勇者の苦悩
ぼくは、カジノ側が用意してくれた。
訓練相手と試合用のバトルスタイルの調整をしていた。
相手は格闘家と言う事だったので、ボクが素手になってもリーチの差はない。
格闘技が苦手と言う事はないけれど。
経験の差から技術面ではチャンピオンには勝てないだろう。
それによくよく考えると
剣は使えないとしても、警棒であれば使ってよかったかもしれない。
流石に警棒で、相手を切り裂いてしまう事はない・・・よね・・・?
結局、勇者スキルがどの程度影響するか試せていないのが原因だ。
ぼく自信、勇者スキルに振り回されている様に感じるし。
アイリスと、サンドラだって勇者が目的であって、
ぼく自身を望んでくれてるのではないんだ。
なんて歪な関係なんだろう。
上手く行ってる様に見えて 、内容が伴ってないのを自覚し
嫌なことばかり考えてしまう。
二人が近くにいる時はあまりこういった事は考えなかった。
ぼくは、すでに二人に依存しているのかもしれない。
でも今は余計な事を考えず、勝つ事だけを考えなければ。
そうこうしていると、アイリスが控室にやってきた。
「フィル様、調子はいかがでしょうか? もし何か違和感ありましたら今のうちに回復致します」
「ありがとう。アイリス。体に不調は無いよ。むしろ調子がいいくらいだ」
そう、体の調子はいいんだ。
でも、さっきから悪い考えが巡ってしまって正直心の中はぐちゃぐちゃだ。
こんな状態で本当に戦えるんだろうか?
「フィル様? もし違っていたら申し訳ありませんが、顔色が優れないようですよ?」
どうやら顔に出ていたらしい。。。ほんと駄目だなぼくは。
「失礼いたします」
そう言って、彼女は抱きしめてくれた。
彼女の豊満な体が押し付けられるが、いまのぼくは不思議と情欲が湧いてこない。
なにか、いい匂いがするし安心する。
「フィル様がなにを考えていらっしゃるかはわかりませんが、私は勇者である貴方を全力で支えます。だから辛い時はおっしゃってください」
そんな言い方をされたら
いま、ちょうどその事で悩んでたんだ。なんて言えない。。。
まさか、勇者である事そのものに疑問を持ってるだなんて。。。
でも、支えてくれるというのは嬉しい。
現金なやつだな。ぼくは。だから依存してしまうんだろう。
「ありがとう。アイリス。
本当に個人的な事なんで、悩んでる内容は話せないんだけど
支えてくれるというのは嬉しいよ。
もし話せるようになったら、ちゃんと相談するね」
「はい。お待ちしています」
彼女は、優しい笑顔でそう言ってくれた
とても愛おしいが、隠し事をしている事に後ろめたさを感じてしまう。
でも、アイリスが来る前よりは全然良い。ちゃんと戦えそうだ。





