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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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881.白面の毒蠍VS聖女の権化

『ハイパワースラッシュ!!』


 SSランクモンスター、“ドラキュラ・ヴラド・ヴァンパイア”という、頭の悪そうな名前のモンスターの左腕を切り落とす!


『“狂血魔法”――ブラッドスプラッシュ!!

『“猛毒大蛇”!!』


 紫毒の大蛇を盾にしたのち、そのまま食らい付かせる!


『邪魔だぁぁ!!』


 血の噴出、“狂血瀑布”で大蛇をズタズタにされた!


『厄介だな』


 強力な再生能力を持った、SSランクのアンデッド。


 畳み掛けないと、せっかく切り離した左腕が再生してしまう。


『“飛王剣”!!』

『“霧化”!』


 血の飛沫となって逃れ――俺の背後で実体化!


『“呪縛支配”――ヴェノムバレット!!』


 呪いデバフを大量に付与し、弱体化に成功。


『お、おのれぇ……』

『楽しかったが、時間が無いんだ』


 トドメを刺そうとした瞬間だった。



「――ハイエリアヒール」



 女の声が響いた瞬間、周囲が強烈な光に包まれ……“ドラキュラ・ヴラド・ヴァンパイア”が消滅した?


 俺の全身の痛みも消えたし……誰かが援護してきたのか?


「ああ! SSランクモンスターを消してしまいした!?」


 声の主は、真っ白なドレスに身を包む……純白のメアリー・スー。


『弱点の回復魔法だったとはいえ、SSランクのアンデッドをほぼ一撃で消し去るとは……』


 どんなチートスキル持ちだ?


「私のチートスキルは、〔真の大聖女〕。光の単一属性、回復魔法、自身の回復速度の効力を十倍にします」


 回復と光特化の強化能力というわけか。


『俺の対極に居るような能力だな――“呪縛支配”、“劇毒弾”!!』


「エリアキュアオール」


 対状態異常効果とはいえ、毒も呪いも完全に消された!?


「ヴァンパイア・ヴラド・ドラキュラさんをよくも! 彼の仇は、真の大聖女たる私が取る!」


『何を言っているんだ、お前は?』


 お前の魔法の……お前のドジのせいで消失したんだろ。名前間違ってるし。


『むしろ、文句を言いたいのは俺の方だ! 獲物を横取りされたんだからな!』

「貴方は……貴方は命をなんだと思っているんですか!!」

『は?』


 なんで急にガチっぽい雰囲気出してるんだ? このポンコツ大聖女は。


 メアリー・スーってのは、こんな支離滅裂な奴等ばかりなのか?


「大聖女として、私が大罪人に裁きを下しましょう」


『勝手に大罪人にするな』


 まあ、それなりに人間は殺しているから、地獄行きは確定だろうが。


『名ばかりの聖女が。俺は、お前なんかよりも聖女に相応しい女を知っているぞ』


 そのチートスキルは、アイツにこそ相応しい。


「そうです。聖女は一人である必要はありません」


 ああ言えばこう言う……嫌な女だな。


『“飛王剣”!!』


 無効化されることを考慮し、“呪縛支配”を解いてから繰り出す!


「ですが――真に選ばれし大聖女は私だけなのです!! シャイニングカノン!!」


 圧倒的な威力の“光輝魔法”により、簡単に掻き消された!


「“四重魔法”、“光輝魔法”――シャイニングバレット!」

『スコーピアスフェイズアーマー!』


 光脚による連続跳躍で躱す!


『威力よりも手数のバレット系でこの威力か!』


 フェイズアーマーを纏ったこの状態ですら、一発でも直撃していたら無事じゃ済まなかったろうな。


『“開眼”』


 “浄天眼”が、あの女が纏う妙なオーラを捉える。


 あれが、可視化された奴の力。


「悪しき罪人よ、私が貴方の永遠の安寧を祈りましょう――代わりに、その命を持って罪を贖いなさい!」

『お前の人殺しは罪じゃないのか?』

「これは救済です! 無闇に命を奪う貴方とは違う!」

『つまらない答えだ』


 人殺しの罪を背負う気は毛頭無いと。


 ――“紫幻の悪夢を食らい尽くせ”で斬り掛かる!


「“聖紋障壁”」


 白い円形紋様に阻まれた!? “障壁無効の腕輪”があるのに!


『俺の知らないスキルだと?』


 まさか、この女のために用意された新スキルじゃないだろうな!


「ハァッ! 神の裁き!!」


 “聖紋障壁”が高速で突っ込んでくる!


『“魔蠍技”――スコーピアスニードラスト!!』


 力尽くで破壊――瞬時に再生した!?


『グハッ!!』


 障壁無効は、俺の攻撃に対して障壁を発生させない効果と、発生した障壁を破壊する効果の二つ。


 あのスキルは、破壊されても即座に復活する能力があるのか。


「天に召しなさい――シャイニングバレット!!」


『“狂獣化”!!』


 防御を捨てて、正面から突っ込む!


「そんな!?」


 “浄天眼”で頭と右腕だけは守り、光弾の嵐を突破――大聖女とやらの首を絞める!


「は、離しなさい、下郎!! 私を誰だと思っているの!! 神に選ばれし大聖女なのですよ!!」


 無駄に人間染みたNPCだ。


『もっと醜悪な顔をしろよ、真の大聖女に相応しい顔をよ』


「――舐めた口を訊くなぁぁ!!」



『その顔が見たかったんだ』

 


 首を力任せにへし折り、最高に醜悪な顔で光にしてやる。


『大聖女らしく、光に還れ…………クソ』


 トラウマは、とっくに乗り越えたと思っていたのに。


 最近、俺が性に溺れがちなのは……自分に負け続けているからなのか……。


「――“聖剣支配”」


 降り注ぐ光の剣が、俺の身体を貫く!!


『このぉぉ!!』


 “狂獣化”状態で無理矢理神代文字を刻み、刺さった剣を破壊――肉体が急速に再生するも、MP切れで人の身に戻る。


『ハアハア、ハアハア』


「あれ? しぶといんだね」


挿絵(By みてみん)


 金髪の白人に、二人の男。


『そうか……お前がマサハルか』


「僕を知っているのかい?」


 奴が手にしている盾は、俺のライブラリに記載されている。なぜなら――


『俺の名はキクル――俺のユウコ達に、わびを入れて貰おうか』


 最近、独占欲に歯止めが利かなくなって来てるな、俺。


「なんの事か分からないな。うちは人数が多いから、誰に恨まれていてもおかしくないし」


 お前からしたらそうなんだろうが……あのニヤけ面、いけ好かない野郎だ。


「お前、俺達と戦る気か?」

「僕達はね、全員がSSランク持ちなんですよ? 君が知っているかどうか知らないけれど、例の力だって使えるんだ」


 リーダーがリーダーなら、取り巻き共も嫌な雰囲気を纏ってやがる。



「さすがに、三対一は狡すぎないかな?」



『お前……アテル』


 コセが信用している男が、俺の横に降り立つ。


 雰囲気はマサハルに似ているのに、アテルからはいけ好かない感覚は無い。


 むしろ、傍にいるだけで安堵さえしてくる。


 俺は、グダラ達にとってそういう存在になれているのだろうか……。


「というわけで、共闘させて貰っても良いかな?」

『ああ、正直助かる。だが、あの白人は俺が殺す』

「僕も彼の首が一番欲しいから、早い者勝ちで良いかな?」

『仕方ない』


 男同士の共闘には、女とのそれとは別の高揚感がある!


「時間がないって言うのに――仕方ないな」


 不気味に戦意を漲らせるマサハル。


 三対二の殺し合いが始まる!


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