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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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870.北天の雄VS魔力の権化

「コセが勝った!」

「ガウガウ~!」


 モモカと一緒に、はしゃぎ出すバニラ……両手にお肉を持った状態で。


「はいはい、あんまり暴れちゃダメですよ~」


 サキが面倒を見てくれているから、色々助かってる。


 二人の目移りぶりに苦労して、完全にルール説明の所を見逃しちゃったし。


「子供ってこういう物か」


「ギオジィ、格好いい……抱かれてぇ」


挿絵(By みてみん)


 子供から大人になり始めたクレーレは、惚けた表情で変なこと言ってるし……私もちょっと思ったけれど。


「前にタマモが遭遇した奴とは、やっぱ全然違うスキルみたいだな」


 三色団子をモチャモチャ食べながら、真剣に観ていたらしいモーヴの指摘。


「よし、今のうちよ」

「どうしたんだ、ジュリー?」


 おもむろに立ち上がった私の意図が判らない様子のモーヴ。


「暫く強敵が出ない今しか、料理を持ってくる暇無いでしょ!」


 お腹ペコペコなのよ、私は! あんたらだけ、エリーシャが持ってきた物を食べて!


「モーヴも手伝って!」

「ええ……」

「エリーシャ、おトイレ行きたい」

「入り口の方にありましたね。共に行きましょう、モモカ様」


 モモカは一応コセと婚姻しているため、使用人NPC達のモモカへの認識は大旦那様の妻。


 つまり、専属ではないものの、自分達が仕えるべき一人という扱い。


「ガウガウ!」

「バニラもチョロチョロしたいって」

「サキ、よろしく」

「……はい」


 パーティーにNPCが居てくれて良かった。


「エリーシャ、ここに居る間はあんまりジュースは飲ませないようにして」

「畏まりました、ジュリー様」


 さあ、さっさとあったかい料理を取りに行くよ! バイキングでの私恒例、カレーに揚げ物を山盛りにしに!!



○○○



「わたくしのチートスキルは、〔百倍魔力〕。わたくしの基本MPが百倍になりますのよ! オーホッホッホッホッホ!!」


 金髪ドリルツインテールのメアリー・スーが、高い場所に浮いた状態で高らかに語る。


「そうかい――“太陽支配”」


 先程手に入れた偽“マスターアジャスト”をさっそく使用し、“アマテルの太陽剣”に新たな力を付与しておいた。


「無駄よ! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁ!! ――“魔力防壁”!!」


 巨大な黒紫色の球光に阻まれ、僕の太陽の炎も光熱も届かない。



「跡形もなく消えなさい――“魔力砲”!!」



「――“神代の女神”」


 黒鎧たる“絶視なる北天の雄の歩み”に十二文字刻み、青白いオーラの女性をこの身に纒って耐え凌ぐ!!


「フフ、危なかったよ」


 総MPの半分を消費して放つ“魔力砲”が、信じられないほど巨大化していた。


「魔力と名の付くスキルは、MP依存で威力が変動するスキルばかりと聞く。君のビルドは、そういう物ということかな?」


 莫大なMPを生かすには、魔力系のスキルはうってつけだろう。


「愚民風情が、知った風な口を訊くのはおやめなさい! “六重魔法”、“二倍魔力”、“溶岩魔法”――“魔法生物術式”!!」


 六頭の溶岩巨獅子が接近してくる。


「武器交換――“絶視なる太陽殺の古代魔剣”」


 “魔術師殺しの剣”と“古代の魔剣”の力を受け継ぐ剣で、六頭の獅子を切り食らう。


「――“精霊魔砲”!!」

「無駄よ、愚民!」


 僕の総MPの半分でも、彼女の総MPの十分の一で作られた“魔力防壁”を削れた程度か。


「ぐ、愚民の割にはやるじゃない」

「一応、これでも高貴な血筋だと思うけれどね、僕は」


 固執する程でもないくだらない要素だけれど、僕の基盤から伸びる柱の一つではある。


 それが無い人々が憐れに思える程度には、自分の出自は僕を支える力となっているだろう。


「このわたくしを侮辱するとは――何様だ、貴様はぁぁッ!! “魔力弾”!!」

「“瞬足”」


 彼女が趣味の悪い扇子を振りかざすと、“魔力弾”が僕を追尾してきた!


 僕の知る“魔力弾”よりも遥かに大きいし、食らったら即死だろうね。


「MP消費を狙うのは下策かな」


 NPCならMPブーストもあるだろうし、彼女の装備は、僕が判るだけでも“精力王のピアス”など、MPの回復速度を上げる物が多い。


 “魔武の指輪”も持っているようだし、この剣による魔法に対しての優位性は、あってないような物か。


「“太陽鳥”!」


 “魔力弾”を誘爆させる。


「時間も無いし、一気に決めさせて貰おう――古代神鳥」


 “八咫烏の指輪”から進化させた、“絶視なる古代神鳥の指輪”を使用――赤き三つ足烏を喚び出す!


「“一斉掃射”!!」


 レーザーやミサイルの雨を放ち、メアリー・スーの動きを抑え込む。


「こ、この、愚民風情が!」

「オールセット4」


挿絵(By みてみん)


 金と銀の大弓を手にする。


 三つの弓を組み込んだ、僕専用の“ウェポン・クラスター”を。


「一撃で終わらせよう」


 “ウェポン・クラスター”に組み込んだ“絶視なる太陽弓”の力で十八文字刻み、“剣射の弓”の能力で、“アマテルの太陽剣”を矢の代わりにつがえる。



「“太陽剣術”、ソーラーブレイド――“太陽弓術”、ソーラーブレイズ!!」



 三つ目の弓、“スターズスプレッド”の能力により、二種の武術が適用された太陽の剣矢が、多少威力が低下しつつも――五つとなって放たれる!!


「ぐ、愚民如きが、いつまでも調子に――」


 激しい爆発と発光で気づけなかったのだろう。


 僕の剣矢は、削られて小さくなった“魔力防壁”を難なく貫通し、彼女の腹と四肢を穿ち千切った。


「しゅ……“瞬間再生”」


 死に体から、一瞬で復活か。


「首を落とさなかったのは、僕のミスかな――オールセット1」


 “アマテルの太陽剣”をこの手に。


「も、もう許さないわ! 選ばれし存在であるこのわたくしに、こんな惨めな仕打ちをするなんて!! 万死に値するのよ!!」



「死その物は――誰にも平等だよ」



「…………は?」


 簡易アセンションで瞬時に切り抜け、首を落とした。


「君に死があるのかは、僕にも解らないけれどね」


「――ハアハア、ハアハア!!」


 こんな序盤で、簡易アセンションを使う羽目になるなんて!!


「ハアハア……良くないね、これは」


 自分の意志で簡易アセンションを使えるようになってからというもの、無自覚にこの力に頼りがちになっている。


「もう少し、節度を持たないと」


 また、クフェリス辺りに怒られてしまうよ。


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