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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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864.魔神・纏足姫

挿絵(By みてみん)

「第五十九ステージのボスは、魔神・纏足姫(てんそくき)。弱点属性は鉄、有効武器は全部。危険攻撃は、空中から蹴り落ちてくる“跳躍乱蹴(らんげ)”と“跳躍墜穿(ついせん)”」


 有効武器が全部とか、危険攻撃が二種類とか、また随分と極端な魔神だな。


「ステージギミックはジャンピングエリア。ランダムに床が光って、強制的に高く打ち上げてくるよ」

「そのまま天井に激突するような事はないけれど、その分、いつものボス部屋より天井が遥かに高くなっている」


 メルシュの説明に補足を入れるジュリー。


「逆に、武器以外の攻撃には強い厄介な能力を持ってる。遠距離主体のメンバーは、サポートに回るようにしたほうが良い」


 その後は、ボスの討伐完了報酬に関する話に。


 説明が終わり、さっそくルイーサとクマムのパーティーがボス戦へ。


「武器攻撃以外に強いとなると、私のドラゴンの出番は無いか」


 五十九ステージで、意図せず手に入れたドラゴンを活躍させたがっていたメグミ。


 本当、最近のメグミは只のドラゴンマニアみたいになってきてる。


「纏足って、どういう意味ですかぁ?」


 クリスが誰ともなく尋ねた。


「えっとね、確か中国の方で美しいとされる足の形のことよ。上流階級の女性は、意図的にその形になる方法をやってたって」

「さすがサトミ様! 博識ですね!」


 どんな足なのか全然想像がつかないけれど、上流階級の女性だけがやってたからわざわざ姫って付いてるのか。


「ああ、あれか。昔の日本の漫画とかにあったわよね、あの気味の悪い足……」


 げんなりした雰囲気で話に入って来たのは、以外にもクミン。


「そんなに気味が悪いの?」

「だって、あまりにも不自然な形だし……その足の作り方があまりにもアレな奴で、日常生活にも支障が出るから実質意味の無い行為だし……闇深くて気持ち悪くなってきた」


 いったいどんな足なのよ!


「サトミさ~ん、パーティー組んで~」

「良いわよ、キャロルちゃ~ん」


 お菓子作りが得意なサトミ様に色目を使って! あの童顔痴女! 髪型とか私と被ってるし!


「サトミ様!」

「な~に、リンピョンちゃん?」

「次の魔神戦、私に戦わせてください! ()()()!」

「リンピョンちゃん、今日の攻略で頑張ってたけれど大丈夫? 疲れてない?」

「大丈夫です!」


 見せてやるぞ、キャロル! 私とサトミ様の絆の強さを!!


「終わったみたいだな」


 ルイーサ達の戦いが終わり、すぐさまボス部屋へ!


 奥で、濃いめの緑色ラインが走って行き――やたら足の長い、女っぽい石の魔神が屹立する。


「なにあの足? 只の寸胴じゃん」


 あの形を人工的に作るって言ってたし……クミンの言うとおり、闇深い想像しかできない。


「行いわよ、リンピョンちゃん!」

「はい、サトミ様! ――“同調”」


 サトミ様の意識を読み取り、そこに――私を合わせていく。



「完全なれ――“涅槃なる真秀呂場の狂乱寂静”」



挿絵(By みてみん)


 私とサトミ様の、愛の精錬剣をこの手に!!


「行くぞ!」


 完全なれなどと言って作られた精錬剣だが、完全とはほど遠い歪な形。


 私とサトミ様の関係性をそのまま表しているようで、喜ばしいような虚しいような。


 ――床の一部が光って、“跳躍”を使用したように上空に打ち上げられてしまう!!


「まず!」


 魔神が、その長い足で回し蹴りしてきた!


「――“随伴の颶風”」


 風のクッションを作って、わざと蹴り飛ばされる!!


「“随伴の氷獄”!!」


 颶風と同時行使はできないため、地獄の凍結気に完全移行。


「チ!」


 凍結波を当てても、凍りきる前に抜け出された。


「ソイツは遠距離攻撃に強い能力持ちだぞ、リンピョン!」


 バルバザードに言われちゃったし!


「分かってるわよ!」


 ていっても、遠距離は遠距離でも、武器による攻撃なら良いんでしょ!


「“神代の円刃”、“殺人回転”――“氷獄転剣術”、コキュートスブレイズ!!」


 左腕の“殺人鬼の狂おしき仁義”に九文字刻み、打ち放つ!!


 跳躍して回避されるのは計算通り――こっちに向かって蹴りの体勢を取った!?


「まさか、危険攻撃!!」


 光を纏った状態で、一直線に落ちてくる!


「“涅槃寂静”――“ホロケウカムイ”! “ミケカムイ”! “タシロカムイ”!!」


 二人の精錬剣の力、“涅槃寂静”のおかげで、私はカムイを三つまで同時に降ろせる!!



「“神代の剣”――“氷獄颶風剣術”、コキュートスストームブレイク!!」



 剣に十二文字刻んだうえ、“随伴の颶風”も注ぎ込んで強化ッ――――魔神の右脚を粉砕してやったッッ!!


「ハアハア……くたばりやがれ――ベクトルコントロール!!」


 戻ってきていた“殺人鬼の狂おしき仁義”の軌道を操り、魔神の胸を背中から削り抜かせる!!


『――グギェェェェッッッッ!!!!』


 奇怪な大声を上げたと思ったら、黄金のオーラを――“天賦覚醒”を使わせてしまったか!


 再び高く跳び上がる、魔神・纏足姫!


「――剣を貸しなさい、リンピョンちゃん」


「さ、サトミ様!?」


 いつの間にか私のすぐ横に!


「早く!!」

「は、はい!!」


 普段と違って凛と、それでいて鬼気迫る雰囲気のサトミ様――美しすぎる♡♡♡!!


「――“涅槃寂静”」


 サトミ様が“涅槃寂静”の能力を使うと、私とは別の効果を及ぼす。


 剣に刻まれた十二文字の青白い光が――輝彩色へと変わっていく!!


挿絵(By みてみん)


《来る》


 サトミ様の念話……訓練の時に成功したのはほんの数秒だけで、声がこんな風に頭に響いてくる事は無かった。


 アルファ・ドラコニアン共とは違う、美しさと気品、どこまでも深くて包み込んでくださるような声。


 ――サトミ様が消えた!?


「サトミ様!!」


 空中で左脚による連続蹴りを始めた魔神の元へ、一瞬で移動を!



《“神代の剣”――“氷獄颶風剣術”、コキュートスストームスラッシュ》



 蹴りの体勢のまま、横から胴を真っ二つにされる魔神・纏足姫――て、こっちに魔神が落ちてくる!!


「――あ、あれ?」


 誰かに抱えられ……さ、サトミ様にお姫様抱っこされてる!?


 遅れて、少し離れた場所に魔神の残骸が落下……光に変わっていく。


「まさか、このタイミングで簡易アセンションを使うとは思わなかったぞ」


 メグミが駆け寄って来る。


《…………フー、私もよ。もう少しで、自分の意識が消えてしまいそうだったわ」

「すみません、サトミ様!」


 私がチンタラ戦ってたから、サトミ様に負担を掛けてしまったんだ!


「良いのよ、私の可愛いリンピョンちゃんのためだもの」


 サトミ様はやはり――女神だ!


「そ、それより重いわ、リンピョンちゃん」

「す、すみません!」


 サトミ様のお姫様抱っこが終わってしまう。



○おめでとうございます。魔神・纏足姫の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★纏足姫の石筒脚 ★跳躍墜穿のスキルカード

★跳躍乱蹴のスキルカード ★サブ職業:高嶺の花



 さっさと選択を終える。


「リンピョンちゃん」

「なんでしょう、サトミ様?」


 ――キスできそうなくらい顔を近付けてきて、顎を撫でられる♡!?


「さっきのリンピョンちゃん、危なっかしくて私……不安になってしまったわ。どうしてくれるの?」

「も、申し訳ありません、サトミ様……」


 本当に、私はなんて不甲斐ないんだ。


「もう、そうじゃなくて――明日は攻略がお休みでしょうし、今夜は寝かせないから」


 ――さ、サトミ様からの、久しぶりの夜のお誘いぃぃ!!


「せ、精一杯、ご奉仕いたします!!」



○これより、第六十ステージの【無限城郭】に転移します。



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