終わりの始まり
ぼくたちフラグメンツは、いつもの様に魔物狩りに森に入っていた
フラグメンツは5人組で
前衛ディフェンダーのぼく
前衛アタッカーの獣人リア
斥候の少女アナ
攻撃魔法使いの女サンドラ
神官の中でも高位の聖女アイリス
で組まれたパーティだ
ぼく以外、全員女の子だけど
それぞれに思惑があって
パーティを組んでいる
斥候のアナが、目当てのクレイジーベアを見つけてくれたので
前衛ディフェンダーであるぼくがサンドラとアイリスを守る陣形を取った
勇者であるぼくなら、クレイジーベアの攻撃なんて問題なく止められる筈だった
でも、その日はちがったんだ。。。
挑発スキル『かかってこい!』
クレイジーベアは、人間を見つけるとすぐに襲いかかってくるから注意が必要だ
だから、まずは挑発スキルを使い行動を制限してから叩くのが定石
襲いかかってきたクレイジーベアの攻撃を片手シールドでいなしながら抑え込もうとしたら
なぜか力負けをしてしまった
「ぐはぁ!」
ゴロゴロと転がりながら衝撃をいなす
力負けするなんて勇者になってからほとんどなかったけど
幸い受け身は体が覚えていた
でも、ぼくが弾かれたと言う事はみんなが危ない
「ごめん、みんな!通してしまった」
「大丈夫です!カバー致します!」
「フィル!? ッこのクマ公が!死んどけ!真牙撃!」
フィリスが念の為張っていた結界で防ぎ
リアがクレイジーベアを殴り倒してくれた
「ふぅ、よかったみんな無事だね?」
「あぁ、問題ねぇ」
「こっちも問題ないよ」
「お兄ちゃん、アナは大丈夫だよ」
「はい。怪我はございません」
リア、アナ、サンドラ、アイリスが答えてくれる
「それよりもお兄ちゃんは大丈夫なの?」
「あぁ、ぼくは受け身はとれたから大丈夫」
転がったせいで、汚れているけど
体に痛みはない
「しかし、いつもならふっ飛ばされるなんて事無いのに、今日はどうした?」
「いや、よくわからない。なぜか今日はうまく対応出来なかった」
リアから問いかけられるけど
どうしてなのかはぼくもわからない
「フィル君の調子が悪いようなら、今日は一旦帰った方がいいんじゃないかな?」
「そう、かもしれませんね。フィル様が崩れてしまうとディフェンダーを担当出来る方がおりません」
サンドラが帰還を提案してきて
フィリスが賛同した
「アタイはどっちでも良いけど、無理する事はないんじゃないのか?」
「リアはお兄ちゃんに従うよ」
帰還をする意見の方が多いな
ぼくもさっきの事で違和感があるので、無理はしたくない
「そうだね。目的のクレイジーベアは討伐できたし。今日は無理せず帰ろうか」
違和感を残しつつ、ぼくたちはホームに戻るのであった