表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

924/956

857.理不尽な一撃

「近付くな!」


 “雷撃の鞭”を振るい、“黒の官軍”共の動きを止めるレミーシャさん。


「“万雷魔法”――サンダラスレイン!」


 ハユタタさんが繰り出した雷の雨が、“黒の官軍”を全滅させる。


 街中に出てからというもの、引っ切りなしに襲撃を受け続けています。


「ノゾミ、方向は合ってるのか?」


 二丁の光線拳銃で迎撃しているノゾミさんに問うリューナさん。


「ええ。その証拠に、どんどん襲撃が激しくなっているでしょう?」


「――紅蓮脚!!」


 ノゾミさんに斬り掛かった鎧男を蹴り飛ばす!


「あ、ありがとう、ヒビキさん」

「礼は後で!」


 数が多くて、なかなか進めなくなってきた。


 広い場所で四方八方から攻め立てられると、こうも厄介ですか。


「クリムゾンカノン!!」

「武器交換――“爆炎のバルディッシュ”!!」


 炎の大砲を切り裂いてくださるサンヤさん。


「“黒の警備隊員”だっけ? アイツら、魔法も使うんすね」

「まずいぞ、“ゲートキーパー”も出て来た!」


 魔神戦の時にいた、攻撃を引き付ける地味に厄介な物達!


「“神代の剣影”!!」


 鞭のように伸びる幻影の曲剣が、“ゲートキーパー”を無視して“黒の警備隊員”をバラバラに!


「サンヤ、お前の精錬剣ならなんとかなるかもしれない!」


「ヒビキ!」

「はい!」


 リューナさんの案に乗り、サンヤさんに偽レギを投げ渡す!



「首を洗え――“雄偉なる汚泥斬首の三日月連夜”」



挿絵(By みてみん)


 剣というより、大刀に近い奇怪な武器を精錬するサンヤさん!


「“随伴の泥土”!!」


 泥を大量に生み出すも、攻撃が逸れて“ゲートキーパー”のみの被害に留まる。


「あれ?」

「泥を剣から直接、途切れないように生み出せ!」

「なるほど、ウ○コみたいにしろって事か!」


 ウ○コみたいにって……。


「おお、上手くいった!」


 複数の土砂が、纏めて敵を呑み込んでいく。


「何か来ますの!」


 サカナさんが何かを見てい――巨大な黒い狼が跳躍してきて……その背に誰か居る?


 更に、蝙蝠の翼を生やした“黒の警備隊員”達がゾロゾロとやって来た。


「あーあ。やってくれたね、革命軍ども。大人しく飼われていれば良かろうに」


 狼の背に立つ“黒の警備隊員”が、私達を睥睨しながら侮蔑の笑みを向けてくる……身内がよくしていた目と同じで、反吐が出そう!


「私達って、革命軍なんです?」

「向こうからしたら同じって事でしょ」


 ツグミさんとネロさんの会話に、少し冷静になれた。


「この国はもうダメだね。最後の最後に――思いっきり暴れるとしようか!!」


 狼の背に立って剣を掲げた男の身体が膨れ上がり、見る見る姿を変えていく!


「我々が遭遇したのは、“アンドラス”でしたか」


 サカナさんが敵を断定した時には、男の変身が終わり、梟の頭と翼を持つ人型の化け物に。


「七十二柱の魔神が一角で、中でも不仲を煽るという設定を持つSランクモンスターです!」


 ノゾミさんの方が詳しい情報をくださった!


「他の奴等、あれは“グレーターデーモン”だったか?」


 “アンドラス”の部下と思われる“黒の警備隊員”も、姿を変えましたか。


『……君』


 “アンドラス”が、私に剣の切っ先を向けている?


『君()()は美人だね。私の愛妾になるなら、君だけは助けてあげても良いよ』


「なるほど、そういう手口ですか」


 これは私に対してというより、その他のメンバーへの精神口撃。


 直後、“アンドラス”に向かって光が走り、回避行動を取らせる。


「――ベラベラとうるさいですよ、鳥頭」


 この前にも似た、ノゾミさんの凄まじい圧。


「とっとと片付けて脱出しましょう」


 彼女がそう言うと、大きな振動が二方向から。


『革命軍め、こんな物まで用意していたか』


 “リトル・ウルリクムミ”二体がこちらへ……これらを革命軍が操っていると?


「なんか、こっち来てない?」

「暴走でもしてるんですかね?」


 ハユタタさんの疑問に、吞気そうに答えるツグミさん……ツグミさんは少し天然なのかもしれない。


「いや、それってヤバいじゃん!」



「“悪夢魔法”――“神代の直情”!!」



 “リトル・ウルリクムミ”の一体の上半身が……跡形もなく吹き飛ぶ。


「どうしました、皆さん?」


挿絵(By みてみん)


 指輪モンスターの“ケルベロス”に優雅に腰掛けながら、クオリアさんが吞気に皆に声を掛けてくる……。


「い、急いで敵を片付けるぞ!」


 リューナさんの言葉に、気を引き締め直す!


「もう一体は私が! 武器交換――“粉砕の十文字星槍”!!」


 滅多につかわさらない、Sランクの槍に持ち換える!


「“跳躍”――“鳳凰翼”」


 飛び跳ねてから紅蓮の翼を形成、注意を引いた“リトル・ウルリクムミ”の横殴りを避け、頭上を取った!


「“岩星粉砕”」


 “粉砕の十文字星槍”の能力を行使し、不気味な青白い光を纏わせる。


挿絵(By みてみん)


「――ハイパワージャベリン!!」


 なんの抵抗もなく、眉間から股下まで私の十文字槍が貫通――一撃で仕留めきった。



●●●



「おい!」


 ツグミ達が“グレーターデーモン”と戦い始めた横で、一番厄介そうな魔神に、“空遊滑脱”で近づき声を掛ける。


『なんだね? 私の仲間になりたいのかな?』

「私のパーティーメンバーを、勝手に勧誘してるんじゃない」


 ヒビキが、私にとってどれほど目の保養になっているか。


 可憐で気丈で淑やかで、それでいてどこか儚げ。あれほど、薄倖の美女という言葉が似合う女もそうは居ないだろう。


「……ああ、そうか」


 私とヒビキは似ているのか。


 世界を敵と認識し、その理不尽な巨悪から目を背けられないという点で。


『どうでも良いよ。君達との戯れも飽きてきた!』


 狼が空を駆け、あっという間に距離を詰められる!


「――“稲光瞬跳”」


 目眩ましと同時に大きく跳びあがり、青空に不可視の天井を認識し――“アンドラス”へと蹴り詰める!


『遅いね』


 軌道から逃れられた上に、私に狙いをつけ――


「“空衝”」


 落下の軌道を無理矢理に変えて、剣の一突きを避けきった。


「“寒突風”!!」

『“稲妻”!』


 私の凍結竜巻が散らされる。


「ハイパワーフリング――“散弾化”!!」


 “自在玉”を投げ付け、直後に数を膨大に!


『“魔人剣術”――サタニズムブレイドサークル』


 高速の剣技で“自在玉”を弾きながら、再び接近してくる!


「ポルターガイスト!!」


 無数の“自在玉”を操って、再攻撃!


『やれ』


 狼の方が、炎弾を飛ばしてきただと!?


「“瞬脚”!」


 真横に跳ぶ“瞬足”で避けながら、“自在玉”を四方八方から狙わせる!


「チッ!」


 奴等、二手に別れて狙いが――まずは狼の方だ!


『こちらを無視して良いのかな?』


 狼を“自在玉”で仕留めた隙に、接近を許してしまう!


「グッ!!」


 すれ違い様に脇腹を切り裂かれたッ!!


「――“業王脚”ッ!!」


 膝蹴りを食らわせ、カウンターを決める!!


「一撃じゃ仕留めきれないか」


 脚甲にも神代文字を刻んでおくべきだった。


「“無重力空間”」


 自身の周囲を、完全な無重力へ。


『も、もう赦さんぞ!! “悪魔法術”――デビルランサー!!』


「“六連瞬足”」


 無重力空間によって、空気の摩擦が無くなった分――私の移動速度は一段階昇華される!!


「――“神代の剣”」


『バレバレなんだよ!!』


 六度目の瞬足位置へのカウンターを、“終わらぬ苦悩を噛み締めて”で受け流し――手首を取って背負い投げぇぇ!!


「“瞬足”!!」

『や、やめ!』


 落ちる“アンドラス”の手首を掴んだまま、足を鳩尾に置いて高速落下――――地面に直撃した勢いで、無重力状態だった私の身体は大きく飛び浮き、落下の衝撃のほとんどを逃がした。


『お、おの……れ……』


挿絵(By みてみん)


「二度と、私のパーティーメンバーに手を出すな」


 軽くトラウマなんだから。


 七十二柱の一柱を仕留め終えたのち、私達は無事に都市を脱出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ