サンドラと相談
ぼくが勇者ではなくなった事について
誰に相談をするか悩んだけど。
結局、サンドラに相談する事にした。
ぼくが勇者であるから近づいて来た娘だけど、
彼女の目的は、最強魔法使いになることだ。
まともに魔法が使えないぼくからでも、学ぶ事があると言っていた。
ぼくは今、魔力が上手く使えないけど、
魔力容量は変わってない気がする。
きっとこの状態でも、
彼女に協力出来る事はあるはずだ。
「サンドラ、ちょっと話せるかな。二人きりで話したいんだ』
「んー? いいよ。フィル君顔色悪いけど大丈夫?』
どうやらぼくの顔色は悪いらしい。
それは当然だ、勇者でなくなったと聞いたあと、ずっと混乱している
「あぁ、そのことで話したいんだ』
「わかった』
ぼくたちは、サンドラの私室に移動する事にした
彼女は、魔術以外に魔法道具の研究もしているので
防音対策がされている。
「それで、話ってなに? 鑑定結果についてかな?』
「・・・ぼくは勇者ではなくなったらしい』
『え? どういう事?』
「だから、ぼくはもう勇者じゃないんだ』
「そんな・・・?そしたらボクはなんのために・・」
どうやらぼくが勇者でなくなった事はサンドラにとって大きな事だったらしい
ぼくの中の彼女は、淡々と受け止めた上で
一緒に考えてくれる物だと思っていた。
「それは間違いない事なの?」
「あぁ、鑑定結果ではスキルはないと言っていた。まぁ『幸運値がとても低い』と言うのはあるらしいけどな」
「・・・」
サンドラはなにか考え込んでいる
しかし、いま一番困ってるのはぼくだ
「それで、この事を他のみんなに話すべきか悩んでいる
正直ぼくたちのパーティは、ぼくが勇者であるからだと考えている」
「そう・・・だね・・・」
「そうすると、ぼくが勇者でなくなると言う事はパーティの解散を意味すると思うんだ』
「そうなのかな。。。」
サンドラの反応が思っていたのと違う。。。
ぼくではない誰かの事を考えているかのようだ。。。
でも、口が止まらない。。。
「だからサンドラに異論がなければみんなに、ぼくが勇者でなくなった事を話そうと思う。そして解散になったらもうそれはしょうがない」
「いや、だめだよ。ボクはみんなとまだ離れたくない」
どうしろと言うのか。。。いつまでも隠せる話ではない
特に、アイリスには鑑定を受ける件をしているし
教会の人間だ。彼女が問い合わせればすぐにバレる。
「ボクからみんなに話してみるよ。きっとなにか良い方法があるよ」
ひとまず、この話はサンドラに預ける事になった。
でも後になって考えると、ぼくが最初から全員と真剣に話すべきだったんだ。。。