コウフク
男に監禁されていた女は逃げ出して恋人に会いに行きました。それによって恋人は…
キャッキャウフフしてる話を読みたい方はブラウザバックお願いします。
ごめんなさい
ごめんなさい
謝り続ける女が、人通りの少ない路地裏にいた。傍らにあるのは、赤く染まった物体に、それを足蹴にする男。男が声をかけるも、女は何も答えずただ謝り続けている。痺れをきらした男が女の髪をつかみ、無理やり顔を上げさせる。
「お前のせいで、この男は死んだんだ。お前が、俺から逃げてこの男に会いに行ったから。お前が逃げなければ、この男の元に向かわなければ、俺はこの男を殺す必要はなかった。わかるか?お前が、この男を殺したんだ。」
そう、静かに、諭すように言う男の言葉を、女は謝りながら聞いている。否、聞いているのかすら怪しい。
女はただ、愛した男だったモノに向かって、謝り続けている。そんな女を抱きかかえて、男は車に乗る。車を走らせ着いたのは、男の家。つい数日前まで、女を閉じ込めていた場所。女と共に暮らしていた場所。そして、女が逃げ出したかった場所。
「ねぇ、ここがどこか分かる?君がいたくない場所だよ。君が、僕にあの男を殺す理由を作った場所だよ。」
優しく女の頭を撫でながらそう伝える男の口調は先程とは全く違う。だが、女は変わらず謝り続けている。
もはや、何に対して謝っているのか、女ですらも分からなくなっているのではないだろうか。
「安心していいよ。君のことはもうここに閉じ込めたりしない。」
車を降りながら言う男の言葉を聞いた女の口から謝罪がとまる。
「僕はもう、立派な人殺しだ。それに、君のことも監禁していた犯罪者だ。僕はこの後自首をしようと思う。でもその前に、最後に君と食事をとりたい。食事じゃなくてもいい。飲み物だけでもいい。君も、喉が乾いただろう?声が枯れているよ」
男は玄関の戸を開けながら女に向かって言う。女は男の言葉に小さく頷く。男は女をリビングへと連れ、ソファに座らせる。少し待ってて、という男はそのままキッチンへと向かい、準備をする。もう、おんなの口から謝罪の言は聞こえない。
しばらくすれば、お待たせ、と言いながらコップを2つ持った男がやってくる。女に1つ渡した男はそのまま女の横へ座る。女がコップに口をつけ、嚥下するのを見届けてから、男は女へ謝る。
「ごめん、君を不幸にしてしまって。」
その言葉を聞き、女はやっと男と目を合わせる。
「あな、た、に、こんな、ことを、させ、てしま、て、ごめ、なさ。こん、なこと、を、えらば、せ、て、しまって、ごめ。」
途切れ途切れにそう言って、女は目を瞑った。暫くして、男は女の脈を確かめる。それが止まっていることを確かめた男は、引き出しから紙とペンを取り出し、つらつらと書き記していく。1番上の紙に書かれているのは「罪咎」とただ一言のみ。次の紙に続くのは、いつから女をここに閉じ込めていたのか、なぜそうしたのか、そして、先程の殺人についての動機など。全てを書き留めた男は、スマホでどこかへと…警察へと電話をする。女に言った通り、自首をするために電話する。女を監禁していたこと、殺めたこと、そして、男が今いる家の住所を伝え、電話を切る。
男はそのまま、眠るように死んでいる女の横に座り、自身のコップへと手をのばす。女が飲んだものと同じものが入っているコップ。一見するとただのココアだが、実際は毒の入ったココア。男が女に飲ませた、眠るように、穏やかに眠るように死ねる毒が入ったココア。男はそれを飲み込み、抗えない眠気に従って目を閉じる。
数十分後。数名の刑事がやってきた。周囲を警戒しつつも鍵の開いた玄関から中へと足を踏み込む。そんな彼らが見たものは、横に並んで眠る。否、眠るようにして死んでいる男女の姿だった。
何となくスッキリしない内容になってしまった気がしてます。
男:女の恋人。女と付き合っていたから殺されたようなもの。ただの被害者。可哀想。
女:監禁された上に逃げ出したら恋人殺されたし、最後に自分も殺された。可哀想。自分を監禁してた男の事は、最後には死を選ぶことしか出来ない可哀想な人、と思ってる。ついでにそれを選ばせたのは自分なんだよな、とも。
男:好きな女に振り向いてもらえないし、殺人までしちゃうし、最後には監禁してた好きな女に同情されてる人。そこまで可哀想要素はないかもしれない。実は監禁とか殺人とかの諸々は誰かに唆されたっていう裏話があったりなかったりなかったりする。