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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第20章 真の悪魔の片鱗

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799.新たな仲間達

「改めまして、魔法使いのクミンです」


 奴隷用の黒い服に身を包んだ茶髪ロングの女性が、屋敷の中、皆の前で挨拶を始める。


「元山の騎士団所属、マウッドロッテンのエルフ、ロフォンだ」


 続いて、黒茶髪ロングの美女エルフが自己紹介。


「ひ、羊獣人のメリーです! よろしくお願いします!」


 モコモコの白髪が特徴的な可愛らしい女の子……愛らしい。


「メリーのモコモコ髪、落ち着く~♪」


 後ろから抱きついたキャロルが癒されている。


「俺も改めて、レギオンリーダーのコセだ」


 クミンと握手をするマスター。


「私達は、このダンジョン・ザ・チョイスの完全攻略を目指しているんだけれど、貴女達四人には、その気がある?」


 私から切り込む。


「キャロルは、元々攻略には意欲的です。私もそうですが、石橋を叩いて渡りたいタイプなので、無謀な攻略には異を唱えさせて頂きます」


 クミン。彼女が頭脳労働担当って所かな。


「その辺は問題無い。ワイズマンの隠れNPCであるメルシュからの正確な情報に、ダンジョン・ザ・チョイスのオリジナルプレーヤー、複数人の情報源もある」


 ……マスター。初対面で年上相手には、今までなら間違いなく敬語っを使ってただろうに。


「その若さでこのステージに来られたのは、そういう理由があるのですね」


 対照的に、クミンは私達を警戒しているみたい。


「それで、そっちの二人は?」

「わ、私は、クミンちゃんに付いていきます!」

「私も、この世界から抜け出す事には大いに賛成だ。ただし、節度を持った関係性が保証される前提だ」


 エルフのロフォンは、私達の関係性に疑心というか、嫌悪の感情があるらしい。


「安心して良い、ロフォン。私達の関係性は、貴女が考えているような物ではない」


「……レリーフェ様?」


 この二人、知り合いなんだ。


「まさか、森の騎士団まで壊滅したのですか?」

「ああ、私のミスでな」


 レリーフェらしくない物言い。言葉の割に、あまり自分を卑下しているように見えないからかな?


「そう……ですか。まさか、貴女が異種族達と共に行動しているとは」

「今の私に、かつてほどの同胞愛は無い。というわけで、特別扱いはしないぞ、ロフォン」

「貴女が居るのであれば、彼等は信用できそうですね。この巡り合わせに感謝を」


 ナチュラルにキザなエルフね、彼女。


「どうやら、仲間に迎えても問題なさそうだな」


 ジュリーを始め、レギオンメンバーが新入り三人と交流を深めていく。


「あの……」


 クミンが声を掛けてきた。


「どうしたの?」

「このレギオンの人間関係って、実際はどんな感じなんです? その……」


 使用人NPC達にお世話されているマスターを見ながら尋ねてくる……あれ、なんか使用人NPC達とマスターの距離感、近くね?


「まあ、大半がマスター、レギオンリーダーに惚れてて、肉体関係もあるよ」


「ああ……やっぱりそういう……」


 だいぶ引いてるな。その方が人として信用できるけれど。


「安心してよ。マスターから積極的に女に手を出しているわけじゃないし、軽い気持ちでってわけでもないからさ」

「いや、だからって……ねぇ」

「それより、結婚はどうする?」


「…………――結婚!?」


 クミンのあまりの驚きように、屋敷中が静まりかえり、皆の視線を集める。


「い、いや、あの……そういうのはやっぱり……す、好きな人と……」

「あくまで、EXランクの指輪を手に入れるための結婚だよ。正式に夫婦になれって話じゃなく」

「……ああ、あれね! 婚姻の指輪だっけ? アハハハハ! ……はは」


 五十ステージより上に、こんなピュアな子がまだ残ってたとはねぇ。



●●●



「ハァーぁ」


 欠伸をしながら、リビング・ダイニングへと下りていく。


「……ぁ」

「うん?」


 強い陽射しの中、牛乳? 片手に立ちすくんでいる……クミン?


「おはようございます」

「お、おはよう……ございます」


 窓が大きいのもあって、部屋全体が眩しくて熱い。


「て、もう昼ですよ!」

「ああ……ちょっと疲れてて」


 昨晩は、ナターシャ、アルーシャ、ヘラーシャ、レミーシャ、エリーシャの五人とヤッてたからな……なんでそんなことになったんだっけ?


「……」


 何か言いたげな視線を感じる。


「言っておきますけど、私は貴男とは結婚しませんからね!」


 四人とは昨夜の時点で、取り敢えず保留ということになっていた。


「ああ、はい」

「……」


 なんで睨んで来るんだろ?


「……他の人達、とっくに出掛けましたよ」

「店で買い物してるのか。俺も、何か美味しい物でも探しに行くかな」


 チョイスプレートの中なら腐らないし。


「クミンも一緒に行く? お金無いんだろ?」


 彼女達の借金は、昨日のうちに返済済み。俺達の金で。


「……へ、変なことする気じゃないでしょうね!」

「……別に付いてこなくても良いけれど?」


 さすがに、ちょっとイラッと来た。


「……モモカちゃん、それにバニラも……本当にこのまま連れて行くの?」


 真剣な様子で尋ねられる。


「知り合いに、このステージで家庭を持って、子供達を育てているグループがあるわ。良ければ紹介するけれど……」

「何度か別れる事も考えたけれど……俺達が守るのが最善だと思ったんだ」


 クミンの知り合いが信頼できたとして、この前のような突発クエストの際、モモカ達を守れるとは限らない。


 バニラの在り方も、常人に理解して貰えるとは思えないし。


「後悔……しない?」

「モモカ達が死んだ事も知らずにのうのうと攻略を続ける方が、よっぽど後悔するよ」


 たとえ目の前でモモカとバニラを失う事になっても、誰かに二人を任せて死なせてしまうよりは……ずっと良い。


「……そっか」


 観測者の目がある今の状況だと、クミン達に伝えるのを迷う秘密も多い。


「二人のこと、心配しくれてありがとうな」

「……まあ、大人として当然だし……」


 そんなに照れるとは。


「やっぱり、明日か明後日には攻略を再開したいな」


 危険な人間のグループの大半はクエスト時に始末したとはいえ、この【上級平和街】が安全とは、まったくもって言えない。



            ★



 クミン達を迎えてから三日後の昼前、俺達は全員で、【上級平和街】の中心地へとやって来ていた。


「この倉庫みたいなのが、ダンジョンの入り口なのか」


 一面がまんま扉らしき白い建物。


「マスター、支払いはここからできるよ」


 メルシュの説明に従い、扉横のコンソールを弄って1000000(百万)$を払い、俺のレギオンメンバー全員の通行権を得る。


 すると、扉が真ん中で割れて、左右にスライド。中の光景には見覚えがある気が……。


「モンスターエレベーターにそっくりだな」


「モンスターは出ないけれど、エレベーター内の作りは同じだね」


 全員が乗り込むと、エレベーターが動き出し――急上昇していく!?


「これ、いつまで上昇し続けるんです?」


 トゥスカの問い。


「このエレベーターは軌道エレベーター。つまり――宇宙までだよ」


 ジュリーの言葉を肯定するが如く、止まったエレベーターの扉の向こうに広がっていたのは……硝子越しの宇宙の光景。


「おおー!」

「綺麗……」

「うわ、絶景じゃん」

「地球は青かった……てやつだね」


 各々、目の前の光景に魅入っているらしい。


「こうしてみると、ダンジョン・ザ・チョイスと地球って変わらないんだな」


 雲のせいか、大陸の形などは分からないけれど。


「この先にはもうボス部屋しかないけれど、どうする、マスター?」


 知ってて訊いてくる、意地悪な参謀。


「予定通り、今日は久しぶりの我が家でゆっくりするさ」


 昨日は、プールとかで一日遊びっぱなしだったしな。


 そんなこんなで、安全エリアから数日ぶりの我が家へと、俺達は帰還した。


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