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834.魔神・骨石獣

「五十七ステージのボスは、魔神・骨石獣。弱点属性は光、雷、火、闇の四つ。有効武器は打撃系全般。危険攻撃はこれと言って無いけれど、強いて言うなら姿を頻繁に変えて攻撃手段が変わることかな」


 今朝戦った魔神・金剛像の時とは打って変わり、今回は弱点だらけだな。


「ステージギミックは、魔神・骨石獣を構成する骨の補充。無数の骨に守られた石部分に攻撃しないと、いつまでも倒せない。骨が補充される際は気を付けてね」


 ボス戦の攻略が始まる。


「大丈夫かな、アイツら……」


 消耗が少ないルイーサとサトミのパーティーとはいえ、本日二度目の魔神戦なうえに、突発クエストに巻き込まれる可能性が最も高い一番手。


「危険ではあるけれど、今日中に次のステージに行ければ、明日の攻略が早まるからね」


 ジュリーの言葉。


「本当にボス戦をやるのね……」


 一緒にボス戦をする予定のクミンは、まだ不満そうだ。


 多数決だったとはいえ、俺を六十ステージに送り届けるために無理して先に進もうとしているわけだからな。


「クミン、さすがに切り替えなよ」

「私は、石橋を叩いて渡りたいタイプだっていつも言ってるでしょう、キャロル!」


 彼女が声を荒げた事で、空気が一気に悪くなる。


「……ご、ごめんなさい」


 さすがに空気を読んだらしい。


「大丈夫だ。魔神は俺一人で片付けるから」


「え? いや、戦うのが嫌ってわけじゃ……」


「ユウダイ様がああ言っているのですから、任せていただけないでしょうか」

「……わ、分かったわよ」


 ナターシャの圧に引き下がるクミン。


「すぐに終わらせるから、後ろで安心して休んでろ」

「……」


 不器用な真面目人間なんだろうけれど、信頼感とかないと面倒なタイプだな。


 二組目のクマム、コトリのパーティーもボス戦を終え、俺達の番へ。


 ツグミ達のパーティーメンバーは俺のパーティーに入ってもらい、キャロルと“ツインリーダー”で同一パーティー扱いに。


「行くぞ」


 ボス部屋の中に入ると、濃い紫色のライン光が炎のように揺らめき……そこに、どこからともなく現れた大量の骨が集まって、トカゲの骨格のような姿に。


 石部分は見えない物の、胸部分の骨から紫色の炎が吹きこぼれている。


「本当に一人でやるんですか、コセさん?」


 意外にも、キャロルに心配された。


「普段は、ボス戦では精錬剣を使わないようにしているんだけれど――トゥスカ」

「どうぞ!」


 トゥスカの分を受け取り、両手に偽レギを握る。



「鬱屈なれ――“雄偉なる悪夢の顕示を視ろ”。祟り澄ませ――“雄偉なる翳り水晶の放射光”」



 左手にクオリアの黒石剣、右手にノゾミの水晶剣を精錬!


挿絵(By みてみん)


「――“随伴の悪夢”」


 悪夢の剣により生み出した黒き霧を、無数の槍と成して骨の鎧を穿っていく。


 跳躍して壁に張り付き、骨の尻尾を振るってくる――が、悪夢の霧を盾として防ぐ。


「“随伴の水晶”」


 悪夢の霧で尻尾を拘束したのち、今度は水晶の槍群で骨を削っていく。


「なに?」


 いきなりトカゲの骨格形態を解いて、弱点を露出させた!?


「チ!」


 どこからともなく現れた骨の奔流を避けると、魔神・骨石獣の姿が猛禽類の大鳥へ。


「“二刀流”――“飛王剣”!!」


 悪夢の霧と水晶の霊気を乗せた斬撃により、下半身の骨が弾け飛ぶ!


 更に、“随伴の悪夢”をコウモリ状にしてから翼部分に噛み付かせ、即座に大蛇に変えて拘束――魔神を墜落させた。


「“水晶大地剣術”――クリスタルグランドブレイク!!」


 骨ごと、核となっている黒石に叩き込む!


「思っていたよりも邪魔な骨だ」


 神代文字を刻んでいなかったとはいえ、一撃で決めきれなかった。


 再び骨が出現し、今度は頭のない巨人の姿に。


『――グォォォオオオオ!!』


 咆哮の直後、拳を振り下ろして来る魔神。


「させるか」


 魔神の骨格がアチコチから飛び弾け、そこから悪夢の霧で作ったモグラが顔を出す。


 巨人になる直前に、内側に仕込んでおいた。


『グォォ!!』


 “天賦覚醒”の兆候。



「“悪夢大地剣術”――ナイトメアグランドブレイク!!」



 核を覆う骨を完全に吹き飛ばし、大きな亀裂を与える!


「もう、骨は纏わせない――“極大放射光”!!」


 “雄偉なる翳り水晶の放射光”より放った光線により、魔神の核を完全に消し飛ばす。



○おめでとうございます。魔神・骨石獣の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★骨石獣の盾 ★骨魔法のスキルカード  

★骨石獣の鎧 ★骨石獣の指輪



「神代文字無しで戦ったとはいえ、時間が掛かりすぎたな」

「「「いや、早すぎだろ!」」」


 メリー以外のキャロルの仲間に、総ツッコミされた。


「ほら、とっとと選ぶぞ」


 一応、俺は指輪を選ぶ事になっている。



○これより、第五十八ステージの【巨骨村】に転移します。




●●●



 ボス戦を終えて、イチカとコトリのパーティーメンバーと共に祭壇の上に転移してきた。


「なんだこりゃ?」


 やたら暗くてカラフルな不気味な空に、平坦な土の地面の村。


 その村は、白い牙のような物体に周りを生え囲まれている。


「あれは骨だな。巨大な生物の骨の内側に、村を作ったような状態だ」


 エルザの解説。


「じゃあ、村の外に長く伸びてんのは尻尾か?」

「祭壇のちょうど裏側には、巨大な頭骨がありますよ」


 デカパイのノゾミが教えてくれる。


「だから【巨骨村】ね」


 見た目はオモシレーな。好みのセンスだ。



『これより――突発クエスト、骨霊祭りを祝え! を開催する!』



 突然、高慢そうな男の声が響き渡る!


「まーた、突発クエストかよ」


 けど、レギオンメンバー全員が揃うまでクエストを始めなかったのはなんでだ?


『今回の突発クエストの参加者は――NPCのみだ!』


「……は?」


 今までNPCが省かれる事はあっても、NPCだけの突発クエストなんて無かったぞ?


『開始は十分後。詳しいルールは十分後に教えてやる!』


 声が聞こえなくなる。


「メルシュ、現段階で判っている事は?」


 コセの確認。


「参加メンバーは隠れNPCと使用人NPCの両方ってことだけ。だから、今のうちに装備を整えておいて」


「タマモ」


 コトリが、“レギオン・カウンターフィット”をタマモに。


「シレイア」

「おう、助かる!」


 メルシュが、シレイアに指輪と大剣を渡している……あの剣って確か……。


 急いで偽レギやユニークスキルなどをNPCに渡していくレギオンメンバー。


「レンさん」


 イチカが、Sランクまで上げた偽レギを差し出して来た。


「あんがとよ」


 申し訳なさが張り付いているイチカの顔よ。


「まったく、お前が私を死地に送るわけじゃないだろうに」


「……すみません」

「バーカ」

「ッ!?」


 イチカにデコピンしてやった。


「私が無事に戻って来た時、笑顔じゃなかったらしばくかんな」


 自分が犠牲にならなければって考え方、いい加減に顧みろっての。


「全員、無事に戻ってこいよ!」

「「「「おう!」」」」


 心配気なコセを励ますように、私達NPC組は力強く返した!


「――来たか」


 身体が、転移の光に包まれていく。


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