惑星の人口
「大体は決まったけど、あとどうしようかなー」
人口が増えるような制度や仕組みも必要で、日本の事を思い浮かべていた。
私はある程度の現代知識を惑星の住民達に『本』という形で落としたが、飛行機や自動車の設計等の明らかに人員や予算のかかる知識はその中に含めなかった。代わりに食や医療については各自の生存能力が上がるため、多くの知識を本に付け加えた。技術面では発電して夜に街を明るくする程度で発展が止まるだろう。
魔力を活用する方法を教えた方がより発展するんだろうけど、教えたこと無いから教えられる気がしない。多分こうすれば使える、というような状態の私ではどうしょうもない。
でも、感覚的に使えているので、彼ら彼女らが使えないとも限らない。子孫を残していくタイプのシュミレーションゲームをやっていた時は、同じ家庭に何人も子供を作らせていたが、現実問題として1人の子供の成長するまでというのは時間やコストがかかるもの。ゲームでは子供が急成長して直ぐに自立するが、現実ではそうではない。実際私が生きていた日本では人口減少が問題になっていた。ねずみ算式に増えていくのであれば問題ないが、子孫を残すというのは労力も金も時間もかかるものである。そのうちの金の問題を解決しようという政策もあったが、額が少なすぎて解決には到っていない。
「となると孤児院とか養護施設かな」
子供が増えない中で年々技術力が上がり、長生きする年配が増えていく。それでは労働力と消費のバランスが合わなくなり、その段階で技術的な発展は見込めなくなる。明日を生きることさえ不安な国になってしまう訳で、結局はどこかのタイミングで法律を根本から変えるか、民衆の意識を変えるしかない。
男尊女卑的な考え方は現代では反対の中で、逆の考え方がされつつあるが、実際の所良い傾向だと思う。問題なのは、結婚や子供に関する法律であって、それに対する考え方。
例えば一夫多妻制、昔の考え方だとコレこそが男尊女卑であるという認識だけど、実際は逆で子供が産まれた際には女性であるほうが喜ばれる。本来子孫を後の世に残していく為には女性が多い方が良いが、昔の考え方だと跡取=男みたいな事を言われる。そこの認識が間違っているから変える必要があると言うことだ。まして、日本は一夫一妻であり、全ての家が核家族で跡取り息子だけしか産まれなかった場合、その世代は全員男になってしまう。産めよ増やせよなんて言うが、その中身は男性が生まれるまで子供を産ませる女性差別的内容であり、実務性も皆無だった。女性が増えた方が良いのにね。
管理する側になると、日本にいた頃の日本人の制度や認識の間違いに気づいていく。
一夫多妻で1人に対する負担が少ない状態で無ければ人口は増えていかない。
家庭に負担がかからない公共事業と育児委託制度、まあその面においては道徳性にかけるのだけど。
「まあ、これだけやって駄目なら実際にいってから助言していけばいっか」
知識をバラ撒いた私はスリープの準備を進める。
自分の魂の器については妥協出来ない。
スリープ中はずっと利用する身体だ。
いつもの地雷系ツインテールの見た目だが、能力に妥協はしたくない。
現状考えられる驚異に対する耐性や肉体の維持能力、念を送って考えを伝えたり、見た目の印象を少し変えられる印象操作、手からビームが出たり。最後の方はふざけ半分だったが、少し前に見えるようになったゲームのメニュー画面のような管理項目を弄ってはニヤける。
まあ元は趣味がゲームの普通のオッサンであるが、今は少女趣味の女の子のつもりである。
作成した旅行カバンに同じく創った服を詰め込むとカウンターが残り10秒を切っている。
カウント
3
てか、下着の概念あるのかな?
2
初めての世界に少しの不安を抱えながらも少女の姿のオッサンは瞼を閉じた。
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