879.三姉妹の真骨頂
『行けぇぇ!!』
『『『ガルルルラァァァ!!』』』
人狼共が、一斉に襲い来る!
『“逢魔の波動”!!』
カズミ姉さんが、自身のスキルで敵の勢いを削いでくれた!
「“鉄球支配”!!」
僕の鉄球付きの盾、“反芻せし偽りを叩き潰せ”に融合させた偽マスターアジャストの力を使用――無数の鉄球を撃ち出し、人狼モンスターの骨を叩き折る!
『“天雷魔法”――ヘブンサンダーレイン!!』
ほぼ無傷のレジェンダリーを足止めしてくれるツカサ姉さん!
「“鋼鉄魔法”――スチールコーティング」
大刀のように変形させた“アライブ・ザ・スラッシャ”を、鈍色に染めて硬質化!
『“闘気剣”』
カズミ姉さんの思考に従い、合わせる!
『「――ハイパワースラッシュ!!」』
一撃で、大柄の“レジェンダリー・ワーウルフ”の身体を両断!
一つの武器で二重に同じスキルを発動した事で、威力が二乗される――それが僕達のSSランク、“アライブ・ザ・スラッシャ”の真骨頂。
「邪魔だ!」
背後に回り込もうとした“マサカーワーウルフ”を、支配能力で作り出した巨大鉄球で仕留める!
『まず――“万有引力”!』
別のレジェンダリーによる不意打ちを、遠ざける力で外してくれるツカサ姉さん。
『『アサヒ!』』
姉さん達に合わせる!
『“量子分裂”』
『「『「――“飛王剣”!!」』」』
ツカサ姉のスキルで全ての能力が半減した状態で、挟撃してきた“レジェンダリー・ワーウルフ”二体を始末!
たとえ威力が本来の半分になろうと、TPの十分の一を消費して繰り出される“飛王剣”の二乗された攻撃力なら、レジェンダリーモンスターにも大きなダメージを負わせられる!
『「『「ハイパワースラッシュ!!」』」』
レジェンダリーを完全に仕留めた直後に、術者へと向かって駆けていく!
厄介な雑魚を一掃した今しか、チャンスは無い!
『もう一度行けぇぇ!!』
もう、第二陣が生まれているだと!?
『臆するな! “ニタイカムイ”!』
『行っちゃえ! “ピリカカムイ”!』
“レースチェンジの指輪”で種族を獣人に変えているカズミ姉さん、フェアリーに変えているツカサ姉さんのおかげで、僕は同時に二つのカムイを適用!!
『『「“猪突猛進”!!」』』
底上げしたパワーとスピードに任せ、三乗されたエネルギー膜をぶつけ――正面から蹴散らす!!
『――グガぁぁぁッッッ!!!!』
意表を突けたのか、躱せずに挽き潰される人狼!
「ハアハア」
『……グルルル』
コイツ、“獣化”状態のように、千切れた手足や欠損部分が見る見る再生していく!
「邪魔だ!!」
低ランク人狼共の波を、無理矢理に蹴散らす!!
『――ウォォォォォ!!』
奴が獣の遠吠えを上げた瞬間、右手の銅色のかぎ爪に――赤い文字が六つ刻まれた!!
紅い光が、有象無象の人狼共にも伝染していくだと!?
『寄こせ、アサヒ!』
「はい!」
“反芻せし偽りを叩き潰せ”に、青い文字を六文字刻む!!
『『“逢魔の波動”!!』』
姉さん達のスキル二乗が神代の力と共に炸裂し、人狼共を全て吹き飛ばしたどころか、ヴェアヴォルフにもダメージを与えた!
「“鋼鉄剣術”――スチールスラッシュ!!」
首を落とそうと仕掛けた一撃が、かぎ爪に受けられてしまう!
――スチールコーティングを解除し、“アライブ・ザ・スラッシャ”の躍動的な双刃で――ヴェアヴォルフを切り刻んで貰い、膝を付かせた!
『最大火力だ!』
『とっとと終わらせなさい!』
僕達の最強威力の一撃、耐えられる物なら耐えてみろ!!
『『「――――“精霊魔砲”!!」』』
単純計算で威力三乗のうえ、それぞれの属性まで反映されているため、更に増幅された一撃。
「……か、勝った」
ヴェアヴォルフは、跡形もなく消し飛んでいた。
これで、願いに一手近付いた。
●●●
「うん?」
KPが五千以上になったため絶壁目指してやって来ると、こちらをギラついた目で威嚇しているフェアリーの男? を発見。
“偉大なる黄金の翼”を翻し、着地。
「行け!!」
二体の、小さなフェアリーが飛んできた?
「“熱光線”!」
「“麻痺電流”!」
翼の黄金光で防いだけれど……ずいぶん小さな攻撃だったな。あのフェアリーが小さいからか?
「“支援”!!」
二体のフェアリーを強化した? アレって、ヘルシングの固有スキルじゃなかったか?
「“ピリカカムイ”!!」
男フェアリーだけでなく、二体の小フェアリーにまで桃色のオーラが。
「お前のポイントを全部寄こせ!」
『“魔力砲”!!』
『“竜光砲”!!』
さっきのスキルと違い、今度は縮小されていない?
「“拒絶領域”!!」
今日の分を使い切ってしまった!
「最初の攻撃は、油断を誘うための物だったか」
よく見たらアイツ、セリーヌと同じ“ティターニアの腕輪”を!
「クソぉ! なんで死んでくれないんだ! “罪・精霊魔法”――シン・シルフ!!」
フェルナンダの“精霊魔法”とは別物なのか、禍々しい見た目に凶暴性も上がった気がする。
「――“魔斬り”」
魔法である以上、切り裂く事は可能。
「な、なんで……なんで勝てな……」
邪魔な二体の小フェアリーを切り裂き、フェアリー男の前へ。
「よう」
「あ……ああ」
怯えているところ悪いけれど、命を狙ってきた奴を見逃すほど俺は甘くない。
「“古代竜技”――エンシェントドラゴンブレス」
見ているであろうモモカに気を遣い、過剰火力で瞬時に消し去った。
「……ハー」
後で、セリーヌに何か言われたりするかな……。
絶壁の傍へと歩を進める。
○【絶壁階層山】、第四階層の突破条件を満たしています。頂上の階層へと進みますか?
YES NO
「本当は、もう少し宝箱を探したかったけれど」
残り三十分を切っているからな。
「行くか!」
四度目の光のロードを体験し、いよいよ頂上へ。
「あれ?」
降り立った場所は、階段がある狭いスペースに例の青いプラスチック小屋のみ。
○四階層突破報酬を四つ、選択してください。
★ダブルユニークの指輪 ★SS適応の指輪
★ツインSSランクの腕輪 ★奴隷神の腕輪
★指輪+4の首輪 ★その他+3の首輪
★EXランク申請権 ★SSランク申請権1/2
★メダルシリンダーガン ★ウェポン・クラスター
★ザ・メダライズ・ヘイロウ
★アラストール・ガントレット
★ポゼッション・マニピュレータ
★ユニークスキル申請権 ★隠れNPC申請権
★古代兵装申請権 ★守護神申請権
★チートファイル×3
「選択肢が一気に増えたな!」
申請権がやたら多くて、ラインナップに適当感があるし。
SSランクが手に入るって話だったけれど、申請権1/2とか書かれてるし……同じ物を複数回選べない仕様のくせに、ケチくせぇ。
偽“マスターアジャスト”をばら撒いておいて、何を今更ケチってるのか。
「その中で、変わらず“チートファイル”があるのが気になるな」
まあ、もう三つも持ってるんだし、今回は良いだろ。
“ユニークスキル申請権”、二つの首輪……“ツインSSランクの腕輪”で良いか!
プラスチック小屋の中を確認すると、宝箱が三つ。
○“指輪+4の首輪”を手に入れました。
○“EXグリップ”を手に入れました。
○“メダライズ・マガジン”を手に入れました。
「さてと」
さっさと、HAARPとかいう気象兵器を破壊しに行くか。




