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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第20章 真の悪魔の片鱗

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804.逆さ無重力街の森

 【逆さ無重力街】に辿り着いた次の日の早朝、街の外壁を出て森に入ると、さっそくモンスターの襲来。


「――行け」


 “フリーリー・オービットソード”を組み込んだ“ウェポン・クラスター”で、“バーバリアン”の胸を貫かせる。


 続いて、ゴブリン系、ゴーレム系、リス系モンスターも葬っていく。


「――“不撓の大地”」


 “グレートグランドキャリバー”の効果を“ウェポンクラスター”で発動。飛んできた光球の盾とする。


「こんなに早く出て来るなんてね」

「あれはなんだ?」


 キラキラした光が、人型を形作っている。


「“オリジン・エレメント”。エレメント系のSランクモンスターです」


 ナターシャが教えてくれる。


 通常攻撃ダメージを半減させるエレメント系が、魔法の威力が半減する戦士側に出てくるのか。


「アレは私がやるよ――“有象支配”」


 “マス・ホログラフィック”の力で、浮遊剣モンスターの(ガワ)を次々と生みだしていくメルシュ。


「“宝石魔法”、ラブラドライトチャレンジ」


 攻撃力をランダムに強化する魔法で、浮遊剣の威力を底上げしているのか。


「片付けてきて」


 無数の浮遊剣に対し、光で対抗しようとする“オリジン・エレメント”だけれど、着実にダメージが蓄積されていく。


「“三重詠唱”、“宝石魔法”」


 メルシュが三つの魔法陣を展開。


「――ガーネットダークレイ!!」


 三つの闇の光線が直撃し、怯ませる。


「“宝石魔法”――スフェーンブラスト」


 剣と魔法の応酬に加え、黄金の剣を持つ偽大天使による一撃も決まり、完全にメルシュが優勢に。


「“宝石魔法”――マラカイトダウンバースト!!」


 頭上からの淡く青い重風圧により、決着が着く。


「魔法の威力にステータスも半減してるから、手こずっちゃった」


「SSランクに“宝石魔法”。実質、消耗無しで戦える手札が充実してるんだな、メルシュは」


 触媒を消費して発動する“宝石魔法”はMP消費が無いため、MPの回復速度が半減するこの場所では非常に魅力的。


 その“宝石魔法”も、エターナルと名の付く指輪のおかげで無限に使えるし。


「というわけで、戦士向きじゃない敵は私がある程度受け持つよ」


「それにしても、見たことない系統の“宝石魔法”がありましたね。もしかして、また新しい宝石の指輪を手に入れたとか?」

「へ? ……そんなことないよ」


 下手くそな誤魔化し方。半分はわざとだな。


「メルシュ様は、ギルドがある街にいるときは、毎日のように宝石店に通われてますから」


 ナターシャの暴露。


 十六ステージにある、例の宝石店か。


「メルシュ、俺にはカードダセで無駄遣いするなって言っておきながら……」

「む、無駄遣いはしてないもん!」


 お、ちょっと本気でむきになったっぽい。


「なんだい、メルシュは宝石好きなのかい?」


 シューラまでからかい出す。


「いや、だから……」

「エターナル系の指輪、ライブラリには十三種類が表示されていますね。しかも、全て入手済みになってます」


 トゥスカが問い詰める。


「ひ、必要経費だもん……」


 この反応、多少は無駄遣いしている自覚はあったな。


「ま、良いか。先に進むぞ」


 メルシュが素の感情を出してくれたのには、ちょっと良い気分だ。



●●●



「起伏が激しいですね、この森は」


 リエリアの呟き。


 おかげで、下りたり上ったりを繰り返して進む羽目に……疲れて来た。


「飛んで行きたいところだけど……」


 この辺の木々より高い位置まで行くと無重力になって、一歩間違えると頭上に浮かぶ大地に落ちていくことになり、魔法使い側の中央塔に強制転移させられてしまうらしい。


「思ったよりキツい。ねぇ、あんたらは大丈夫?」


 最初は、身体がフワフワして楽に進める気がしてたけれど。


「ええ、大丈夫よ」

「僕は問題ありません」

「私も大丈夫です」


 ミキコ、ノーザン、エレジーは全然疲れてないらしい。


「ナオさんはステータスが半減しているので、疲れを感じやすいのかもしれませんね」


 クマムちゃんがフォローしてくれる! マジ天使!


「そう言えば、このパーティーで魔法使いはナオとリエリアだけか」


 当たり前のように呼び捨てにするミキコ。


「なに、ナオ?」

「いや、随分と馴染んだなって」


 《ザ・フェミニスターズ》と初めて接触したときは、あんまり仲良くできる気しなかったけれど。


「……正直、《ザ・フェミニスターズ》よりも、アンタ達《龍意のケンシ》の方が居心地は良いわ。あの男さえ居なければだけれど」


 未だにコセには敵意丸出し……もしかして、わざと距離を取るために言ってる?


 それが無意識なのか意識してなのかは解んないけど……本当、他人の事を深く考えるようになったな、私。


 大きな根や岩の上り下りに、モンスターとの戦闘を繰り返しながら、ようやく安全エリアである開けた場所へと到達。


「“ソーマ”の湧き水スポットがある余!」


 はしゃぐナノカが、青い甘水をがぶ飲みしだす。


「うーん、この贅沢感がたまらん余!」


「クマムちゃん、どうしたの?」

「“重力コンパス”を見ていたんです」


 街の外のルートを進むのに、必須だというアイテム。


「青い針が指す方向に進めば良いんだっけ?」


 クマムちゃんの手にある“重力コンパス”は、私が知る方位磁石と見た目は大差ないけれど。


「より重力が重い方を指す仕組み余」


 喉を潤したナノカが戻ってきた。


「その方向に、次のボス部屋へのポータルがあんの?」

「まあね。ただ、目的地に近付けば近付くほど本来の重力に戻っていくから、気を付けるんだ余」


「……本当だ」


 街でジャンプしたときは軽々と四、五メートルくらい跳べたのに、今は二メートル程度。


 本来の重力感覚としては、二、三十センチ程度のジャンプだったけれど。


「ルートから外れると、街に戻ってしまうんだったわよね?」


 ミキコの問い。


「そうそう。何気に慎重さが求められるルートなんだ余」


「……」


「どうしました? ミキコさん」


 クマムちゃんが尋ねる。


「いや……本当に攻略がスムーズでさ。なんの諍いも起きないし」

「《ザ・フェミニスターズ》では違ったの?」


 四十ステージでの突発クエスト中に、内輪揉めが起きたのは知っているけれど。


「……男嫌いの女の集まりだった。ただ……その男嫌いに温度差があったのは間違いないわ」


挿絵(By みてみん)


 答えになってない気がするけれど、そこにレギオン内での諍いの原因があると思ってんのかね、ミキコは。


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