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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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858.入国組視点の末路

「ああああッ!!」

「く、クソぉぉ!!」


 先行していた“白の革命軍”三人のうち、二人が“レッサーデーモン”となった“黒の警備隊員”によって惨殺される。


「よくもォォ!!」


 白のシルクハット革命軍のリーダーが、二体のレッサーデーモンを剣で始末。


「チュンリー! ワン! ……クソ、クソッたれぇぇ!!」


 仲間が死んで憤っている様子の革命軍リーダー。


 パパとママには悪いんだけれど、この辺の演出は正直しらける……わざとやってるのかな?


「行きましょう、皆さん! 仲間の死を無駄にしないためにも!!」


「いや、私らはお前らの仲間じゃねぇし」

「なぜ、こんなにも安っぽい気分になるのでしょう?」


 モーヴとスゥーシャから、冷ややかな声が。


「行こう、バニラ!」

「ガウ!」


 モモカ達が先行し、出て来る警備隊員や官軍、低級悪魔達をほぼ一撃で蹴散らしていく。


 このステージに出て来る奴等の厄介な部分は連携なんだけれど、二人が一撃で決めるため、敵の連携がほとんど機能していない。


 少し危なげな場面があっても、ローゼとマリアが上手くカバーしてるし、このまま任せてもいっか。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「見付けたぞ!」


 革命軍リーダーが辿り着いた豪奢な大部屋には、二人の男と“黒の警備隊員”が十二人。


「首相のチョンに、国王のヨアン!」


「ここまで来たのか、まったく」

「戦力差は絶望的だと知らんのでしょうな、この若造は」


 余裕そうな首相が立ち上がり、姿を変えていく。


「――まったく、我々の手を煩わせおって』


「今回の七十二柱は、序列十二位の“シトリー”か」


 豹の頭に猛禽類の翼を持つ怪人が、“避雷針の魔光剣”を手にしている。


 どの選択をしても、このステージの実質的ボスキャラとして登場するのが七十二柱の王侯の魔神。


 どの王侯の魔神になるかはランダムだけれど、私達の入国ルートは、序列の高い魔神が出てくる確率がもっとも高い。


「コイツを倒せば良いわけ?」

「前にも戦ったな、七十二柱とやら。ならば、随分と楽なステージな気がするが」


 油断気味のユリカとレリーフェ。


「このステージの七十二柱は、知能も能力も高く設定されているから、かなり手強くなってる。気を抜いていると死ぬよ」


 少しキツめに警告しておく。


「なんなんだ……首相が化け物に?」

 

 この後に及んで動揺しだす革命軍リーダー。


『俺は、ヨアンに召喚された七十二柱の魔神、シトリー様だ!!』


 高速で剣を振るい、革命軍リーダーを雑に吹き飛ばしてしまう魔神。


「こ、この国は、化け物に支配されていた……のか……」


『今頃気付いたのか? 何が革命だ、笑わせてくれる』


 ようやく身体が動くようになる。


『次は貴様らの番だ! ――“愛の魔力”!!』


 シトリーから、緑色のオーラが迸った!


「な、なに? 頭がクラッと来たんだけど!」


 動揺するユリカ。


「MP消費の精神支配系の能力だよ。でも大丈夫。“反骨”のスキルがあれば、耐えられる程度の能力だから」


 オリジナルだと、なんの抵抗手段も無い状態で“愛の魔力”を受けたキャラはシトリーに味方してしまうけれど、こっちでも同じなのだろうか?


『チ! 誰にも効かんとはな!』


 “黒の警備隊員”共も変異していき、半数が“グレーターデーモン”、残りは“ハンニバルデビル”に“ゴルゴングリード”、“デビルベアー・ガイ”などのAランクモンスターに。


『だが、これだけの高ランク悪魔で組織されたこの俺の軍勢の前では――』


「よろしく、クレーレ」



「“雄大なる悪魔神の夢”――“悪魔支配”」




 変異した十二体の悪魔達が、一斉に自決した。


『な!?』

「あれ? アイツだけ操れない」

「シトリーの区分は悪魔ではなく魔神ですから、“悪魔支配”の対象外なのです」


 混乱しているクレーレに解説するサキ……勝手に、十二体の悪魔にシトリーを襲わせる想定をしてしまっていたな、私。


「残りは奴だけだな」

「行くぞ!」


 レリーフェとモーヴが戦闘に入ろうとした瞬間、モモカとバニラが飛び出した!?


挿絵(By みてみん)


「グルルァァッ!!」


 おっかない唸り声と共に、大刀を叩き付けるバニラ。


 その一撃は魔光剣で防がれた物の、すかさずモモカが懐へ!


「“一撃必殺”!!」


 黄金の鉤爪、“光輝なる者の運命”の一撃が入るも、“一撃必殺”のスキルは不発。


『クソガキがぁぁッ!!』


 “シトリー”の蹴りをモモカが避けた瞬間、バニラの“衝撃加重の大黒刀”がシトリーの左腕を切り裂く。


「ガルルルぅぅ!!」

『おのれぇッ!! ――“魔光斬”!!』

「な!?」 


 射線に入り込んで、モモカがバニラの盾になった!?


 ユニークスキルの“桃源郷の仙人”と“エターナルボックス”の組み合わせでモモカは常時無敵状態とはいえ、なんて無茶を!


「――ガァぁぁあッッ!!」


 跳躍の次の瞬間に放たれたバニラの二振りの重撃により、シトリーの身体が大きく切り裂かれる!


『が、ガキ共なんかにッ!』


「“光輝螺旋術”――シャイニングスパイラル!!」

「“氾濫魔法”――リバーカッター!!」


 ローゼの“ドリルアタッチメント”の一撃で右肩が潰れ千切れ、マリアの魔法が左目を穿ち抜き……王侯の魔神は倒された。


「勝った!」

「ガウ!」


 モモカ達が勝ち誇っている。


「ば、バカな! 数多の悪魔を統べる私の魔神が……」

「ヨアン!!」


 革命軍リーダーが、王の首を刎ねた。


 展開を知っていた私は、外套でモモカ達の視線を一部始終から隠す事に成功。


「終わったな」


 次の瞬間――私達は、私達がいた【法治都市国家】を岩場から見下ろしていた。


「なに? どうなったの?」


 カナの尋ねに応じる暇も無く、ボロボロの革命軍リーダーが近付いてくる。


「……助力、感謝いたします……こちら、約束の物です」



○革命軍から、以下のお礼を受け取りました。


3000000(三千万)G 

★オールランクアップジュエル×3

★悪魔崇拝の首飾り

★極化の種×5

★星属性強化のスキルカード×3



 三千万G以外はある程度ランダムだけれど、これがパーティーメンバー全員が受け取っているのだからなかなか破格。


「それでは、失礼します……」


 肩を落としながら去っていく革命軍リーダー。


「勝ったのに、なんであんなに落胆した風なの?」


 クレーレからの質問。


「下の街、燃えてるだろう? 革命によって体制派は一掃できたけれど、高位の悪魔や魔神を相手にするのは想定外だったんだ」

「予想以上の犠牲者に、完全にダメになった都市国家。実質、負け戦です」


 補足してくれるエリーシャ。


「フーン、そういうもんなんだ」

「リアルなら、この隙に他国が侵略して来て、生き残りは奴隷か難民になる……とかもありえたのかしらね」


 カナが神妙な空気を作った背後で、ポータルが出現。


「次は、もう魔神戦なのですか?」


 タマの疑問に答える。


「実質、五十八ステージからの連続攻略だから。その代わりに、五十九ステージは短めなんだと思う」


 私達入国組はともかく、不法入国組はろくに休んでいる暇なんてないしね。


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