表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

管理者、その名は

気ままにやっていきます。

神様が去ってから、俺は状況を確認する。

正確には俺だった、だな。

「私は私」

ひとまず一人称を変えないと違和感が半端ない。

自分の事を「僕」と呼んでいた頃もあったし、未だに上司との会話の時に使ったりもしていたから、そちらでも良いのだが。見た目が女であるのだから慣れなければ。


状況は?

どうやら任された世界とは、目の前に広がる荒廃した惑星らしい。なぜここが惑星だとわかったのか?それは、神様によって齎された知識の中には、管理する上で必要な知識が全て含まれていたから。


私の権限のが及ぶ範囲は、この惑星と他5つの惑星。ただ、今の状態では生物が生きていける環境では無く、積極的に星の状態を変えられるのは、この惑星だけ。


まあ、急に沢山の惑星を管理しろと言われても出来ないと思うし、私でも出来るかわからないし。


「よし、とりあえず何か試してみようかな」


この世界には、根源的エネルギーというものが存在していて、主に3つのエネルギーから構成されているらしい。


1つ目は簡単に言うと重力とか引力、星が物を吸い寄せる力で、この世界では『吸星エネルギー』と呼ぶらしい。管理者は惑星を違う場所に移動したい時に利用して、惑星間の衝突が起こらない様に調節している。


2つ目は『反賦有働エネルギー』。これは言葉で説明すると万能の力で物質を創造するために消費するエネルギーとでも言えば良いのか。欲しいものを創造する力で、前世の知識で言うとソシャゲの有料コンテンツにリアルマネーを投入するようなもの。物語に登場する何もしてないのに強くなる主人公とかは、いつの間にかこのエネルギーを消費した管理者に助けられてるのかも。神様特有のエネルギーってこと。


3つ目は『魔力エネルギー』。生物や物質に元々備わっている時間に抗う力らしい。消費すればそれだけ物質としての機能を果たせなくなり、崩壊する。つまり、環境を維持するためにはこのエネルギーが世界全体で循環するような仕組みが必要になる。この荒れ果てた土地も時間によって環境の維持が出来なかった結果だろう。基本的には魔力がないと物は存在出来なくなる。


うん、わけわからん。

とりあえず、これはもうどうでもいいや

難しいこと全部なし。

神なんだから自由なルールでやらせてもらおう。

ひとまず地球に魔力がある感じで、資源に溢れた世界がいいな。

平々凡々とした今までがあるから反動で好き放題。



「うーん、何らかの生物は住んでいて欲しいから、環境を地球に近づけて様子を見ようかな?」




少女の声で呟くと

手のひらから大量の水を吹き出す。



この調子だと元々は男だったということもすぐに忘れてしまいそうだ。前世での人生は27年という人間にしてみれば長い月日だが、こちらでは億や兆を超える長い時を過ごすことになるのだろう。



「まあ、この星で万全な環境が整ったら、自分の身体でも用意して人として過ごすのも良いのかも」


空気層、草木や水を片手間に創造しながら地表を歩く。神様から与えられた知識では、どの様に環境を調節すれば生命が生きられる星になるかが詳細で、まるで何千というパターンを検証した結果の最適解を提示されているみたいだ。


「そういえば、こっちでの名前って決めてなかったなー」


呼ばれる相手が居ないから本来なら必要無いのだが、せっかくの少女の姿なのだから、元の名前で過ごす事には抵抗がある。


『管理者』は名前じゃないし、英語にしてアドミニストレーターというのも、横文字に抵抗があるし、名前じゃない。


思考を止め、自分で出した水の水面を見る。服装はさておき、青白い髪にオレンジに近いピンクの瞳。まるで夕立の通り抜けた後の空の色を彷彿とさせた。そこには混じり気の無い透き通った白い肌。

あ、そういえば、ドイツの食べ物が好きで旅行するためにドイツ語少し覚えたけど、結局行かなかったんだよなー。


「ぶらす、ひんめる、あーべんと」


知識はあっても慣れないドイツ語は拙い。

でも、ブラスっていうのは結構名前っぽいし、

アーベントっていうのも何か苗字っぽい。

うん、ブラスにしよう。



「今日から私はブラス」。


こうして『私』の神様生活が始まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ