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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第20章 真の悪魔の片鱗

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824.クラージマン・レヴナント

「……お客様ですね」


 ドアが開き、窓からも招かれざる者達が入り込む。


「“ドラキュラ”に“レッサーヴァンパイア”です! “音階”――ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」


 “音階の黒角打楽器”の力で、ドアからの侵入者の応対をしてくれるレミーシャさん。


 その横で、レミーシャさんが喚びだしたプラズマロイド・ソルジャーと、私が喚びだしておいた古代魔鳥が窓からの侵入者と戦っている。


 動きからして、レミーシャさんが戦っているのが“ドラキュラ”でしょうか?


「ゥガァァアアッ!!」


 レッサーを一太刀でぶった切って行くバニラ様。


「死になさぁい、死に損ない共!」

「相変わらず、うるさい奴」


 ローゼちゃんが鎖ドリルで、マリアちゃんはナイフでレッサーを倒していく。


「“万有引力”――“周波数棒術”、フリークェンシーブレイク」


 “ドラキュラ”を引き寄せてから、カウンターを決めるように一撃を食らわせるレミーシャさん。


「モモカも戦いたい!」

『コン!』


 ノゾミ様が置いていったポインちゃんを抱えながら、落ち着かない様子のモモカ様。


 私、モモカ様とあまりお話したことない。


「ポインちゃんを守るのが、モモカ様のお仕事ですよ」


 モモカ様が無茶をしないよう、ノゾミ様が気を利かせてポインちゃんを置いていったのでしょう。


「うーん……判った!」

「モモカ様は偉いです」


 思わず、膝の上にモモカ様を乗せてしまう。


「……クオリアは、なんで目隠ししてるの?」

「目が見えないからですよ?」


 モモカ様に、光が鬱陶しいからと言って伝わるでしょうか?


「本当に見えてないの?」

「はい。“立体知覚”のおかげで形は判りますが、色は見えません」


 理解はできなくても、子供は案外、周りの人間の言っていた言葉を憶えているもの。


 たとえ言葉その物は忘れても、その言葉によって生じた感情は深く刻まれ、人格に長期的な影響を及ぼす。


 私がそうでしたから、解るのです。


「……よく分かんない!」

「フフフ、仕方ないですよ」


 年齢もそうだけれど、そもそも目が見える人に目が見えない人の気持ちや感覚を理解しろというのが無理な話。


 私は昔、一応は見えていて、徐々に視力を失っていった口なので、どちらの感覚もだいたい理解できますが。


 でもきっと、私がモモカ様にした話は、モモカ様の未来に繋がる一欠片になってくれるでしょう。


 それが、モモカ様にとって良い物であれば嬉しい。


「……私が見える側の人間だったなら、こんな風に思えたのでしょうか――ナイトメアミスト」


 割れた窓の外にいたレッサーを悪夢の霧の腕で掴んで、握りつぶす。


「どうしたの、クオリア?」

「なんでもありませんよ」


 血が飛び散った後の光景は子供に見せるべきでないと聞いたので、内緒にしておきます。



●●●



「あれは……アンデッドなのか?」


 レヴナント種の群れの奥に、真っ白な奴が居る。


 最後の車両だから、何かヤバいのが出るだろうなとは思っていたけれど、不気味なのが出て来たな。


「“クラージマン・レヴナント”――SSランクモンスターだよ!」


 メルシュがそう言った瞬間、奴が放つ光が煌めいて、消え――直感的に“サムシング・グレートソード”に九文字を刻み――背後からの奇襲を防ぐ!


『ァア……』


 真っ白な青年のような姿が、神々しさを通り越して不気味だ。


「ソイツ、浄化が効かないうえに“瞬間移動”能力もあるから!」

「みたいだな!」


 神代の力を炸裂させて、なんとか押し返す。


 トゥスカ達は、レヴナント達の相手で手一杯。


「やるしかないか」


 SSランクも精錬剣も使えない状況での、初めてのSSランクモンスターとの一騎打ちを!


『ァアア!!』


 白い翼を生やして、列車上部を突き破っていった!?


 ――アンデッドを全滅させないと、あと数十分でゲームオーバー……逃がしてたまるか!


「メルシュ、俺の剣を!!」

「……今回だけだからね!」


「“大地肩腕”――オールセット4!!」


 戦闘準備を整えてから“堕ちた英雄の魔剣”を左手で受け取り、“偉大なる黄金の翼”を展開してから追う!


『ァァ……』


「なんだ、待っててくれてたのか」


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 暗雲漂う大空に、天使のような容姿のアンデッド。


 終末って言葉が、これほど似合う光景もなかなかないだろう。


 列車は、猛スピードで遠ざかっていく。


「すぐに終わらせる!!」


 ――“クラージマン・レヴナント”が、俺を無視して列車を追った!?


「遠ざかってくれるよりはマシだけれど!」


 急いで追う!!


 ゲーム的な強制力なのか、奴は一定以上、列車から離れられないのだろう。


 列車からどんどん離されて……思っていた以上に列車の走行速度が速い!


「“超噴射”!!」


『ァァア!!』


 距離が縮み始めてすぐに、光弾を複数放ってきた!


 ――“堕ちた英雄の魔剣”、“偉大なる英雄竜の猛撃剣”、“偉大なる鬼神の腥風剣”にも九文字刻み、神代と模造の二つの力で、追尾してくる光の全てを切り払う。


 模造神代文字、以前よりも刻めやすくなってるな。


 距離がかなり縮まってくると、また奴の姿が消える!


「“二刀流”――ハイパワーブレイド」


 上に転移してきた瞬間、すかさず身を翻して迎撃!


 斬られた瞬間にまた転移――近くに転移の感覚が無い。奴はどこだ?


「――上か!!」


 遥か上空から、光の柱が落ちてくる!?


「――“神代の翼”ッ!!」


 一瞬だけ“超噴射”を強化し、翼の盾を自分から柱に叩き付け――列車側へと強く弾き飛ばさせた!! ――近場に転移の気配!!


「――うざったいんだよ!!」


 三文字刻んだ右脚甲で、“クラージマン・レヴナント”を蹴り飛ばす!


 ――すかさず転移の気配がした方へ剣を振り抜き、翼を大きく傷付ける!


「邪魔くさい野郎だ!!」


 転移を繰り返すクソガキに何度もカウンターを決めて削っていくも、SSランクモンスターを脅かす程の決定打を与えられる隙が生まれない!


「――“拒絶領域”!!」


 もう何度目か、頭上に現れたクソガキを弾き飛ばす!


「“精霊魔砲”!!」


 赤い文字を流し込んだ光芒で、転移直後の白ガキの右腕を肩から消失させる!


『―ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッッ!!』


 一段と放つ光を強くし、バカみたいに長い舌を靡かせながら突っ込んできた――ようやく別パターンに入ったな、ワンパターン転移野郎!


「――食らえ!!」


 左の肩腕が握る鬼神の剣より、“鬼神・斬魔”を放って切り刻む!


「コイツ!?」


 “鬼神・斬魔”をまともに浴びても、全身に切り傷が付く程度かよ!


 再生能力がない分、異常に硬いタイプか。


「“可変”」


 奴が背後に転移して距離を取った瞬間、猛撃竜の顎を解放する!


『――グァ゛ァ゛ァ゛アアアアッッッ!!』


 二つの光芒が迫るも、“神代の翼”を盾にし、列車へ近付くための推力にさせて貰う!


「――“神代の激竜砲線”!!」


 左脚を、左脇腹ごと消し飛ばした!


「――あの野郎!!」


 列車最後尾に転移して、俺のカウンターへの盾代わりのつもりか!?


 即座に放たれる光弾の嵐の迎撃に、また距離が――レヴナントの後ろに、銃を構えたノゾミが居る?


「うるさいのよッ!!」


 背後から二丁拳銃で撃たれたレヴナントが、こっちに真っ直ぐ迫ってきた!?


「――ナイス!」


 四振りの英雄の剣に――十二文字刻んで長刃と成す。


「“二刀流”――クロススラッシャー!! ――“神代の天竜”ッ!!」


 二つの罰字に切り裂いた直後、青白い竜を纏って――轢き滅ぼした。


「ハァハァッ、ハァハァッ」


 一気に虚脱感が襲ってきて、力が抜けてい――胴体に何かが巻き付いて、乱暴に列車に引き寄せられる?


「――グブッ!!!?」


 列車の最後尾に……思いっ切り叩き付けられた……。


「イツツ……」


 顔がめちゃくちゃ痛い。


「……コセさん」


 背後からノゾミの声がしたと思ったら、いきなり顔を掴まれて引っ張られ――キスされ……た?


おまけ

挿絵(By みてみん)

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