表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
838/956

781.魔神・合成獣

「満足した?」

「……うん」


 ゴツゴツした床で、白い布にくるまり、抱き合いながら語り合う私達。


「行為の一つ一つに、愛情を感じた♡」

「お、おう」


 照れた反応、可愛い♡


「……無理に迫ってごめん」

「良いよ。本気で嫌なら拒んでたし」


 この人なら、そう言うだろう。


「私は、肌の色で差別的な扱いを受けてきたから……強くて私を受け入れてくれる雄を逃したくなかった」


 このコミュニティなら、私のもう一つの望みも受け入れてくれそうだし。


「コセ……私は、子供は作らない。自分の子供は欲しくないんだ」

「……肌のこと?」

「ああ」


 すぐに察してくれる……私をちゃんと見て、理解しようとしてくれていた証拠。


「自分の子供や孫が、その先の子孫が……私と同じ肌で生まれたら……可哀想だ」


 自分で言って、胸の奥がブスリと重くなる。


「女がたくさん居るんだ、子供は私以外が産めば問題ないだろう?」


 それが、私がこの男を選んだもう一つの理由でもあった。


「……モーヴが本当にそれを望んでいるなら、俺もそれで良いよ」

「ありがとう……」


 短い付き合いなのに、私の望みを最高の形で叶えてくれやがる。


「でも――気が変わったら、産んだって良いんだからな」


「……」


 コイツは、どこまで私を理解してしまっているのだろうか……。


「……気が変わったらな」


 自然と、更に身体を密着させる自分が居た。



●●●



「第五十三ステージのボスは、魔神・合成獣。弱点属性は竜、有効武器は剣、危険攻撃は、今までの魔神の色んな攻撃全般かな」


 ボス部屋前でのメルシュさんの説明。


「ステージギミックは無いけれど、通常より“天賦覚醒”しやすいから気を付けて」


 説明が終わり、最初に私とクマムさんのパーティーで挑む。


「じゃあ、よろしく。ツグミ」

「よろしくお願いします」


 ネロさんとエレジーさん、また見つめ合って笑ってる……微笑ましいですね♪


「来るわよ」


 ハユタタさんの声に部屋の奥に目を向けると、暗がりで様々な色合いの光が線状に走って……今までで一番多いかも。


「て、へ?」


 色んな魔神の特徴を持った魔神が、二体いる!?


「聞いてないんですけど?」


 右は人型魔神の集合体で、左はそれ外の魔神の集合体に見えます。


「分担しましょう! 左は私のパーティーで受け持ちます!」


 クマムさんが迅速に動いてくれた!


「ありがとうございます! 皆、私達は右を!」

「頑張れ、ツグミ」

「ツグミならやれるわ!」


 ネロさんもハユタタさんも、戦わない気満々ですか!


「もういいです! “六重詠唱”――“連続魔法”」


 ユウダイさんが手に入れてくれた、“ダイバビロンのスキルカード”から得たスキルを行使!


「“桜火魔法”――フレアブロッチェカノン!!」


 掲げた右手の先の六つの魔法陣から、火花の美しい砲火を連続発射!!


 私のMPが続く限り、私が止めない限り、この魔法の連続発動は終わらない!


『“火喰い”』


 途中から、炎が全て――魔神・火喰い鳥の能力ですか!


「“二重武術”、“万雷投槍術”――サンダラスジャベリン!!」


 ハユタタさんの神代文字込みの攻撃が決まり、魔神の歪な人型の身体を貫いた!


『“氷炎魔法”、アイスフレイムバレット』


 魔神・四本腕の魔法!


「“神秘魔法”――ミスティックブラスト!!」


 青い炎が広範囲に広がる前に、セリーヌさんが対処してくれる。


「アイツ、能力が多過ぎでしょ!」


 ネロさんの言うとおりで、今度は大きな雲に乗ったあげく、髪から毒を持った猿に、小魔神まで出てきた!


「“人工知能”!」


『魔神・紫雲猿と魔神・受胎母像の能力です』

 

 アイちゃんが教えてくれる!


「“逢魔砲”――“連射”!!」


 雑兵がこれ以上増える前に、一気に殲滅!


『“逆三暗黒宮”』

『無数の黒の槍、追尾して来ます』


 背後の黒い逆三角紋より、闇の槍が連続発射。


「“絡繰り鬼兵”」


 ネロさんが呼び出した金属骸骨の上半身が変形――鞭のように撓らせた腕と胴体の盾で、暗黒の槍を全て防いでくれる!


「“狂血投擲術”、ブラッドフリング――“分裂”!!」


 投げた黒いナイフ、“道化の投げナイフ”が無数に増えて、魔神にダメージを与えただけでなく、雲を壊して落下させた!


『魔神・転剣狼と魔神・多腕円輪の武器を装備』


 アイちゃんの言うとおり、いつの間にか巨大なブーメランとチャクラムを装備している!


「させっか!!」


 セリーヌさんが、この前見せてくれた“古代兵装/四枚盾フェルミオン砲台”を操り、肩から生える腕に持った投擲武器を、腕ごと撃ち飛ばしてくれた!


『“天賦覚醒”、来ます』


「これ以上はやらせない――」


 掲げた左腕に装着されたピンクの機械甲手、“紡ぎ噤む春の鳴”に十二文字が刻まれ――“紡ぎ噤む春の胎動”へ!


挿絵(By みてみん)


「――来た」


 この数日、心の奥で感じていた躍動が、ようやく形となって顕現した!


『魔神・銛人魚の武器を装備しました』


 青い石の銛を振りかぶっている。


『“氾濫武術”――ハープーンブレイク』


「“神代の拳”――桜火拳!!」


 正面から、放たれた魔神の銛を粉砕!!


「“ワッカカムイ”――“泥土魔法”、ベリアルバイパー!!」

『“二連瞬――』


 ハユタタさんの魔法で出現した泥の大蛇が、魔神の動きを止めてくれる!


「「「行け、ツグミ!!」」」


 三人の神代文字が、私の神代文字と共振していく!


「“神代の発射口”――“魔力砲”、“連射”!!」


 “天賦覚醒”で上がった防御能力で耐えられたのは一発目だけで、三発目を受ける頃には、跡形もなく、魔神・合成獣は消し飛んでいた。



○○○



「“熾天使化”――“天使の威圧”!!」


 神代文字の力込みの光の重圧で、異形の魔神・合成獣の動きを止める。


「カードダセでコセさんが手に入れてくださったスキル、便利ですね」


「“破邪解放”、“ニタイカムイ”、“神代の斧”――ハイパワーアックス!!」

「“神代の拳”、“氷炎の競演”――氷炎拳!!」


『“水晶魔法”――クリスタルバレット』


 魔神の魔法を物ともせず、ノーザンさんとナオさんの攻撃が決まる。


「行きます――発射!!」


 リエリアさんの“マキシマム・ガンマレイレーザ”が直撃――効いてない?


「魔神・大盾亀の“偶発無敵”だ余!」


 ランダムにダメージを無効にするスキル!


『“樹液弾”』

「――“暴虐惨禍”!!」


 エレジーさんの黒い竜巻がリエリアさんを守っただけでなく、魔神にダメージまで与える。


「“天賦覚醒”――“魔人武術”、サタニズムブレイカー!!」

『“猪突猛進”!!』


 自身を強化したナノカの一撃と、エネルギー纏う突撃が正面からぶつかり合う!


「行け、私のマスター!!」


 ちょうど、魔神の頭上を取った!


「――“裁きの降臨”!!」


 私の全身から下方へと降り注ぐ光の柱が魔神に当たり、光の流星となった私が急降下!!


 魔神の巨体の一部を穿ち抜き、更に周囲へと光の暴威を拡散――異形の魔神・合成獣を、粉々に消し飛ばした。


挿絵(By みてみん)


「さすが、一日一度しか使えない強力なスキル」


 総TPの半分も持っていかれるため、何気に使い所が難しい。



○おめでとうございます。魔神・合成獣の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★合成魔神の技能腕輪 ★魔神王の覚醒指輪

★合成魔神の武具腕輪 ★魔神化のスキルカード


○これより、第五十四ステージの【上級平和街】に転移します。



おまけ

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ