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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第20章 真の悪魔の片鱗

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826.魔神・金剛像

「こっちにも店があるんだな」


 夕刻、ボス扉が屹立する巨大な浮き島を探索。


「今朝のうちに武具の製造依頼は出したから、ボス戦は六時過ぎになるよ」


 メルシュからの情報。


「いつの間に……」


 駅に到着後、俺達が魔法の家に戻った後に一人で出歩いてたのか?


「早めに作って起きたかったやつなんだけれど、第四回大規模突発クエストの関係でその暇が無いかなって」

「五十五ステージで手に入れた素材で、強力な武器を作れるって言ってましたね」


 トゥスカの発言。


 魔法戦争跡地や、重力街の地下で手に入れた素材で出来るんだっけ。


「まあ、今回の目的地はここなんだけれどね」


 一人の、ボロい格好をした露天商の前までやって来た俺達。


「NPCですか?」

「俺は通称、ゴミ漁りってんだ。空でくたばった奴等の遺留品が稀にこの島に辿り着く。それを売って生きてんのが俺ってわけだ」

「という設定で、日替わりで色んな物を売ってるんだよ。品揃えは完全にランダムだけれど」


 メルシュ……まあ、良いけれど。


「たくさん買ってくれよ」



○以下から購入できます。


★共有のティアーズ・イエロー  100000(十万)

★免許皆伝           100000(十万)

★超化の種           100000(十万)

★バーニングバックラー     100000(十万)

★技崩のバステロイドソード   100000(十万)

★ゴルドマーキュリー      100000(十万)

★プラチナマーズ        100000(十万)

★粗雑な剣           100000(十万)

            :

            :


「一律十万G……しかも、粗雑系も混じってるのか」

「まあ、悪くないのもチラホラあるね」


 メルシュがさっさと買っていく。


「じゃあ、マスターにはこれあげるね」


 実体化して手渡されたのは、黒灰色の大剣。


「レンが使ってたのと同じタイプの剣か?」


 確か、武術と魔法以外の攻撃スキルを消し去る力がある種類。


「代わりに、この剣では武術以外の攻撃スキルを発動できないけれどね」


「これまた、あれば便利だけれど使い所が限られるタイプか」


 さて、どう使うか。



●●●



「第五十六ステージのボスは、魔神・金剛像。弱点属性無し、有効武器無し、危険攻撃も無し」


「全部無しなの?」


 キャロルがメルシュの講義に口出ししてしまう!


「そうそう。おまけに、ステージギミックも無し」

「なにそれ?」

「キャロル、昨日の説明を聞いてなかったの?」

「だって、眠くてさ~」


 昼前に到着して、夕方まで爆睡して、疲れが取れきってない夕食後に攻略情報を聞いたから、仕方のない部分もあるけれど。


「金剛像は、その名の通り滅茶苦茶に硬い魔神。“金剛不壊”発動中はどんな攻撃も効かないけれど、有効な攻撃チャンスをしっかり見極めれば、むしろ楽勝だから」


 楽勝っていうほど、上手くいくのかしら?


「“金剛不壊”の発動時間は三分。一度切れても一分後には再び発動するから、気を付けてね」


「無敵時間が長い代わりに、厄介な要素も少ないってわけだ」


 キャロルが今更になって納得している。


 講義の終了後、ユリカとクマムのパーティーがボス戦へ。


「それじゃあ組みましょうか、クミンちゃん♪」

「ああ、はい、サトミさん」


 年下なのに、サトミの事はさん付けしたくなっちゃうな、私。


「て、うちのリーダーはキャロルですよ!」

「あれ、そうだったかしら?」

「サトミ、ひっどーい」


 二十歳越えとは思えないぶりっ子をする、童顔痴女。


「ごめんなさいね、キャロルちゃん。はい、フルーツキャラメルあげちゃう」

「わーい!」


 心の底からああいうムーブできるの、ホント凄いわ。


「……ハァー」


「ねぇ、メグミはなんで落ち込んでるの?」


 兎獣人のリンピョンに尋ねる。


「目当ての“スカイドラゴン”に遭えなかったうえに、他のパーティーは何度かスカイドラゴンと戦ったって聞いてショックだったみたい」

「ああ……そうなんだ」


 なんだ、もっと深刻な理由でため息してんのかと思った。


「ボス戦、終わったみたいだな」


 相変わらず早い。


「急ごう、二戦目はできるだけ早く終わらせなければ」


 メグミが率先してボス部屋の中へ。


 奥で、やけに煌めく透明色のライン光が灯り、筋骨隆々の像が立ち上がると同時に、白色の淡い光を纏い出した!


「あれが、ダメージをほぼ無効化するスキル、“金剛不壊”」


 発動には“ダイヤモンド”を消費するらしく、魔神の胸部分に埋め込まれたダイヤモンドが徐々に光の粒子となって溶け出していく。


 “金剛不壊”を視覚的に分かりやすくするための演出か。


「メリー、ロフォン、手筈通りに!」


「ああ!」

「はい!」


 二人が前に出て、かく乱してくれる。


「僕は~?」

「昨日、話を聞いてなかったアンタはそこに居なさい――すぐに終わらせるから」


挿絵(By みてみん)


 今朝受け取ったばかりの大型機械杖、“魔道巨杖テクニカルチャージャー”を構えた。


 大きくて重いし、普段使いには向かないけれど。


「“三重魔法”、“水蒸気魔法”、“全属性付与”」


 魔神から、“金剛不壊”が消えるのを待つ。


 聞いていた通り、魔神・金剛像の攻撃は単純。徒手空拳を除けば、腰に巻いていた数珠のような物を鞭のように使用するくらい。


 この様子なら、メリー達だけでも問題なく去なし続けられるはず――胸の宝石が溶けていく光エフェクトが消えた!



「――イヴァポレイションボム!!」



 魔神・金剛像が纏う光が消えた瞬間、私の水蒸気弾が三発とも直撃――炸裂して、強力な衝撃波を撒き散らす!


「……凄い。威力も……速度も」


 “魔道巨杖テクニカルチャージャー”の特徴は、魔法に必要なMPと同等のTPを消費して威力を三倍にするうえ、発射速度も二倍にするという。


 今回の場合は関係ないけれど、この杖で発動した魔法は魔法ではなく準魔法扱いにしてくれるため、対魔法能力持ちに対しても有効に働くそうだ。



○おめでとうございます。魔神・金剛像の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★金剛像の胸飾り ★宝石倉庫の指輪

★金剛不壊のスキルカード ★ダイヤモンド×50



「アッサリ勝てちゃった」


 これだけ正確な情報があれば、ここまで来るのに一年も掛からなかった事にも頷ける。


「私達、五十四ステージまで来るのに八年も掛かったのに……」



○これより、第五十七ステージの【金剛石雨街】に転移します。



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