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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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885.傲慢なるそれぞれの理想

「あちゃー、最後の最後で破壊判定を取られちゃったかー」


 コセさん、本当に惜しかったな~。


「なんなのよ、そのマサハルって奴!!」


「「「「……」」」」


 クミンの突然の叫びに、クミンをよく知っている僕達は驚いてしまう。


「……な、何よ? キャロルもロフォンも……」

「いや、いつものクミンなら、「ま、仕方ないでしょ」とか言いそうなのに……」

「アイツに惚れたんじゃないのか?」

「そんなわけないでしょ、ロフォン!」


 ムキになっているのがますます怪しいよ。


「コセさん達、映像から消えましたよ? モグモグ」


 パクパクと、甘ザラのポップコーンを食べ続けながら告げるメリー。


 普段臆病な振る舞いをしているけれど、メリーって実は胆力凄いよね。どっちも素だろうけど。


「ご主人様!」


 トゥスカの声が聞こえてきた。


「コセさん、こっちに転送されてきたんだ」

「男になっていたユイが居ないな」


 ロフォンの指摘。


「おそらく、用意されていた専用のエリアの方に転移されたのだろう」


 よく見てるな、ヌルン。


「アマゾネスのシレイアと使用人NPCが、さっき出て行ったしな」

「ああ、迎えに行ったのか」


 そういえば、コセさんに声を掛けていた銀鎧の男の人……どっかで見たことあるような……気のせいかな。



『現在、まだダンジョン・ザ・チョイスのアップデートが終了していない。明日の朝には終わる予定だが、改めて連絡をするまで、各々そこでくつろいでいてくれたまえ。引き続き食事やカラオケを楽しんでね』



 映像が完全に消えた。


「カラオケ?」


 新しいデバイスとマイクが二つ、テーブルの上に出現。


「カラオケとか久しぶり~」


 デバイスの起動スイッチを押すと、ソファー上部に蓋が被さるように出現して、出入り口には扉が生えて閉まった状態に。


『よっしゃー、今夜は歌うぞ~!』


「お、音が響いてうるさい!」

「こ、恐いです~」


 慣れてないロフォンとメリーがビビってる。かぁわいい~!



●●●



「――さすがマサハルさんだ!」

「漁夫の利で、見事にクエストをクリアしてしまったわ!」


「「「「マぁサッハル! マぁサッハル! マぁサッハル! マぁサッハル!」」」」


「ありがとう、皆。ありがとう」


 人気者は辛いね。


「だがまずは、参加したメンバーの安否確認が先だ。他エリアに転送されたであろう仲間達の生存を確かめてくれ」


「「「「了解!」」」」


 不参加だった女性陣達が動き出す。


「優しいわね、マサハル」


 僕のパーティーの麗しき大魔導師が、声を掛けてくれる。


『首をうんたらのくだりのときには、少々ざわめいていたがな』


 我が仮面の強者に指摘されてしまう。


「そうかい? あれくらいなら問題ないと思ってたんだけれど」


「圧倒的な力の前には、愚者は靡き、媚び諂う物だ。それ故のさっきの歓声さ」


 僕専属のドワーフの鍛治氏が、道理を解く。


「だから、うちって有象無象が多いのよね」

「数もまた力だよ、キョウコ」


 麗しき大魔導師の腰に手を回し、唇を奪う。


「ちょ、ちょっと……♡」

「ごめんね、強引で」


『それで、例の願いを叶えるって報酬、どうするつもりなんだ?』


「そうだね……僕達のレギオンを、不変不動の最大派閥にするために使おうと思っているよ」


 僕の趣味と実益を兼ねた方法でね。


 ああ――早く人間の首を、たくさん切り飛ばしたいなぁ~。



●●●



「ごめん、姉さん達……」


 アサヒは、戻ってきてからずっとうわごとのように、弱々しく謝罪を繰り返している。


「おーい! ホタル達、どこー?」


 誰かが、アサヒのエリアに入ってきた?


「バロンのミレオに、使用人のディアか」

「NPCは券を買えないから、好きにエリアを出入りできるんですね」


 アウトローガンナーのケイコと、海狸(ビーバー)獣人のムダンの会話。


「オーイ、こっちこっちー」


 ダルそうに手を振って二人を呼ぶ、梟鳥人のオゥロ。


「なんのようだ、ミレオ?」

「マスターが、早めに持っていってほしいって」


 ミレオが、白くて四角いデバイス? を二つ、実体化させた。


「“ニューボディー”ってアイテムだよ。これがあれば、アサヒのお姉さん達に新しい身体を上げられるよ」


「…………へ?」


 アサヒの顔に、少しばかり生気が戻る。


「初耳だぞ」

「余計な期待を持たせないよう、黙ってたんだよ。二つも手に入れられるか分からなかったし」

「それがあれば、死んだ人間を生き返らせられるのか?」


 ケイコの質問。


「ううん、アサヒのお姉さん達は特別。“アライブ・ザ・スラッシャ”に意識データが入ってるからできる、言わば裏技中の裏技だよ」


 そんな便利なアイテムじゃないってわけか。


「だそうだ。やったな、アサヒ」

「……あ、ありがとう、ホタル。ありがとう、皆……ありがとう、キクルさん」


 嬉し泣きするアサヒ……私みたいに、またキクルの愛人が増えそうだ。



●●●



「……」


 深夜となり、ソファーをカラオケボックス化した状態で眠る事になった俺達。


 NPC組はエリアの入り口に陣取り、万が一のために警戒してくれている。


 疲れてたからか、持ってきて貰った料理をたらふく食った……けれど、神代文字を使いすぎた反動の気怠さはまだ消えない。


「トドメを取られたの、なんだかんだでショックだったな」


「……ご主人様」

「トゥスカ、起きてたのか」

「シューラが寝るのを待ってました」


 隣の席から身を寄せてきて、キスを強請って来るトゥスカ。


 応えると、今度は手が股に伸びてきた!


「……ここで始める気か?」

「大丈夫ですよ、外からは見えませんし」

「ていうか、五十九ステージが()()だったせいで、昨日からずっとムラムラしっぱなしだっての、アタシらは」


 シューラも起きていたらしい。


「五十九ステージは……酷い所だったな」


 俺は婆に貞操を奪われそうになったし……男に狙われる気持ちと女に狙われる気持ちって、全然違う嫌悪感だった。


「そういえば、昨夜は控え目だったな」


 昨日は疲れてたし、大規模突発クエストも控えてたから気を遣ってくれていたんだろうな、みんな……発情してたのに我慢させてしまっていたのか。


「良いよ。おいで、二人とも」


 座った状態で寝られる気がしないし、二人からの誘いに、ちょっと活力が戻ってきたし。


「悪いね、トゥスカ」

「別に、私は……」


 頬を赤らめながらむくれちゃって……そんなに俺を独り占めしたかったのか。


 二人が服を一瞬で外さずに、わざわざ目の前で脱いで……俺を誘っている。


「ご主人様♡」

「コセ坊♡」


「ほら、やっぱり」


 ドアを少し開けて覗いてきたのは、マリナ……に続いて、コトリとケルフェまで入ってきた。


「お前達も我慢出来なくなったのか?」

「……そうよ、悪い?」

「順番だからな」


 何度か死にかけたからなのか、今夜は五人相手でも行けそうだ。


第21章 傲慢なる理想の権化 完結です!

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