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811.魔神・重力鰐亀

「輪入道――“灰燼回転術”、アッシュブレイズ!!」


 両腕が太いロボットに向かって仕掛けるエトラ。


「え?」


 腕でガードすると思った次の瞬間、その腕から放たれた衝撃波でエトラに輪入道がバラバラに。


「“ショック・ガードナー”。カウンターに優れたロボット系やね」


 接近戦が主体の戦士側に、近接戦殺しの敵とか!


「“氾濫螭”」


 水の大蛇が床を這い、“ショック・ガードナー”の脚に絡み付く!


「腕にさえ気を付ければ良いようね」


 リンカが突破口を見付けてくれる!


「全員、遠距離から多角的に攻めて!」


 六人全員がバラバラの方向へ。


「“烈火竜技”――レッカドラゴンブレス!!」

「“後輪光輝宮”!!」

「“大氾濫槍”――ハイパワージャベリン!!」

「“砂鉄王鎚”――“砂鉄投擲術”、アイアンサンドフリング!!」

「“地震魔法”――アースクエイク!」


 エトラ、マリナ、リンカ、ケルフェ、タマモの攻撃に対処しきれず、倒される“ショック・ガードナー”。


「出る幕なかったか」


 不測の事態に備えてたんだけれど。


「どうした、コトリ?」


 エトラに尋ねられる。


「いやぁ……さっき私だけ攻撃しなかったこと、皆はどう思ってんのかなって」


 私は、皆が右を見ているときは左を見るようにしているタイプの人間だから、他の人からよく誤解されていた。


 誤解を解く暇も無く文句だけ言われて、私の行動になにか理由があるなんてこれっぽっちも思ってない人ばかりでさ。


 ふと、その時の事を思い出してしまっていた。


「万が一の場合に備えていたのでしょう?」

「コトリは意外な事に気付くから、なんか考えがあったんじゃないの?」


 “超同調”を使ったケルフェはともかく、マリナまでそう思ってくれるんだ……。


「で、エトラは?」


「へ? ……なんか考えがあったんだろ?」


 コイツ、リンカやタマモと違ってそこそこ長い付き合いなのに。


「エトラは、今日の私のデザート無しね」

「待って! やだ、甘味が無くなるのはやだぁ!!」


 こういうところは可愛いんだよなぁ、コイツ。


「ポータルがあったわよ。それに」


 先に進んでいたリンカ達の前には、安全エリア内にあるポータルの前に陣取る、椅子に座った一体の白骨死体?


「安全エリア内ってことは、モンスターじゃないはずだけれど……」


 タマモに視線で尋ねる。


「安心してええよ」



『WwwWWここをWwWW壊さなwWでくれ』



 骸骨から声? いや、お腹に抱えたラジオみたいな物から声が出てるのか。


『代わりwwWくれてWwwやWw…………』


 音が途切れると、いきなり袋が六つ現れて、ドチャリと床に落ちる。


「一人一つ持ってけってこと?」

「代わりに、物を壊すなという事ですか?」


 訝しんでいるマリナとケルフェ。


「この骸骨は、【逆さ無重力街】を二つに分けたお方。破壊されたくないんは、この地下施設その物やろね」


 人為的に、二つに分けられたって設定なのかな?


「この袋の中身は?」

「中身は、ある程度ランダムやったはずやね」

「コトリ」


 リンカに投げ渡された袋の中身を、さっそく確認。



○袋の中身を手に入れました。


★無重力化のスキルカード

★量子分裂のスキルカード

★オールランクアップジュエル

★世界樹の雫

★王族の妄執

★復元玉



 “オールランクアップジュエル”はともかく、他は微妙かな。


 未分類の“ディグレイド・リップオフ”は、“オールランクアップジュエル”じゃないとランクを上げられないし。



●●●



「五十五ステージのボスは、魔神・重力鰐亀。弱点属性は星。有効武器は無し。危険攻撃は、生みだした鉄球を殴って飛ばしてくる“殴り参り”だよ」


 なんかヤクザっぽい危険攻撃だな、と思ってしまった。


「ステージギミックは、壁や床から出て来る鉄球。鉄球自体は無重力で浮くから、ちょっとした風とかでも動く。だから気を付けてね」


 メルシュの説明が終わる。


「リューナ……」


 サンヤが話し掛けてきた?


「どうした? そんな顔して……」


「次のボス戦、私に任せて欲しいっす」


 サンヤの目には、悲壮な決意が宿っているように見えた。



●●●



 サトミ達と一緒に、ボス部屋の中へ。


 奥で、黒っぽいダークグリーンの光が灯り出す。


「魔神・大盾亀に似てるっすね」


 ゴツゴツの黒い岩で構成された、大盾亀よりもトゲトゲとした凶悪なフォルム。


 五の倍数のボスは強敵って話もあるし、私が壁を越えるにはちょうど良い相手。


 そう、大事なのは壁を越えること。


 だから、この戦いでは“マスター・アジャスト”も使わない。


「行っくよ!!」


 ダークブラウン色のバルディッシュ、“汚泥斬首の三日月”に九文字刻む!


「“ホロケウカムイ”!!」


 青いオーラを纏い、魔神へと向かって駆ける!


『“重力魔法”、グラビティーベクトル』


 指向性の重圧を間一髪で避けている間に、ステージギミックとかいう黒い球体が、アチコチから浮き出て来た。


「あの挙動……」


 ――危険攻撃の“殴り参り”が来る!


「“瞬足”!」


 またも間一髪、鉄球の剛速球を避けきった!


「ちょ!?」


 連続とか聞いてないし!!


 上手く避けつつも、段々と余裕が無くなっていく!


 ――この“共生の樹鎧”、動きづらい!!


「装備セット3!! ――“瓦落多の巨腕”」


 鎧を外して、代わりに背中から金属ガラクタの大きな腕、“ジャイアントジャンクアーム”を展開!


「邪魔!!」


 向かって来る鉄球を避けつつ、進路上に浮いている鉄球を“ジャイアントジャンクアーム”で打ち返す!


「よし! ――へ!?」


 打ち返した鉄球が魔神に直撃してザマァとか思ってたら、私が打った鉄球の一つを“殴り参り”してきた!?


 しかも、速度が段違いに速く――


「“獣化”ッ!!」


 使わないつもりだったのに、死なないために使わざる終えなかったッッ!!


 犠牲にした両腕の骨がバラバラになったけど、“獣化”の再生力もあって一気に回復。すぐに元の姿に戻って、九文字を刻み直す。


「……ハハ」


 乾いた笑いが洩れる。


 ちょっと怠け癖があって、何にも大して一生懸命になれない自分が、なに熱くなってんだか。


「とっとと終わらせてやる」


 冷や汗と幻痛と熱っぽい両腕の感覚が纏わり付いている状況なのに、さっきまで以上の洗練された動きで鉄球を軽々と避けられるようになる。


「“月光眼”――“月光法術”、ムーンライトバレット」


 “月光眼”使用中にのみ使用可能な魔法で、魔神の攻撃リズムを狂わす。


 コセが教会でやっていたみたいに――


「――おりゃぁぁッ!!」


 神代の光を武具から溢れ出させ、巨大化した三日月型の刃を振り下ろす!!


 浅い――けど、ようやく壁を越える兆しが見えてきた!!


「“泥土の牢獄”!!」


 魔神を指定し、泥の檻に閉じ込める!


 これで、鉄球攻撃は暫く使えない!


「――ぶった切ってやる」

 

 “汚泥斬首の三日月”に十二文字が刻まれて――一回り大きい“汚泥斬首の三日月輝夜”に!


挿絵(By みてみん)


「“ニタイカムイ”!」


 パワー特化の緑色のオーラを纏う!


「“神代の斧剣”――“泥土斧術”、ベリアルスラッシュ!!」


 泥の檻を破られるよりも早く、魔神・重力鰐亀を――横にぶった切った!


「――ハァー、ハァー、ハァー、ハァー……壁、ようやく超えられた」



○おめでとうございます。魔神・重力鰐亀の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★鰐亀鉄球の指輪 ★重力魔法のスキルカード

★殴り参りのスキルカード ★鰐亀の黒石鎧



「やったな、サンヤ」

「これで、サンヤさんもコセさんと精錬剣を作れますね」

「凄かったですよ、サンヤさん!」


 リューナ、ヒビキ、ノゾミが褒めてくれる。


「おっしゃぁ! やったぜい♪」



○これより、第五十六ステージの【無尽虚空】に転移します。



おまけ

挿絵(By みてみん)

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