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89.ゴーレム行進

「はあッ!!」


 ”強者のグレートソード”で、ゴーレムを湖に叩き落とす!


 湖に落とすだけでも倒した事になると聞いていたけれど、本当に上がってこない。


「パワーアックス!」


 背後で、ノーザンが奮戦している気配が伝わってくる。


 止めどなく橋を渡ってくる、”始まりの村”の突発クエストでも戦った通常のゴーレム。


 俺が倒しただけでも、既に百体近い。


 単純計算だけれど、残り約三百体。


「あれは、シルバーゴーレム……かな?」


 ここに来て、通常のゴーレムではなく銀のゴーレムが出て来た。


「確か、魔法耐性が高めのゴーレムだったか」


 ”転剣狼の竜巻ブーメラン”を、”武器隠しのマント”から取り出す。


「”転剣の竜巻”!」


 飛ばしたY字のブーメランから発生した上下の竜巻によりゴーレム達が湖に落ちていくなか、シルバーゴーレム共は踏み止まっていた。


 出現するゴーレムの中に、どんなゴーレムがどれだけ居るのかはランダム。


 厄介なゴーレムほど、貴重な鉱石や金属が手に入るらしいけれど。


 前情報無しでこの状況に陥ってたらと思うと、メルシュやジュリー様々だな。


「装備セット1」


 ”強者のグレートソード”と”シュバルツ・フェー”を手に、駆ける!


 ”転剣狼の竜巻ブーメラン”は、装備を変更した際に空中で消えていた。


 ……ブーメランと”魔力砲”が使えるトゥスカの方が、この場所での戦闘に向いていた気がするな。


 左手の洒落た黒銀の大剣を振り下ろしてガードさせ、右手のブラウンの柄と無骨な刀身の大剣を胴に叩き付ける。


『ギガガ!』


 シルバーゴーレムを湖に叩き落とせた!


「叩き落とすだけで良い分、楽だな」


 問題は、数が多いからTP・MPを節約して対処しなければいけないということ。


 いや、それ以上に体力と精神の消耗の方がまずいか。


 湖に落ちれば危ないのは、俺達も同じ。


「ふっ!!」


 次々と出て来るシルバーゴーレムを、順次始末していく。


 十数体のシルバーゴーレムを湖に落としたとき、そのすぐ後ろから一回り大きいゴーレムがショルダータックルをかましてきた!?


「――ぐぅッ!!」


 剣を交差させ、”壁歩き”で脚を吸着、”超頑強”の防御力に任せて耐える!


 シルバーゴーレムよりも白く、赤紫色の菱形宝石がところどころ埋め込まれた、赤マントの騎士風ゴーレム!!


「確か、パラディンゴーレムだったっけ?」


 五百体を選択した場合、パラディンゴーレム、テクニカルゴーレム、セントールゴーレム、リジェクトゴーレムの強力なゴーレムのうち、ランダムに二体が出現するらしい。


 百体の場合はゼロ。二百体の場合は一体だけだそうだ。


 一番厄介なリジェクトゴーレムじゃないけれど、湖に落とすのが一番難しいのがコイツだったっけ?


 俺が反撃に転じる前にパラディンゴーレムが一歩下がり、左手の白石の盾から、白石の柄と白銀の刀身を持つ剣が抜かれる。


 剣と盾が一体化した、二つで一つの武具。


 装備欄を一つしか使わない事に加え、武器変更の際に盾と剣の両方に対応するとか。


 俺は大剣がメインだから、微妙に合わない。


 盾を前面に掲げ、パラディンゴーレムが突撃してきた!


 盾が輝き、同時に剣を掲げる!!


 時間差による同時攻撃狙い――なら、正面から潰す!


「”拒絶領域”!!」


 円柱状の衝撃波により、パラディンゴーレムの動きが止まる。


 本当はもっと密着した状態で放って、湖に落とすつもりだったんだけれどな!



「――クロスブレイク!!」


 

 ”二刀流剣術”による強力な交差衝撃を叩き込んだけれど、正面からだったからか耐えられてしまった!!


 直刀タイプの剣が、白銀の光を纏う。


「”黒精霊”、インフェルノ――ハイパワーブレイク!」


 白銀の剣と紫炎の剣がぶつかる!!


 衝撃に耐えられず――”シュバルツ・フェー”がどこかへと飛んでいってしまう!!


 パラディンゴーレムは……剣ごと右腕が吹き飛んでいた。


『コオオオオオオオ!!』


 盾を叩き付けるつもりなのか、左腕を振りかぶる!


「大地の盾!」


 指輪から六角形の大盾を出現させ、左腕を掲げてゴーレムの盾を受け止めた!


 行けるか?


 意識をグレートソードに注いでいく!


「おおおぉぉぉぉぉぉ!!」


 神代文字を三つ刻んだ状態で振るうも、白石の盾で止められた!


 けれど、盾の半ばまで斬り込んでいる!



 ――もっと、世界の深淵へ!!



 更に意識が吸われ、神代文字が六文字に!


「いっけええええええええぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!」


 白石の盾を――真っ二つにした。


 世界が止まっているように感じるのに、俺の身体は止まらない!


 ――下からの切り上げ! 続いて数多の剣閃をパラディンゴーレムに繰り出し――バラバラにした。


 

 深淵へと踏み出した感覚に、歯止めがきかなくなっていく!!



 そのまま俺は、次々と現れる多様なゴーレムに斬り掛かっていった。



○○○



 背後から、凄まじい力の衝突を感じる。


 コセ様は大丈夫なのでしょうか?


 心配だけれど、今の僕に確認している余裕は無い!


「”大地槌術”、グランドハンマー!!」


 ジュリーさんから借りた”パチモンのトールハンマー”で先頭のロックゴーレムを砕き飛ばし、後方のロックゴーレム十数体を湖に落とす。


「ジュリーさんから借りてて良かった。後でお礼を言おう」


 借りたりするの凄く嫌なのに、ゴーレム相手には鎚が効果的と言われて、半ば無理矢理渡されていた。


 ――そうだ。


 僕のくだらないプライドのために、コセ様に迷惑を掛けるなんて事、絶対にあってはならないんだ!


「え?」


 橋の向こうから赤いゴーレムが現れ、ロックゴーレムとは比べ物にならないスピードで迫ってくる!!


「テクニカルゴーレム!?」


 両肩の裏側から伸びた、稼動する半分ずつの赤い盾。


「メルシュが、一番特殊なゴーレムって言っていた奴!」


 テクニカルゴーレムの盾が一体状態になり、前へと突き出しながら突進してきた!


「”大地槌術” グランドクラッシャー!!」


 橋はゴーレムが通れる程の横幅しかなく、真っ正面から最大限の力をぶつけるしか、対抗手段がない。


「くっう!!」


 なんとか……止められた!


 ナオさんが倒れている状態で……無理はしたくなかったけれど、仕方ない!


「”悽愴苛烈”!!」


 肉体に負荷を掛けて、無理矢理パワーを引き上げる!


「うおおおおおおおおおおおッ!!」


 押し始めてるけれど……押し切れない!


 このままじゃ!!



 いきなりゴーレムの頭が震えたかと思ったら――コセ様の黒銀の剣が、首に突き刺さっている!?



 コセ様。僕が劣勢なのを察して、背後から援護してくれたんだ!!


 あの方と巡り会えたのは、僕には身に余る光栄なのではないだろうか!!


「”一蹴”!」


 ジュリーさんからのお下がりで貰った”一蹴の銀甲手”の能力を、ゴーレムの攻撃が止んだ隙に発動!


「”大地槌術”、グランドクラッシュ!!」


 ”一蹴”による強風でバランスを崩した隙に、盾に阻まれない脚に黄金の巨鎚を直撃させて破壊! 残った上半身が湖に落ちる前に、コセ様の黒銀の剣を回収した。


「なんとか……ハアハア、勝てた」


 ”悽愴苛烈”の反動で、身体中に急激な痛みが走る!!


「なに!?」


 テクニカルゴーレムの盾の片割れが湖から飛び出してきて、僕を薙ぎ払おうとしてきた!!


 ゴーレムの姿は見えないけれど、石橋のどこかにしがみついているんだ!


「”紅蓮拳”、クリムゾンナックル!!」


 紅蓮の一撃により、盾を動かしていた脚が折れ……今度こそ、テクニカルゴーレムは湖底へと旅だった。


「ありがとうございます、ナオさん」

「もっとフレンドリーでも良いのよ。ハイヒール」


 傷が癒えていく。


「”蜘蛛(くも)網”!」


 ナオさんのスキルにより、接近していた黄白色のゴーレム群が動きを止めた!


「迷惑掛けちゃった分、挽回してやるわ! ”氷塊魔法”、アイシクルカノン!!」


 巨大な氷柱を発射し、動きが止まったライトゴーレム達を湖に落としていく!


「どんなもんよ!」


 固まった鼻血を拭い、声を張り上げるナオさん。


「……コセ様?」


 余裕が出来たためコセ様の様子を伺うと……ゆったりとこちらに歩いて戻ってくるところだった。



「誰……か3tz3いjr3rwc」



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