サービスエリアのトイレで思ったこと
朝ごはんを食べるため、高速道路のサービスエリアに立ち寄った。
まずはトイレだ。
やばい。
我慢しすぎていた。
でも急がず徐行。
出てきたひととぶつからないよう。
床に矢印が描いてある。
それに沿って、指されるほうへ。
角を曲がりながらおばさん
逆行で出てきた。
こっつんこしながら、あたしは譲らない。
譲ってたまるか。
あたしは矢印通り、おばさんは矢印逆行だ。
おばさんも譲らなかった。
無理にでも、あたしの胸を突き抜けてでも通って行こうとする。
入ってくるひと、あたし以外にいないんですけど。
出てくるひとも誰もいない。
2人きりで意地の張り合い。
2人きりでのこっつんこ。
車の運転をしていても、このおばさんはこうなんだろうか。
一方通行と標識に描いてあっても、無理にでも対向車を乗り越えてでも、通って行こうとするんだろうか。
「右側は追い越し車線」と書いてあっても、ここは自分の車線だと言わんばかりに、そこをずっと占有するんだろうか。
曲がり角を曲がったらいきなりいて
正面衝突するしかないんだろうか。
怖い。
このひとをこのままにしておくのは怖い。
もらい事故はいやだ。
関係ないところで起こされてもなんかいやだ。
こいつに譲るのは親切でも配慮でもない、悪人を育てるだけだ。
今がチャンスだ教育せねば!
でもふと考えた。
あたしももっと歳をとったら
こんなおばさんになるんだろうか。
正しいことをするのもめんどくさくなって
新しいことを覚えるのもしんどくさくなって
トイレの矢印を逆に歩いても
他人がどう思っても
どーでもいいって思うようになるんだろうか。
いつか、なるんだろうか。
おばさんが仕方なさそうに横へどいた。
あたしの顔は見ずに、床ばかり見ながら。
あたしはこの日を忘れない。
あんなおばさんにならないために、忘れない。
でも今は急いでトイレに駆け込んだ。