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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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867.鑑賞準備

「なんか、ボウリング場みたい」


 転送先で見た光景に対する私の感想がそれだった。


 上も下もほぼ真っ黒というか、ほぼ宇宙空間っていうか、プラネタリウムっぽい感じだけれど。


「ボウリング場? それはなんだ、ユリカ?」

「重い球を転がして遊ぶ所よ」

「……それは何が面白いんだ?」


 やったこと無いレリーフェには解んないわよね。


 まあ、冷静に考えると私もそう思うけれど。


「お久しぶりです、《龍意のケンシ》の皆さん」


 挨拶をしてきたのは、チーター獣人のクフェリス率いる《日高見のケンシ》の面々。


「ちょうど一ヶ月ぶりですね」


 今度は、レイナ率いる《白面のケンシ》か。


「本当に久しぶりですね、クフェリス、レイナ」


 リーダーが居ないときの代表とか特に決めてたわけじゃないけれど、トゥスカが前に出るのはしっくりくる。


「ようこそ、皆様」


 使用人NPCみたいなメイドが声を掛けてきた。


「わたくし、この場所の案内を務める60号(シックスティ)と申します」


挿絵(By みてみん)


 白髪ショートでスラッと長い美脚の長身……ボーイッシュ美人て感じね。格好は地味に露出多め。


「もしかして、ここに居るのは六十ステージに居る人間だけなの?」


「はい、その通りです、ユリカ様」


 私の名前を知ってるのか。


「時間がありませんので、手早く説明させて頂きます。まず、余計なトラブルを避けるため、この空間では鎧以外の武具は装備出来ません。発動系の能力の使用も不可能です」


 そういえば、転移前に手にしていたはずの杖が消えてる。


「右手にございますのがバイキングコーナー。自由に食べて飲んでくださって構いません。全て無料です」


 60号が手を翳した瞬間、沢山のテーブルや食べ物が入ったケース、食器が出現。


 寿司やパエリアとか、色んな料理だけじゃなく、デザートやドリンクなんかも種類が豊富っぽい!


「クミン、あれってクロカンブッシュだよ!」

「山積みのシュークリームのこと?」

「見て見て! 色んな形のフィナンシェにフロランタンもある! 好きなんだよね、僕。フロランタンが!」


 ああ、アーモンドの焼き菓子か……いちいち反応が可愛いな、あの童顔痴女。


「ちょっと黙ってなさい、キャロル。ちゃんと後で取り分けてあげるから」


 なんであんたが取り分けんのよ、クミン。


「最初に、あちらの奥にある券売機で券を購入してください。お一人一枚だけですので、誰の券を買うかはよく考えてください。ちなみに、NPCには購入権はございません」


 誰の券て何よ?


「購入した券の選手がどれくらいクエストで活躍するかで、皆様の今回の報酬が決まります」


 つまり、一種の賭け事を強制してるってわけね。


「その後は、左手に見えます見学席にて、対応する選手のエリアへ移動してください」


 カラオケボックスのようなガラスのドアの上に参加者の顔写真があって、ドアの前には駅にある改札口みたいな、券を入れるっぽい機械が設置されてる。


「くれぐれもお急ぎを。16時11分になったらクエストの説明が始まりますので。分からないことがあれば、遠慮なく私にお尋ねください」


 その後、バイキングコーナーの端っこに移動して直立不動となる60号。


「素晴らしいメイドぶりですね、彼女」


 最近、ナターシャは変な発言をすることが増えたわね。


「もう五分も無いよ」

「急ぎましょう」


 メルシュとトゥスカに促されるように、二十台くらい並ぶ券売機の前へ。


「一枚、百万G!? たっか!」


 驚いている場合じゃない。さっさと買ってしまわないと。


「モモカちゃん、抱っこするね」

「バニラ、ここを押すんだ」


 サキとメグミが、二人のサポートをしている。


「面倒見が良いわね」

「レリーフェ様、ここです。コセ様の写真の下のレバーです」

「こ、ここで良いんだな?」


 ヨシノに説明されながら、恐る恐るレバーを押すレリーフェ……レリーフェって機械音痴だったっけ?


 そういえば、レリーフェが機械類を自分で操作してるとこ見たことないかも。


「あと三分ちょいで始まっちゃうよ!」


 メルシュに急かされる!


「行くわよ、皆!」

「飲み物と軽くつまめる物を持っていきますので、私の席の確保をお願いします」


 ヨシノからのありがたい提案!


「分かったわ、唐揚げと炭酸水をよろしく!」


 使用人NPC組と、気立ての良いメンバーはバイキングへ。


「当たり前だが、どのレギオンも自分のリーダーの券を購入したみたいだな」

「そりゃそうでしょ」

「私はちょっと迷った……他レギオンの偵察に行こうかなって」


 ルイーサと双子二人の、走りながらの会話。


「じゃあ、なんで行かなかったのよ?」

「……」

「なんか言いなさいよ」

「か、彼氏の格好いいところが見たかった……から」


 珍しい。アオイが赤面してるなんて。


「アハハハハハ! あんたが、そんな女の子っぽい事を口にするなんて!」

「お姉ちゃんが言わせたくせに!」


 本当、アオイの珍しい表情が次々と。


「日高見と白面以外の面子は居なさそうだな。見知らない奴らも居るが、どっちかのレギオンと仲良さげだしよ」


 脳筋っぽいザッカルだけれど、結構周りを見てるのよね~、コイツ。


「皆さん、中は広いので急いだ方が良さそうですよ!」


 コトリと真っ先にカラオケボックスに入っていたケルフェが、わざわざ顔を出して教えてくれる。


 券を機械に入れると、私の顔の写真が入った紅いカードが出て来た。


「暗! 中はこうなってるんだ……」


 カラオケボックスの横にはトイレ、奥には階段があり、六段上ると映画館の上映ルームみたいな雰囲気の場所に。


 半円状のソファーがちょっとした小部屋のようになっていて、湾曲するようにズラリと並んでいる……まるで、ドラマで見たキャバクラみたい。


 ソファーは独り用に区切られていて、ソファー一つにつき七席。


「フー、間に合った」



○カードを機械に挿入してください。



 左の肘がけには何かの丸っぽい機械があって、私が座った瞬間にチョイスプレートが勝手に開いた。


「これ、自分の顔が入ったカードのことで良いんだよな?」

「たぶんね」


 さっさとカードを入れると、機械に電源が入る。


「たくさん席があるんですね、前にも後ろにも」


 スゥーシャに言われて初めて気付く。


「スポーツのスタジアムみたいな配置なのか」


 前方の一段低い位置にも、同じソファー部屋が横に湾曲してズラリ。


 上の方にも同じように小部屋が並んでいるようで、完全に段状になっているみたいね。


 一番下の真ん中には、当たり前のようにトゥスカ達のパーティーが座っていた。


 皆、パーティーごとに席に着いているみたい。


「それで、コセ様の姿はどうやって見るのでしょう?」


 タマがそう口にすると、何故かシレイアとカナが私達の部屋にやって来た。


「なあ、アタシのマスターを知らないか?」

「ユイちゃん、どこにも居ないみたいなのよ」


 カナは、一緒に探してたのか。


「そういえば、こっちに転移する前から見てないわね」


 ――周囲の明かりが一段下がり、この広大な部屋の奥の方に光が出現。丸いモニターのようになって、コセと思われる後ろ姿を映し出す。


「いよいよか」


 映画の上映が始まる直前みたいで、だんだんわくわくしてきたわ!


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