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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第19章 才能と正義

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769.繋がる点と点

「クマムさん!」


 ナノカさんと一緒に、巨大なカエルの集団を相手にしている所を発見。手早く四人で片付ける。


「ありがとうございます!」

「貴女方は命の恩人だ!」

「ありがとう、お姉ちゃんたち!」


 NPC達が礼を言っては、次々と去っていく。


「なぁんだ、あんなに居たのに何もくれないんだ」


 また、ネロの不謹慎な発言。


「“ジャイアント・トード”の数が多くて、助かったよ」

「二人だけだったら、もっと犠牲者が出ていたでしょうね」


 食べられたNPCもいたんですね……。


「あの、下半身が蛇の女モンスターを見ませんでした?」

「見てませんね。ナノカは?」

「見てない余」

「実は……」


 私とネロが船首付近で体験した出来事を明かす。


「それで、なぜ私を?」


 クマムさんがネロに尋ねる。


「ユニークスキル、“袖振り合うも”をクマムに貸して」

「なるほど」


 すぐに実体化し、渡してくれるクマムさん。


「これでどうするの?」

「そのユニークスキルがあれば、自分が遭遇した対象を追えます。人間相手だと、所持した状態で合わないと意味がありませんけど」


 このユニークスキルで、さっきのモンスターを追跡できると。


「使わせて貰います」


 装備して追跡したい対象を念じると、方向が漠然と思い浮かぶ。


「向こうです!」

「私達も一緒に行きます!」


 四人で、あのモンスターの居場所を目指す。


「……へ?」


 ここ、あの船長が居る屋敷?


「エレジー、あのモンスターは?」

「この中のようです」


 意を決し、四人で屋敷の門の先へ。


「何かご用でしょうか、容疑者の方々」


 船長の側近とおぼしき男が、いきなり現れた?


「今回の件と関係あると思われるモンスターが、この屋敷に居るようなのです」


「そう言って、人質を奪還する気なのでしょう? ――厚かましい奴等だ!!」


 兵士達が現れ、あっという間に百人程の人数に囲まれる。


「なんの騒ぎだ!」


 太った船長が――ハユタタさんに着けられた首輪から伸びる鎖を、引っ張って現れた!?


「……何あれ?」


 ネロの殺気が凄まじい。


「船長。この者達が、仲間を奪還するために侵入してきたのです!」

「なにぃ~!」

「違います!! 私達は、ここに逃げ込んだ女形のモンスターを追ってきただけです!」

「黙れ! そんなに仲間を殺されたいのか!!」

「うッ!!」


 ハユタタさんの首に、鉈が添えられる。


「アイツ!!」

「こうなりますか」


 ネロとクマムさんが、今にも斬り掛かりそうな雰囲気に……。



「良いですよ。()()の首を刎ねても」



 わざと挑発的に返す。


「なに?」

「貴様、正気か?」


 私達を嵌めようとした二人が、揃って焦っている。


「エレジー?」

「エレジーさん?」


「だってその人質、私達が追ってきたモンスター本人ですもん」


「「…………」」


 この反応、やっぱり船長とその側近は知っていたみたいですね。


「なにをしている! そいつらを捕まえろ!!」


 ――身体が動かなくなった!?


「クソ、強制イベントかよ!」


 ネロの言葉を最後に、私達は声すら発せられなくなった。



●●●



「よっと」


 重たい扉を、上に押し開ける!


「いったい、どこまで続いているのやら」


「……ナオさんとノーザンさん?」


 声を掛けてきたのは、クマム?


「……アンタたち、なんで牢屋に入ってんの?」


 エレジーペアとクマムちゃんペア、ユイペアまで捕まってるし!


「怪しいモンスターを追ってきたら、私達は抵抗もできずに捕まってしまったんです。ユイさん達は知りませんけど」


「……あの船長、なんかムカつくから“透明人間”で侵入した。そしたら、すぐに捕まっちった」

「アタシは連帯責任だよ。ペア相手から離れられないからね」


 なにしてんだか。


「取り敢えず、急いで情報交換をしましょう」


 お互いが集めた情報を出し合う。


「よかった。本物のハユタタさんは無事なんですね」


 エレジーの心配げな顔、クマムちゃんに負けず劣らずの清楚だわ。


「それにしても、見付かったら強制的に捕まるとなると、これ以上進むのは危険かしら?」


 ようやく手掛かりを掴んだと思ったのに。


「船長達が今回の事件の犯人側と考えると、身の潔白なんて証明しようがないんじゃ?」


 ノーザンの言うとおりでしょうね。


「アタシ達は、明日の午前九時になったら大々的に処刑されるらしい。強制ゲームオーバーなのか知らんが、処刑時間前に屋敷に近付いたら、アンタ達も捕まっちまうかもしれないよ」


 シレイアの指摘。


「救出するなら、処刑時間まで動かない方が良いってわけね」


 ゲームの演出上のご都合主義、本当に面倒くさい。


「なら、私達は戻って、残りのメンバーにこの事を伝えた方が良さそうね」


 処刑を知って、奪還しに来ないように。


「まったく、このクエストはなにが正解でなにが間違いなのか判りづらいわね!」


 それにしても……数時間掛けて来た道を、そのまま戻らなきゃいけないのかぁぁ……。



●●●



「明日に処刑とは、随分と急な話だな」


 NPC達が、夕方頃から至る所で処刑の話をし始めている。


「誰も来ませんね」

「約束した時間は、とっくに過ぎてるって言うのに」


 二番区の野外レストランにて、リエリアと先にご飯を食べていた。


「――良かった。て、ツグミ達は居ないの?」


 遅刻してきたナオが、何故かツグミペアだけ捜してる?


「ここに来るまでに処刑の張り紙は見たでしょ? その件で、ツグミとセリーヌは船長達に会いに行ったわ」


「あちゃー」

「遅かったみたいですね」


 ナオ達が料理を注文しながら、私達にこれまでのいきさつを話し始めた。


「それじゃあ、今頃はツグミとセリーヌも牢の中か……」


 私の言葉を肯定するように、目の前で新しい張り紙が追加されていく。


「……ゲームってあんまりやったことないんだけれど、ゲーム的な考え方としては、どう動けば良いと思う?」

「……処刑の演出が大々的だし、処刑に乱入するのが一つの正解に思えるけれど……底意地の悪いゲームだってあるから、なんとも言えないわ」


「まあ、そうよね」


 仕掛けてきたのは、あの観測者だし。


「でも、誰かが屋敷に近付かなければ処刑にはならなかったんですよね?」


 リエリアの発言。


「本来とは違う流れってこと?」

「もしかしたら、本来捕まっていたのは、私とノーザンだったのかも」


 この二人のルートが、一番ストーリー的にまともっぽいか。本物のハユタタを見付けてるし。


「つまり、誰かがなんらかの理由で屋敷を訪れ、処刑イベントが発生するという流れは、ゲーム的に正しいってことね」


 楽観はできないけれど、私達はこのクエストの攻略を確実に進めているということ。


「じゃあ、僕達がもし全員捕まってたら?」


 ノーザンの言葉に、沈黙が訪れる。


「その時点でゲームオーバーだったか、何かしらのイベントで助かるとか?」


「どっちにしろ、判断するには情報が足りないわね。私とリエリアは、深夜まで三番区を見回る予定よ。夜にしか起きないイベントもあると思って」

「私はクタクタで休みたいけど……クマムちゃんが捕まってるのに、休んでられないよね!」


 ナオの奴、他にも捕まってる面子が居るのに……。


「僕達は一番区を見回りましょう。二番区に誰も回せないのは残念ですが」


 その後、私達は別れ、各々の夜を過ごし、明日の処刑に臨む。


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