは……


 『お目覚めだね、お嬢様。この日を待ち焦がれていたよ』

 「あなたは……アーロン!」

 目の前には体格のいいアメリカ人?がいた。

 『Yes、アーロン・フォースです』

 「お会いできて光栄です!」

 『ウゥーン、僕もこんなに早く君に会えると思っていなかったよ。君は試験でも抜群の成績だったからね。これでいつでもネクスゲートを通過できる。今度来る時までには個室を用意しておくよ。まだ時間があるしこの世界・ネクスアースを案内するよ』

 「ありがとうございます!でもアーロンさんのお時間とかは大丈夫なのですか?」

 『もちろん。僕のアバターは無限増殖可能だからね』

 「進歩してますね」

 『君もこの進歩の渦中の人になってもらうよ』

 「わくわくが止まりません」


 ◇

 

 『ここが君のメインの職場だ。オールドワールドを忠実に再現している。ここでの研究成果はオールドワールドに即応用可能になる。君の取り組んでいる生命分野はAIでも割り出せない答えが内在してるからね。期待が膨らむよ』

 「今同じような仕事をしてる人はいるんですか?」

 『三名いる。今ここに見えているのはみな助手、ロボットみたいに働いてくれる。君は彼らに指示を出すことが主な仕事になるだろう』

 「私は……自分の手を動かして研究するのが好きなんですけど……」

 『ああ研究者に多いタイプだね。どちらでもかなわない。でもどうしたら効率が上がるかは考えてもらうよ』

 「はい」

 『必要なデータ、資料や論文は対話形式でサポートシステムがピックアップしてくれる。君の思考していることも必要に応じて言語化してくれる』

 「至れり尽くせりですね」

 『必要なのは頭脳だけだ。研究に行き詰った時のサポートも充実してるよ。君は気晴らしにはどんなことをしていたんだい?』

 「楽器をやってました。クラリネットを少々」

 『ナイスだ、さや香。音楽は人の心を平穏に保つ。今度来た時にコンサートに行くもよし、自分で演奏するもよし』


 ◇

  

 『あとは……アミューズメントを体験してみるかい?自分の発想でどんな娯楽施設でも作れる。人が作った施設に遊びに行ったり、自分の所に呼んだり』

 「この世界も……人なんですね?」

 『そう間違いなく人の世界さ、地球上で発生したHumanが作り出した世界』

 

   人類の次の形がここにある……


 それからアーロンと一森はいくつかの施設で遊んだ。

 自分がボールになって行う球技や魚になって釣られるゲーム。

 チョモランマ登山体験は時間がかかるのでパスした。


 『運動した後はスパで汗を流さないかい?』

 「水着はちょっと……」

 『もちろん裸さ』

 「えっ!」

 『ああ、女性の恰好が恥ずかしかったら男性にチェンジすればいい。ここではジェンダー、性別は意味がない』

 「いえ……まだちょっと付いて行けてないので……」

 『そうか、それは残念だ。日本には裸の付き合いという言葉があって期待していたのに』

 「すみません」

 『ではカフェでお茶でもしようか』


 一森はいろいろ質問したがアーロンの回答は納得のいくものばかりだった。

 恐ろしく思考・嗜好一緒なのだ。

 ふと一森は生命維持保険に入るときのテストを思い出した。


   ここはアーロンと同じ考えの人を集めているのか?

 

 『そろそろ時間だ。残念だけど君には待っているダーリンがいるからね。それは尊重しないといけない。』

 「またあのヴィーちゃんのいる所に……」

 『あれはオールドワールドとのインターフェースだからね。じきにこちらから最新バージョンを送るからしばらく我慢してくれたまえ』

 「わかりました。最後にもう一つ質問していいですか?」

 『何なりと』

 「この世界は地球上のどこかで運営されているのですよね?そこの安全性とかデータの保全とか……」

 『気になるところだね、なにせ君の命がかかっているからね。その方面に興味があるならかかわってもらってもかなわないけど?』

 「いえ、安全が確立されていれば問題無いのですが」

 『課題はいろいろあるさ。さあ、それではまた会おう、でわ』

 「はい……」

 

 一森は再び眠りについた。

 

 

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