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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第21章 傲慢なる理想の権化

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846.再構成・高級侍女

「というわけで、ガイアソルジャーの契約者を決めてしまいたいと思うの」


 朝食を使用人NPC達が用意している最中、メルシュから皆への提案。


 昨夜の模造神代文字の事とか、訊かなくて良いのか? とでも言うような皆の視線が、俺に突き刺さる。


「六十ステージに進むのを最優先にしたい。早めに決めよう」


 狡い事は自覚しつつ、優先順位による正統性を前面に出す。


「とは言いますが、既に目星は着けているのでは?」


 一番何か言いたげなノーザンが、少し嫌味っぽく指摘してきた。


 ノーザンは誰に対しても一定の距離感を保っているうえ、メルシュたち隠れNPCには特に警戒心が強い所があったからなぁ……。


「一応、正規の隠れNPCが居ないツグミのパーティーか、キャロルのパーティーの誰かに契約させようとは思ってたけれど」


 メルシュが、ここからは俺に進めろと視線で訴えかけてくる。


「ツグミとキャロルのパーティーメンバーで、隠れNPCと契約したい者は居るか?」


「ていっても、隠れNPCと契約できるのって異世界人だけなんでしょ? ツグミがネロと契約している以上、私達には関係ないじゃん」


 黄色人魚のハユタタによる指摘。


「今回はクエストだから、奴隷以外なら誰でも契約可能だよ」


 アマゾネスのシレイアが明かす。


「なら、異世界人以外が契約したほうが良いんじゃない? うちだとロフォンになるけれど」

「私か」


 スチーム魔女のクミンの提案に、エルフのロフォンが反応。


「私はちょっとな~。セリーヌは?」

「ハユタタ、俺は生き返り組だから奴隷なんだよ」

「あ、ごめん」


 大して悪びれている様子の無いハユタタ。


 実質、候補がロフォンに絞られる。


「ガイアソルジャーは、タンクもこなせる前衛だったな……キャロル、どう思う?」


 悩んでいる様子のロフォンが、自分のリーダーに尋ねた。


「古代属性がメインで能力が防御より……で合ってる、メルシュさん?」


「うん、合ってるね」

「なら良いじゃん! ロフォンは中距離メインだし、防御担当はメリー一人だけだしね」


 羊獣人のメリーはクミンの奴隷で、このレギオンでトゥスカと並び、自分の意思で奴隷で居続けている数少ない面子……で良いんだよな? ろくに話した事ないからよく判らない。


「判った。ありがたく契約させて貰おう」


「ナターシャは、もう大丈夫なの?」


 ネロが、遠くから俺に尋ねてくる。


「ああ、体調は問題ないらしい……」

「フンフンフーン♪」


 楽しそうに料理を運んでいるナターシャの姿を見ていると、妙な気分になるけれど。


「ナターシャは、なんであんなに機嫌が良さそうなのです?」

「実は、ユウダイ様とタマ様と同じく、私専用のSSランクを手に入れたのです!」


 俺に尋ねたトゥスカの声が聞こえていたようで、ナターシャが答えた。


「もしかして、あの時使ってた“マキシマム・ガンマレイレーザ”みたいな奴ですか?」


 ホーンマーメイドのリエリアが、いち早く反応。


「はい! その名も、“インテグラル・ロードバスター”です!」


 高級系統だからナターシャの装備とのシナジーもあるうえ、俺のパーティーに欠けていた超長距離高火力攻撃ができると考えると、良いこと尽くめという……なのに、何故か素直に喜ぶ気になれない正体不明のジレンマに襲われているのは、俺だけではないらしい。


 手に入れた経緯が経緯だから、一部始終を見ていた面子は特に心配げだ。


「ナターシャに関しては、俺のパーティーメンバーで様子を見るさ。そろそろ飯を食おう」


 いつもの如く、両手を合わせる。


「いただきます」

「「「「「いただきます!」」」」」



●●●



 五十八ステージの【巨骨村】にある祭壇、その反対側にある巨大なモンスターの頭骨の口から、村の外に向かう我々。


 【巨骨村】の外に出ると、他パーティーの方々が居なくなる。


「本当にでっかいねぇ、あの村を囲う骨モンスター」


 暫く歩いた先で、ダークエルフのシューラ様が振り返り、吞気そうな感想を漏らす。


「さっそく来たよ」


 前方の殺風景な地平より、低ランクのスカルモンスターの群れ。


「かなりの数ですね」

「あれでも、夜よりは少ないんだったか」


 トゥスカ様とユウダイ様の自然体で寄り添う雰囲気に、黒い感情のトゲが芽生える。


 クエスト後に目覚めてからというもの、私は次々と湧き上がる未知の感情に振り回され続けていた。


 プレーヤーの皆様は、こんな強くて野蛮な物に、常に振り回され続けていたのでしょうか?


 ユウダイ様と“超同調”を使用した時に垣間見た感覚はここまで下品ではなかった気がしますが、あの頃の私では感情という下世話な物をろくに理解できるはずがなかったのだと、できてはいなかったのだと思い知らされる。


「ここは私にお任せを――オールセット3」


挿絵(By みてみん)


 サブ職業などを含め、右手に顕現した私だけのSSランク、“インテグラル・ロードバスター”に最適な装備へと変更。


「“鋼の騎士団”――シュート!」


 生み出した私の武装マネキン六体と共に一斉掃射――二千を超える骨モンスターを瞬時に殲滅し終える。


「消費無しで放てるSSランクと、“鋼の騎士団”の相性はバッチリだね」


「この大火力を撃ち放題なうえ、騎士達は実質無限に数を増やせますからね」


 メルシュ様に賛同を示す。


「黄金の宝箱に、木の宝箱が二つか」


 第一の洗礼たるスカルモンスターを全滅させた証が、土の地面から生えてきた。


 宝箱にいの一番に反応していたシューラ様が、回収してくださる。



○“マルチギミックの偽腕”を手に入れました。

○“超化の種”を手に入れました。

○“オールランクアップルジュエル”を手に入れました。



「悪くないね」


 メルシュ様はそうおっしゃいますが……。


「“マルチギミックの偽腕”は、誰も使用しないのでは?」

「どういう物なんだ?」


 ユウダイ様が私の近くに!


「ナターシャ?」

「あ、あの」


 鼓動がうるさい! 顔が熱い! 震えるな、私の声ッ!


「よ、鎧に追加装備するタイプです。クリス様の“自由の女神の腕”のような」

「“マルチギミックの偽腕”は肩腕だけだけれどね。もう一つあれば、両肩に装着できるけれど」


 メルシュ様が横から――狡い! 私がユウダイ様に尋ねられたのに!


「時間があるとき、ちょっと試してみようかな。て、さっさと選ばないと」


 チョイスプレートを眺めるユウダイ様。



○以下から進む道を選択してください。


 ■堅実なる大いなりし荒れ地

 ■大いなる試練の飛躍



「じゃあ、予定通りに行くぞ」


 ユウダイ様が■大いなる試練の飛躍を選択した瞬間――村の方から大きな振動が!


「来るよ、【巨骨村】のシンボルにしてSSランクモンスター」


 村の全てが上昇していき……全長数百メートル、高さ三十メートルはあるであろう、蜥蜴のような巨大なスカルモンスターが動き出す。


「――“アキュムレーション・イービル”が」


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